住のもの (すのもの)

地方都市でマイホームを購入し、家族の幸せを追い求めるブログ

単身赴任の解消をする企業が増加中。単身赴任の不合理な真実と、世の中から無くなるのに必要なこととは?

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この4月から単身赴任をしています。

会社の都合で転勤を命じられ、家族と一緒に動くことは不可能なので、仕方なく家族と離れて暮らすことに。家も買ったばかりですし、そこに住まないという選択肢は考えられません。

よく考えたら、単身赴任ってその存在が意味不明ですよね。ただサラリーマンとして労働力を提供しているだけなのに、家族と離れて暮らすことまで要求されるって、従業員の不利益が大きすぎます。

そんな昭和の悪い遺物というべき単身赴任。コロナ禍を契機に見直す動きが出始めています。すごくいいことですよね。

今回の記事では、単身赴任を解消する企業の取り組みを紹介し、単身赴任が時代にそぐわない理由を考えてみたいと思います。

 

 

 

 

テレワークの浸透により単身赴任を解消する企業が続出している模様

テレワークができるということは、オフィスにいなくても仕事が回るということ。パソコンさえあれば、どこでも仕事ができるようになりました。

そうなると、単身赴任をする理由がありません。大阪にいても東京の仕事ができるのですから。

このような背景もあり、単身赴任の解消に向けて動く企業が出始めました。

例えばカルビー。カルビーは早い段階から、フリーアドレスやペーパーレスを進めてきました。モバイルワークができる土壌が根付いており、どこでも仕事ができるなら単身赴任は解消しないとおかしいという考えに至ったようです。

対象者は100名程度。業務への支障がないと認められれば、単身赴任の解消の申請を可能としました。

大手旅行会社のJTBでは、遠隔地への異動となった場合でも、現在住んでいる地域で勤務できる制度を導入しました。広島から大阪に異動となった場合でも、広島にいながら大阪の仕事が可能となります。

社員にアンケートをしたところ、大半の社員がテレワークを経験し、今後も継続を希望していることが導入のきっかけとなったようです。

三菱電機も同じような制度を導入しました。遠隔地の配属先に出社せず、自宅でテレワーク勤務ができます。単身赴任を解消するだけでなく、育児や介護との両立をしやすい環境整備も目的です。

現状1,700名もの社員が単身赴任を強いられているそうです。以前から改善を求める声が出ていましたが、モバイルやタブレットPC等で仕事が可能と判断されたようです。

 

コロナ禍で大きく変わる働き方

コロナ禍でこれまでの常識が大きく転換しようとしています。コロナだからといって、企業の活動を止める訳にはいきませんから、仕方なく?導入されたテレワーク。テレワークを導入せずに、従来通りの出社を強いると、社会的な批判に晒される可能性もあります。

しかし、やってみるとこれはいいもんだと日本中のビジネスマンが気付いてしまいました。テレワークならどこでも働けるので、無駄な出社が不要になります。テレワークを基本として、定期代の支給を取りやめた会社も出てきました。まさにパラダイムシフトが起こりつつあります。常識が覆りつつあります。

そして、家で仕事ができるなら、そもそも転居を伴う転勤なんて不必要だろうということに。なんといっても単身赴任を続けさせる理由が薄れてきました。

これからのビジネスマンに必須のスキルは、テレワークを使いこなすことでしょう。誰よりもテレワークを上手くこなすことが成功への道標になるはず。

逆にまだまだ転居を伴う転勤を命じたり、単身赴任を強いる企業は今後生き残れない可能性が高くなるでしょう。まさにうちの会社ですね。

 

 

単身赴任が良くない理由

そもそも単身赴任はなぜ良くないのか。会社の命令一つで強制的に移住させられ、家族と離れ離れに。憲法にも居住移転の自由が謳われています。自分の意思で住む場所を決めて、自分の意思に反して住む場所を移されない自由です。まさに転勤は憲法に反していますし、人権侵害と言っても過言ではないでしょう。

その他にも単身赴任が良くない理由はたくさんあります。一部をあげてみました。

 

社会の動きに逆行している。子育て、介護など。

まず社会の動きに逆行していますね。一億総活躍社会が叫ばれており、重要ポストの女性の割合を増加させることが喫緊の課題となっています。特に日本は先進国の中でも女性の地位が低くく、世界的に見ても異常な状態です。

すでに専業主婦世帯は少数派ですが、今後ますます夫婦ともに正社員としてバリバリ仕事をしている家庭は多くなっていくでしょう。バリバリを仕事をしながらも、子育ても上手くなんなくこなせる環境が求められています。

そんな状況で夫が単身赴任でほとんど家にいなくなったら?家事や子育てのほとんどの負担が妻にのしかかります。妻も仕事をしているのに、その上子育てもしなければならないなんて不公平極まりない状態です。

