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企業のデフレマインドがやばい件について。身近な事例から、デフレマインドのヤバさを考える。

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最近つくづく感じるのが、日本のデフレは根強いし、目標とする2%のインフレって達成できるのかな?ということ。

会社にはデフレマインドが染み付いており、コストを下げることにばかり注力されています。

普段サラリーマンとして過ごしていても、そのデフレマインドの影響をふつふつと感じています。この考え方は変えてしまわなければやばいんじゃないのかと、最近つくづく感じています。

デフレはどうして良くないのか。そして、身近なデフレマインドについて考えてみたいと思います。

 

 

 

 

デフレとは?

物価が下がることです。逆に物価が上昇するよはインフレですね。

物の価格がさがるということは、反対に言えば物を買うために必要なお金の価値が上がるということです。

これまで100円で買えていたものが、例えば95円に値下がりしますから、より少ないお金で物が買えます。これがお金の価値が上がるということ。

ということは、現金で持っているだけならいいのですが、借金をしていると不利になります。実質的に借りているお金が増えてしまうことになります。

後でも解説しますが、企業は借り入れをして事業を行いますから、デフレは悪影響をもたらすのです。

経済全体からすると、継続的に少しづつインフレになるのが良いと言われています。物価が下がると良さそうですが、経済的には良くないのです。

 

 

デフレになると何が良くない?

では、どのような点でデフレは良くないのか。

まずは先にも書いたように、借り入れをしているとデフレは不利になります。資本主義社会は、借り入れにより拡大していきます。レバレッジをかけるなんて言います。借り入れと聞くと良くないことのように聞こえますが、経済成長のためには借り入れが増えることは重要なのです。

ところが、デフレになってしまうと、この借り入れが重たくなってきます。そうすると、新たな借り入れをして積極的に投資をしようという企業が少なくなり、経済に悪影響をもたらします。

そしてその影響は人件費にも。企業はコスト削減をしようとしますから、人件費に目が向きます。最近話題になるのは、日本人の給料が世界に比べてまったく上昇していないこと。他の先進国は右肩上がりで上昇していますが、日本だけは横ばいか下がっている時期も。

給料が増えないということは、当然消費も増えません。デフレの原因としては需要の減少があります。需要が増えないと価格を下げざるを得ず、企業の収益を圧迫します。人件費に下押しの圧力がかかり、給料が増えないことでさらに需要が。まさにデフレスパイラルです。

ただ、コスト削減した企業にお金が無いわけではありません。内部留保という形でお金を溜め込みます。企業の内部留保は増え続け、2019年は475兆円と過去最高を記録しました。ただ、内部留保と言ってもすべて現金で預金されているわけではなく、設備投資などにも回されています。また、今回のコロナ禍のようなことがあると、企業を守るための盾になります。

 

 

身近なデフレマインド

つらつらのデフレについて簡単に解説してきましたが、ここからが本題。そして、常日頃問題であると感じることです。

バブル崩壊から失われた何十年。つい最近まで20年とか言ってましたが、どんどんその年数が伸びていきそうです。

そんな長い時間デフレの湯に浸かっていたので、みんなデフレマインドです。特にサラリーマンとして会社に勤めていると、デフレマインドの根深さを感じてしまいます。合理性や効率よりもコストを考えてしまうのです。

普段サラリーマンをしていると、「デフレマインドだ!」と感じることが多々あります。年々経費の使い方は厳しくなりますし、手当なども減らされつつあります。

そんな身近な事例を考えてみます。一つ一つは小さなことですが、恐らく日本中の企業でこのようなしょうもないコスト削減が行われており、日本の経済成長を阻害しているのでは?特に人件費のコスト削減は、日本経済に大きな負の影響もたらしていると思います。

