最近つくづく思うことがあります。
職場における究極の無駄。それは怒りです。怒ってもなんもいいことないですよね。
自分はあまり怒らない方ですが、怒ってしまうことがあると必ず後で後悔します。怒らないでいた方が、どんだけ良かったことか。その後の業務も円滑に進んだはず。
最近は社内向けのセミナーとして、「アンガーマネジメント」の研修を実施する企業も多いようです。
そう、怒りは悪影響ばかり。今回は、自身の体験も踏まえて、職場での怒ることの非合理性について考えてみたいと思います。
なんもいいことない職場での怒り
職場に怒りは不要です。怒っても何も良いことはありません。生産性を下げたり、後悔したりと悪いことばかり。
職場での怒りはどんな悪影響をもたらすのでしょうか。
生産性を下げる職場での怒り
人は怒りに晒されると、仕事に集中できなくなってしまいます。怒られた後って、仕事が手につかなくなることがありますよね。
「なにやってんねん!」と大きな声で指導される場合と、「ここが良くなかったから、こうしたらもっと成長できるよ」なんて指導された場合。果たして、どちらの方が仕事へのモチベーションが上がるでしょうか。
当然後者ですよね。大きな声で指導されても、反発の心が生まれてくるばかり。優しくアドバイスをもらった方が、改善して頑張ろうという気持ちになります。仕事とは言え、人間には感情がありますから、しょうがありません。
怒りを聞くだけで、周囲の生産性も下がる
周囲で怒られている人がいると、それを聞いている人にも悪影響があります。直接怒られている人だけではないのです。
飲食店で大将が店員を叱っている場面。大将は店員がお客様に迷惑をかけてはいけないという想いからなのでしょうが、客にとっての一番の迷惑はその怒鳴り声の方です。だってそれを聞いた瞬間、メシがまずくなってしまいますから。
公共の場においても、たまに起こり散らしている人を目にします。市役所に行くとたまにいますよね、そんな人。自分にはまったく関係なくても、その怒った声はついつい耳についてしまいますし、それと同時になんだか嫌な気分になるものです。
人間の脳は怒りを露わにしている対象に、過敏に反応するそうです。怒っている人は、自分に危害を加えるかもしれません。注意して身構えなければなりません。
現代社会ではさすがに危害を受けることはそうそうありませんが、大昔からの記憶からそのような反応をしてしまうのです。怒りに接すると身構えてしまうのです。怒りを発する対象にどうしても注意を向けてしまいますから、仕事どころではなくなります。結果的に生産性を下げてしまうのです。
そういえばこんなことがありました。自分がまだ若い頃のこと。ちょうど口うるさい上司のもとに。まあ悪いのは自分なのですが、しょっちゅうガミガミ言われました。
その結果、同じグループの先輩が精神的に参ってしまいました。自分じゃなくて。ガミガミのネガティブな感情が、直接言われている本人だけでなく、周囲に影響したのでした。今でも申し訳なかったと思っています。
ちなみにそのガミガミ上司は、今では上司ではありませんが、自分の単身赴任のことを気にかけてくれたりといい関係です。
このように職場ので怒りは、周囲に悪影響を与えてしまいます。結構大問題ですよね。
不正に繋がる
過剰なノルマ。達成できなければ叱責が待っています。そう、怒られるのです。過剰なノルマには怒りがつきまといます。
過剰なノルマが不正につながった事例は枚挙にいとまがありません。うちの会社でも、売り上げがいかないからと架空の売り上げをして、処罰される社員が時々出現します。うちはそんなにノルマ厳しくないのに。
有名な事例といえば、かんぽ生命ですね。厳しいノルマを達成するため、悪く言えばお年寄りを騙して契約を獲得することが横行したのでした。
あとは、スルガ銀行も有名ですね。融資を獲得するため、銀行預金の残高まで改ざんしてしまうのでした。
背景には、叱責されることへの恐怖心があったのでしょう。こんなことが起こると、社会的信用も地に落ちますから、ノルマどころの話ではなくなります。
そもそも過剰にノルマを課したところで売り上げは上がるのでしょうか。結局商品が魅力的でないと売れないのであり、営業マンを怒ったところで、怒りにより生産性が落ちたり不正の温床となるだけです。
