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スタグフレーションの足音が!?そもそもスタグフレーションってなんぞや?その要因は?

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スタグフレーション。

経済現象として、インフレやデフレはよく耳にしますよね。

インフレはインフレーション、デフレはデフレーションの略称です。それぞれの意味は説明するまでもないと思いますが、インフレは物価が上昇し、貨幣の価値が下がること。デフレは、その逆ですね。物価が下がり、貨幣の価値が上がることです。

ここに聞き慣れない「レーション」が。レーションといっても、戦闘糧食ではないですよ。「スタグフレーション」。かなり良くない「レーション」です。

最近ニュースでよく耳にするのが、「スタグフレーションのへの懸念」。エネルギー価格が値上がりしており、インフレの懸念については良く聞きますが、さらにスタグフレーションに陥ってしまうかもというのです。

で、スタグフレーションってなに?どうやったら起こるの?何が良くないの?スタグフレーションについて色々と調べてみました。

 

 

 

 

スタグフレーションってなに?

スタグフレーションとは、2つの言葉を組み合わせた造語です。その2つとは、「スタグネーション」と「インフレーション」です。

インフレーションは分かりますよね。物価が上昇することです。では、スタグネーションとは?スタグネーションとは、「停滞」つまり不景気を意味する単語です。

つまり景気が良くないのに、物価が上昇する。それがスタグフレーションなのです。

 

スタグフレーションとは

景気が悪化しているときに、物価が上昇すること。

 

そもそもインフレとデフレはどうやって発生する?

景気の悪化と物価上昇。普段生活していると、商品の値段ってだんだんと高くなっているように思えます。自販機のジュースは、昔は100円で購入することができました。少年ジャンプだって、自分が子供の頃は190円で購入できたものです。現在は270円まで価格が上昇しました。

物の価格はだんだんと上昇しており、不景気の最中であっても物価上昇はあり得そうな感じです。

しかし、それは一般的な経済状態ではないのです。基本的に、不景気であれば物価は下がります。いわゆるデフレですね。

一般的なセオリーは以下の通りです。

・インフレーション(インフレ):景気が良い時に発生

・デフレーション(デフレ):景気が悪い時に発生

景気が悪くなると、お財布の紐が固くなります。消費が少なくなり、企業の売り上げが減少します。ものが売れないなら、価格を下げてでも売ろうとしますから、物価が段々と下がっていきます。

しかし、価格を下げると、当然企業の収益が悪化します。収益が悪化した企業は、従業員の賃金や雇用を抑えようとします。給料が減ったらますます財布の紐は固くなるので、さらに消費が冷え込みます。このような負の連鎖がデフレスパイラルです。まさに日本の状態ですよね。

逆に景気が良いと消費が増えますから、価格も段々と上昇します。多少価格を上げてもものが売れますから、企業にとっては収益を増やすために価格を上げるインセンティブが働きます。

ただ、インフレになりすぎると社会に悪影響を及ぼします。従業員の給料は、インフレに伴ってスムーズに変化することはなく、どうしても上昇に遅れが生じます。そうなると給料はそのままなのに、物価だけ高くなり、購買力が下がることに。景気が悪くなりそうですね。

そのような事態を防ぐために、中央銀行は行き過ぎたインフレを抑えようとします。金利を上げるなどの金融引き締めを行い、景気を抑えようとします。つまり、景気を冷やすことで、インフレを抑えるのです。

このように、景気が良かったらインフレになり、悪いとデフレになります。

 

インフレと景気後退が同時に起こるとスタグフレーション

そんなセオリーに反するのが、スタグフレーション。本来景気が悪いと物価が下がるはずなのに、逆に上がってしまう状態がスタグフレーションです。

景気が悪いのに物価が上がるって、最悪の状況ですよね。

では、そんなスタグフレーションって、何が原因となって発生するのでしょうか。

 

スタグフレーションの原因は?

代表的なスタグフレーションと言えば、オイルショックです。みんながトイレットペーパーの買い占めに走ったことは、学校の授業でも習ったと思います。原油価格の高騰により、不況下でありながら、物価の上昇が起こりました。

インフレには、デマンドプルインフレとコストプッシュインフレがあります。デマンドプルは、需要が多くなり発生するインフレ。身近な例だと、一時期のマスク価格の高騰があげられます。

もう一つのコストプッシュインフレとは、原油価格や人件費などコストが上昇して起こるインフレ。

オイルショックに代表されるように、コストプッシュインフレの際に、スタグフレーションに繋がりやすいと言えます。

 

 

スタグフレーションになるかも!要因となりそうな出来事をまとめました。

最近の報道によると、スタグフレーションが発生するかもしれないとのこと。

コロナ禍を受けて決して景気は良くありません。2020年の実質GDPは、前年比4.6%のマイナスでした。日本は低成長ではありますが、微幅ながら成長しており、マイナス成長ってよっぽどの事態です。

それに合わせて、2020年の実質賃金もマイナス1.2%でした。2020年は、経済成長も賃金もマイナスに陥った年でした。

そんななか、物価は上昇の兆しを見せ始めています。実際に発生しているインフレの要因となりそうな事象を、下記にあげてみます。

 

中国の電力不足

中国では、深刻な電力不足が発生しています。

それは大気汚染を防ぐため、石炭の使用を制限したため。ところが、火力発電には石炭を使用するのであり、発電量が大きく落ちてしまいました。

電力不足によって、工場の稼働がストップしてしまいます。中国は世界の工場であり、世界的なサプライチェーンに影響を与えます。

中国から部品が入ってこないと、他国の工場でも生産できません。供給が減少すると、価格の上昇に繋がります。

 