そうして浮いたお金がIT投資などに回れば良いのですが、どうもそんな感じでもなさそうです。

・会社のPCのスペックが低い

・交際費の厳格化

・業務に必要なものがなかなか買えない

・インセンティブ制度の改悪

・手当の縮小

・会社の値上げ指示と顧客からの値下げ要請

・正社員ではなく、派遣やアルバイトに頼る

こんな感じで思いついたものをあげてみました。実際に自分が経験し、目の前で見てきたものばかりです。

この中でヤバいと思うのが、会社のPCスペックの低さ、インセンティブや手当の縮小、派遣やアルバイトつまり非正規雇用の増加です。

要するにIT投資をケチっているということと、人件費の抑制です。決して小さなことではなく、経済を弱体化させる超重要なことなのです。

 

IT投資をケチる日本

まずIT投資について。

1年くらい前に、ようやくモバイルPCになりました。営業なのに、今時モバイルじゃないってヤバいですよね。なんどもお願いして、ようやくモバイルになった次第です。

そのモバイルPC。セキュリティを考慮して、仮想環境となっています。この仮想の契約が高いらしく、営業マンに一気に適用したらいいものの、予算の都合から段階的な切り替えとなってしまった模様です。

そして、office365のアプリを使い始めてから、問題が発生します。このアプリ。とにかく重たいのです。しょっちゅうメモリ不足の表示が出ますし、頻繁にファイルを削除しています。

調べてみたら、なんとメモリは4GB。Windws10で4GBは無いですよね。どうりでよくフリーズする訳です。

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こんなところにコスト削減の影響が。今の仕事って、ほぼPCを使用して行いますから、PCこそ利益の源泉であると言えます。なるべくスムーズに使えるよう、それなりのスペックは必要なはず。

確かに大きな企業になると、数千台や数万台といったPCが必要になるので、1台あたり数千円のコスト削減が数千万円のコスト削減になります。ただ、PCは今後数年使っていくもの。目先のコスト削減のため、さらに大きな見えないコストがかかってしまっていそうです。

まあ、大きな企業はまだいいのです。中小企業が結構やばいです。数十年前に開発したシステムを使用し続けているのは当たり前。まだまだ紙ベースです。

経済産業省のDXレポートによると、今の古いシステム(レガシーシステム)を使い続けた場合、2025年以降大きな経済的損失が生じるとされています。これを「2025年の崖」と言います。古いホストシステムを触れる人材が少なくなり、将来への投資より古いシステムの維持にお金がかかってしまうためです。

ところが、中小企業の場合、経営者がITに疎く、積極的にお金を出そうとしません。機械には大金を出しても、目に見えないシステムに大きなお金を使おうとしないのです。ITへの投資を余計なコストと考えてしまうのです。その結果、生産性が向上しないままに。

 

給料が上がらない日本

そして人件費。

手当てにしろインセンティブにしろ、年々厳しくなっているような印象です。

うちの会社の場合、昔は新規の受注を取ってくると、利益の数%といった割合でインセンティブが支払われました。インセンティブだけで10万円以上稼ぐ営業マンもおり、新規の受注を獲得に向けてみんな頑張っていたのを記憶しています。

ところがそのインセンティブは無くなりました。個別の案件に対するインセンティブではなく、毎月の計画数字に対するインセンティブへと変更されました。具体的には計画を達成すると1万円です。つまり毎月のインセティブは多くても1万円なのです。

これだと苦労して数字を達成してもしれていますから、数字を増やすというモチベーションが減少します。かつては右肩上がりであったうちの会社の業績が伸び悩むようになった時期は、このインセンティブの改悪の時期とちょうど重なっています。

手当ても減りました。以前は転勤した社員に対して住宅手当が支給されていました。家賃の7割が補助されていたのです。

それが転勤手当という名目に変更され、家賃補助は無くなりました。転勤手当は、毎月15,000円が3年支給されます。家賃に比べると毎月の支給額は大幅に減少しますし、しかも3年しか出ません。