ノルマの厳しい業界といえば、保険や証券、銀行といった金融機関が有名です。結局金融商品ってどれも同じであり、自社の優位性を見せにくい商品です。だから売り上げを上げるためには、営業マンに発破をかけるしかないのでしょう。しかし、我々消費者の側からすると、そんな営業マンから紹介される金融商品は高くて魅力的でないので、営業マンのいないネット系に申し込んでしまいます。結局ネットリテラシーのない、お年寄りを狙うしかないのです。
怒ったら後悔が待っている
誰だってついカッとなることはあります。怒りは他人に影響することはもちろん、自分自身にもマイナスの影響を与えます。
まず大変後悔することに。怒り一つで人間関係は容易に壊すことができますが、それを修復するには長い時間が必要となります。
自分も何度かそんな経験がありますが、後で仕事がやりにくくなることこの上なしです。ちょっと怒るのを我慢したら、どれだけスムーズにことが運んだことか。
最近、あおり運転が社会問題となっています。ちょっとのことでカッとなってしまったんでしょうけど、事を起こしたらその後の人生にも狂いが生じます。
怒ったら負けです。「キレてないですよ。キレさしたらたいしたもんだ。」長州力さんじゃありませんが、常々こんな気持ちでいたほうがいいのでしょう。
怒りを抑えるために必要なこと
悪影響しかない怒り。怒りを露わにしないことは、周囲のためでもありますし、自分のためでもあります。
企業においても、アンガーマネジメントの研修が盛んに行われています。以前うちの会社でも実施されました。怒りを抑制し、冷静に問題解決に取り組むことが重要です。
アンガーマネジメントの方法として代表的なものが、6秒間ルールです。怒りはアドレナリンの分泌によって引き起こされますが、アドレナリンが体内を巡る6秒間を過ぎれば、怒りを抑えやすくなります。
こうした方法も重要ですが、個人的に大切だと感じるのが、「素直になること」「相手の立場になって考える」の2つです。
素直になること
もし自分が怒られた場合。怒られるということは、自分に問題があるのですから、素直に聞いておいて損はありません。若いうちは「なんで?」って反発したくもなりますが、反発してもなんも良いことはありません。反発するダメなやつというレッテルが貼られるだけ。心の中では納得していなくても、素直な態度を見せておけば周囲からの評価が上がります。そう、ビジネスの現場で素直さは結構重要な要素であると思います。まあ、あまりに馬鹿げたことはNOと言うべきですが。
相手の立場を考える
また、怒っている相手の立場を考えることも重要です。怒っている人の背景を知るとこで、その怒りに納得できます。上司である課長が自分に怒るのは、それまた上司の部長に怒られるからです。そう考えると、ネガティブな感情が消えていきますよね。課長も大変なのです。「そりゃ怒るよな」と怒っている理由を自分で納得できればいいのです。
部下にキツくあたる上司はどこの会社にもいるもの。そういう上司は、たいていの場合バリバリやってきた人であり、かなり仕事ができる人であるケースが多いです。
真面目であり、怒りはするもののそれは部下を追い詰めようとしている訳ではなく、何とか正しい方向性に持っていこうとしてくれているため。会社組織で偉くなる人で、そうそう悪い人はいません。(ブラック企業は知りませんが)
そんな怒りっぽい上司のもとで働くのは辛いですが、そんな上司の想いを理解すればネガティブな感情はなくなります。そして、そんな上司に限って、きっちりやったら褒めてくれます。
相手の立場や考えを理解したらネガティブ感情も消えますし、素直に従えるようになります。良い循環が生まれます。
まとめ
以上職場に焦点を当てて、起こることの非合理性を考えてきました。そう、怒ることは合理的でないのです。自分だけでなく、周囲の生産性も下げてしまいます。周りに怒っている人がいると、自分も悪い影響を受けてしまいます。
日本の文化には、怒って指導するのは当たり前みたいな雰囲気がありました。部活なんかそうですよね。必ず怖い顧問の先生がいたものです。しかし、怒って指導するより、科学的に検討した方がはるかに成績が伸びるはず。しかも学校の部活なので教育の一環であるはずであり、ちょっとした失敗に怒鳴る必要性が感じられませんよね。
そんな教育の先に日本の職場があり、成績がいかないことに対して理不尽に怒る文化が存在しています。仕事なのですから、成績がいかないならダイレクトに収入に反映すればいいと思いますし、怒鳴ったところで売り上げが発生するわけではありません。売り上げをあげるためには、怒りではなく戦略や良い商品が必要なはずです。
合理的に考えられるようになりたいものです。