原油価格の高騰

原油価格も高騰しています。

それは、今後の消費拡大を見込んでの買い付けが増加しているため。

原油価格が高騰すると、ガソリン価格が高くなるだけでなく、当然灯油も高くなりますから、寒い地方の家計に響きます。

また、原油を原料とする素材の価格も上昇します。プラスチックなどですね。

 

船積み運賃の高騰

海外で製造されたものは、船に積まれて日本に入ってきます。船に積む際には、コンテナが使用されます。スエズ運河で座礁した船がたくさんのコンテナを積んでいたことは記憶に新しいところです。

運賃はそのコンテナ1個あたりの運賃となります。そのコンテナ1個あたりの価格がかなり高騰しているらしいのです。上昇幅はかなりのもので、従来の3倍とか4倍にまで上昇しています。

1月5日に1,418ポイントであったバルチック海運指数は、10月7日には5,650ポイントまで上昇しています。4倍弱の上昇です。

その背景にあるのは、世界的なコンテナ不足です。コンテナは世界中で巡り巡っていくものです。最大の貿易国であるアメリカにおいて、人手不足の影響からコンテナの動きが滞ってしまっているようなのです。

運賃の増加は、コスト増ですので、いずれ製品価格に転嫁されるかもしれません。

 

半導体不足

これはニュースでよく聞くところです。半導体の需要が世界的に高まっていますが、その製造装置は非常に高価であり、一朝一夕に製造体制を整えられるものではありません。

需要に対して供給が追いつかず、価格が上昇しています。半導体関連の株はかなり高騰しています。

最近の自動車にはたくさんの半導体が使用されており、半導体不足により自動車の減産が余儀なくされています。

アメリカでは自動車の供給が減少したことにより、中古車価格が高騰しているようです。

半導体は自動車だけでなく、スマホやPCはもちろんのこと様々な製品に使用されています。例えば家電製品。一時期は半導体不足により、エアコンの供給遅れも取り沙汰されました。

供給が絞られると、需要と供給の関係から価格が上昇します。

 

円安

ずっと1ドル110円くらいでしたが、最近は少し円安気味です。2021年10月15日時点で114円を超えるまで円安が進んでいます。

円安は輸出企業にとって良いことですが、逆に輸入では不利になります。

同じ1ドルの製品を輸入するのに、これまでは110円で良かったのに、114円必要になる訳ですから、製品を輸入するのに余計費用がかかるようになります。

なんといっても原油です。ただでさえ原油が高くなっているなか、円安になれば日本に入ってくる価格はさらに高くなります。

そもそも通貨が安くなるということは、その国のお金の価値が落ちているということ。つまり円の価値が落ちているのです。通貨の価値が落ちる=インフレですから、昨今の円安はインフレの序曲なのかもしれません。

 

リベンジ消費

これまでは供給側のインフレ要因となりそうな出来事をあげてきました。

最後に需要側の要因。にわかに「リベンジ消費」なるものが盛り上がっているといいます。これまで押さえつけられてきた反動が、緊急事態宣言の解除を受けて一気に噴出しつつあります。

旅行などのほか、高級車も前年に比べてかなり売れているそうです。

景気が良いと消費が増えます。つまり需要が増えて、ものの価格が上昇。そう、インフレになります。リベンジ消費で一気に消費が増加すると、インフレになるかもしれません。どちらかとこれは良いインフレです。逆に、原油高などによるインフレは悪いインフレと言えます。

 

景気はどうなの?

このようにインフレになりそうな要因がたくさんあることが分かりました。なんだかインフレになりそうな感じです。アメリカの中央銀行であるFRBも、インフレを懸念してテーパリングの検討を開始しました。テーパリングとは、これまで実施していた金融緩和を縮小していくことです。つまり経済の過熱感を抑えようという意図です。

しかし、物価が上がるにしても、景気が上向いているなら通常のインフレです。景気が悪いのに物価が上がるとスタグフレーションです。

2021年4〜6月の実質GDP成長率は、+0.5%となりました。年率換算で+1.9%です。経済は多少上向きつつあるようです。

前年というともっともコロナ禍のダメージを受けた年ですから、それを考慮すると成長率が鈍いような気がしますが、一応は上向きつつあるようです。なのでスタグフレーションにはならないのかもしれませんが、コロナ禍前に比べるとだいぶ落ち込んでいるのであり、そう考えるとスタグフレーションなのかもしれません。そこんところはどうなのでしょうか。

 

 

まとめ

以上、スタグフレーションについてまとめてきました。スタグフレーションとはなんぞや?から、その発生の原因、昨今の状況について調べてみました。

景気が悪いのに物価が上昇するって最悪の状況ですよね。物価上昇に伴って給料も上昇すれば良いのですが、景気が悪いと雇用者側が強くなりますから、なかなか難しいでしょう。しかも日本は唯一先進国の中で給料の上がっていない国ですから、賃金の上昇はなかなか見込めないのかもしれません。

なんとかスタグフレーションにならないよう、景気は上向いて欲しいですよね。それは今後の消費のあり方がキーになるのでしょう。リベンジ消費が盛り上がりつつあり、希望の光は見えつつあります。

岸田総理は広島出身。ちょうど自分が住む選挙区から選出されています。是非景気対策に力を入れていただきたいものですね。