こうして企業は人件費の抑制に動きます。そして人件費の抑制は、正社員を増やさないという方向にも。

サービス業などは、ほとんどがアルバイトや派遣社員によって動いています。もちろん人件費を下げることで、安い価格で質の高いサービスを提供できているという側面もあるのでしょうけど、非正規社員の増加は日本全体の平均給与の低下につながっています。先進国の中で、給料が上昇していないのは日本ぐらいです。悲しいですよね。

給料が下がっても、消費税は増税されますし、社会保険料も増えています。可処分所得が下がると消費が減りますから、さらに安い価格でないとサービスが売れなくなります。本当にやばい循環に陥っていると思います。

 

 

デフレを抜け出すには?

考え方を変える必要があると思います。安さだけを追い求めるのではなく、それなりの製品にはそれなりの対価を支払うという意識が重要だと思います。

個別の企業で言えば、コストを削減すると利益の上昇につながります。企業としては利益を上げるのが最重要課題ですから、売り上げ向上のための努力をすると同時に、コスト削減に注力するのは当然の行動です。

しかし、あらゆる企業がそうした動きをすると?当然消費が収縮し、その結果企業の収益が落ちます。個々の企業が良かれと行動したことが、全体から見ると不利益になることを「合成の誤謬」と言います。まさに日本ではこの合成の誤謬が発生しています。

逆に個々の企業が従業員の給料を増やしたらどうなるでしょうか。社会全体の消費量が増え、企業収益に貢献します。

日本は加工貿易の国であると昔習った覚えがあります。しかしGDPに占める輸出の割合は20%に満たないのです。実は圧倒的に内需の国なのです。しかもGDPのうち個人消費の割合は50%以上。個人のお買い物はかなり重要なのです。

そうした消費を増やすには、この二つしかないと思います。

・給料アップ

・減税

一般の人の可処分所得を増やすことが大切であると考えます。以前安倍首相が経団連に対して従業員の給料アップを要請しました。色々と批判の声が出ましたが、批判をする意味が分かりませんでした。日本は長年のデフレで、企業は人件費を抑える努力を続けてきました。そうした努力は個々の企業にとっては良くても、社会全体にとっては害悪でしかありません。諸外国に比べて給料が上がっていない日本において、企業が給料を上げることは非常に重要なことなのです。

可処分所得の上昇には、減税も効果的です。特に消費税ですね。なんと2020年度の税収は、企業収益が減少する中前年比増収でした。経済が悪くなっているのに増収っておかしいですよね。

それには消費税が影響しています。消費にかかる税金である消費税。要するに消費に対す罰則にようなもの。経済学的には、消費に負のインセンティブが働く訳ですから、消費税は消費を冷やしてしまいます。

一時期、消費税を減税してはどうかという意見が政治の現場でも出ていました。お金持ちにも貧乏人にも平等にかかる消費税。この消費税が減税されれば、消費の回復が見込まれるはずです。

消費が増えるということは、需要が増えるということ。デフレは需要の減少が要因ですので、需要増はインフレへとつながる道です。

けど消費税の現在はなかなか難しいのでしょうね。

 

 

まとめ

こんな記事を書こうと思ったのは、会社のパソコンのストレージの空き容量があんなくなり、共用のサーバーやonedriveにデータを移す作業をしているとき。この共用のサーバーも時々いっぱいになってしまうんですよね。

そんな作業をしていると、「なんでこんなことしてんだ」と考えてしまいます。会社の業務はほぼPCを使用して作業するのであり、そのPCのスペックが低いってマジでアホなんじゃ無いかと思ってしまいます。利益の源泉であるPCは、それなりのスペックでなければならないでしょう。

スペックの低いPCには、コスト削減の目的がちらつきます。ちらつくというよりは、そのものでしょう。ただ、日本中でこんなことをしていると、どんどん泥舟と化していくだけでは?コスト削減も重要ですが、もっと大局的に見るべきではと思ったのでした。

 

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