しかし、平成の終盤くらいまではそんなことが当たり前の世の中でした。このコロナでようやく社会が気づき始めたような感じです。

とはいえまだまだ日本は「おじさん資本主義」。おじさんの価値観が蔓延しており、当分は日本型雇用の悪い部分は継続されてしまいそうです。世界的にも女性の社会進出が遅れているのは、この「おじさん資本主義」が大きな原因なのかもしれません。

 

従業員への負担増。モチベーションの低下。

家族と一緒に住むのではなく、生活拠点がバラバラになります。二拠点での生活。当然それだけ生活費がかかります。

単身赴任の対象者には手当を支給する会社も多いでしょう。しかし、うちの会社もそうですが、到底一人の大人が1ヶ月暮らすのに必要な生活費には足りません。余計な出費がかさみます。

また家族一緒に住んでいるのなら、家事は分担することができます。しかし一人暮らしだと、やるべき家事の量が増加します。仕事を終えてから、晩御飯を用意しなければなりませんし、洗濯なんかも。帰宅後も心が休まりません。

単身赴任は金銭面の負担だけでなく、心労も溜まります。従業員に負担を押し付ける制度なのです。

そんな境遇に追いやられると、なんのために仕事をしているんだという気持ちにもなるでしょう。仕事を理由に家族と離れ離れにならなければならないなんて、意味が分かりません。そこまで仕事に私生活を犠牲にしてまでもコミットするべきなのでしょうか。

単身赴任は従業員の会社への帰属意識を薄れさせ、モチベーションの低下を招くことになるでしょう。

 

そもそも必要性が感じられない。

企業で従業員の単身赴任を解消する動きが出始めたのは、テレワークなどによりどこでも仕事が可能になったことから、その必要性を感じられなくなったのが理由の一つでした。

今後ますますリモートワークに関する技術が進展し、企業の業務もそれに対応していくことで、どこでも働けるのは当たり前のことになるでしょう。

会社の組織分けは、役割分担の意味合いで今後も残っていくのでしょうけど、ひとつのオフィスにそれぞれのデスクがあってというような形態ではなくなるでしょう。

組織上大阪に所属しているとしても、北海道に居住しながら勤務するのもできるはず。

わざわざ従業員を転居させる必要がありません。

企業としても従業員を転居させるには、それなりに費用がかかります。

古い慣習から抜け出せるかどうか。

 

 

希望しない転勤がなくなるのに必要なこと。

では転勤や単身赴任がなくなるのに、どのようなことが必要なのか。それは転職が増えることであると考えます。その理由を説明します。

もちろん企業の意識が変わる必要があるでしょう。古い昭和の価値観がまだ少なからず残っており、それらが現在においては邪魔になってきています。そんな価値観から転換できるかどうか。

しかし根本的な原因は別にあると考えています。年功序列や終身雇用といった日本型雇用が大きく関与しています。

日本の企業においては、一度入った会社で定年まで働くのが当たり前。欧米のように簡単に解雇されないかわりに、会社のいいなりになることを強いられます。

また、長く働くほど賃金が上昇する年功序列。逆に言うと、若いうちは不当に安い給料で働かされていると言えます。同じ会社で長く勤務するインセンティブが存在します。

昔はそれらの制度がうまく作用していましたが、今はそんなことありません。世界的に見ても給料が上がらないなか、サービス残業や転勤など不当に無理を押し付けられている現状があります。海外では転勤なんてあり得ないなんて聞きます。

日本と海外で何が違うのか。それは、転職の市場でしょう。

欧米の企業では、ずっと何十年も同じ会社に勤めているなんてヤバい人なんじゃないかと思われるくらい転職が当たり前です。日本では一つの会社で定年まで勤め上げることが立派であると考えられますが、欧米では逆に何か問題を抱えた人とみなされるのです。

日本では転職は増えてきましたが、まだまだ一般的ではありません。なんせ、中年になるととたんに転職が難しくなります。

まずは、転職が当たり前の状況となることが大切でしょう。従業員の待遇が良くなる、そして転勤を無くすには、気軽に転勤できる状況が必要です。

変な待遇の会社は、すぐに飛び出すことのできる環境。転職が進まないのも、離職後に上手く再就職できない可能性が高く、それが従業員の転職を思いとどませるのと同時に、企業有利な状況を許しています。ブラック企業なんかがはびこる原因でもあります。

従業員が簡単にやめていってしまうようになれば、企業側としても待遇を改めなければなりません。優秀な社員ほど転職しやすいですから、繋ぎ止める努力をしなければなりません。

「労働市場の流動性を高めるべき」と主張すると、「新自由主義者だ」と批判されてしまいそうですが、今の日本の会社優位な状況を転換するには必要なことと考えます。

 

 

まとめ

今は自分も単身赴任。毎週家族の元に帰るようにしていますが、平日は家族離れ離れ。つくづく単身赴任てよく分からない制度です。従業員へ大きな負担をかける制度であると日々実感しています。

ようやくテレワークといった技術の進展により、ぽつりぽつりと単身赴任を止める企業が出始めました。嬉しい動きですね。この動きがさらに広がっていくことを期待しつつ、平日の夜は家族とビデオ通話でコミュニケーションをしようと思います。