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円安と住宅ローン。円安が進行すると、住宅ローン金利はどうなる?

現在かなり円安が進行中。20年ぶりに1ドル129円をつけました。歴史的な円安となっており、まだまだ進行しそうな勢いです。

ここで気になるのが、住宅ローンの金利。どうなるのでしょう。上がるのでしょうか、下がるのでしょうか。これから家を買う方、変動金利で借りてる方はかなり気になるはず。また、固定で借りていても、本当に固定で良かったのかどうか常々考えていることでしょう。

この極端な円安。住宅ローン金利にどんな影響を与え得るのか。調べてみました。

 

 

 

 

円安とは?

円安とは、ドルやユーロなど他の通貨に比べて円が安くなること。例えば1ドル100円から120円になると円安です。これまで100円で1ドルに両替できていたのに、120円出さないと1ドルに替えられなくなります。

各国の通貨は、日々市場で取り引きされ、為替レートが変動します。これを変動相場制といいます。昔は固定相場制で、1ドル360円でした。

円安になると、外国から食料や原料を輸入するコストが上がります。例えばアメリカで1ドルの商品を輸入する場合、1ドル100円なら当然100円の負担、円安で120円になると20円のコストアップになります。つまり円安では、日本が海外のものを購入する力が弱くなるのです。日本は資源や食糧などの多くを輸入に頼っており、輸入コストの上昇は物価の上昇にもつながります。そうインフレになります。

逆に輸出する場合は、収益が上がります。海外で1ドルで販売したものを円に換算すると120円になりますから、それだけ儲けが増えます。トヨタ自動車の場合、1円円安になるだけで400億円も収益が増えると言われています。日経平均株価を構成する企業は輸出企業が多いため、円安は株価を上げる要因とされてきました。

 

 

円安の住宅ローン金利への影響

それでは本題。円安になると、住宅ローンの金利にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 

国債金利が上昇し、固定金利が上昇

お金は有利な方へと流れる性質があります。現在円が下がっている要因は、世界的なインフレにより各国が金利を上げようとしているなか、日銀は頑なに金利を抑えようとしているため。

金利の上昇は景気を冷やす効果があります。まだまだ景気が回復していない時に金利を上げると、不況に逆戻り。なかなか難しい舵取りが求められているのです。

金利が上昇した信頼性の高い国の国債を買えば、安全にリターンを増やすことができます。つまりアメリカ、ドルですね。米国の動向に世界中が影響を受けます。

今の円安は、金利が低く抑えられている日本から、より金利の高い国へお金が流れているという背景があります。

日本でもインフレ圧力は強まりつつあります。企業の仕入れ時点の物価である企業物価指数は9%以上とかなり高くなっています。仕入れ値が上昇しているということは、いずれ消費者の価格にも転嫁されるはず。現に食料品の値上げが相次いでいます。

特に上がっているのがエネルギー。自動車のガソリンだけでなく、火力で発電する電気代も上昇し、新電力の撤退が増えています。

インフレが行き過ぎると、中央銀行は金利を上げて調整するのが定石です。アメリカの中央銀行であるFRBは利上げを予定しています。

そうした中で日本銀行は金利を上げられない状況が続いており、長期金利の上限を0.25%に抑えるよう、「指値オペ」で調節しています。

 

指値オペとは?

指値オペとは、日本銀行が一定の利回りを指定して、無制限に国債を買い入れることです。今は国債が0.25%の利回りになると、それ以上上がらないよう国債を購入しています。

金利は国債の価格が下がると上がります。つまり、国債がそれ以上下がらないよう、日銀が買い支えているのです。

 

指値オペはいつまで可能?

通貨は日銀が国債を購入するときに、その代金として発行されます。つまり、指値オペで国債を買い入れるということは、通貨の供給量を増やすことになります。

日銀は、アベノミクス以降の大規模な金融緩和により、マネタリーベースを膨らましてきました。マネタリーベースとは、世の中のお金の量のこと。お金の総量が増えるほど、その価値が希薄化します。お金の価値が下がるとインフレに。デフレをインフレに転換させるのが目的でした。

しかし、今は世界的にインフレが襲いかかっているところ。日本でも物価の上昇が現実味を帯びてきました。何でもかんでも値上げです。インフレに直面しつつあるなか、指値オペがどこまで継続できるか分かりません。インフレを考慮すると、ずっと続けることはできないでしょう。

これ以上マネタリーベースを増やさないため、現在0.25%に抑えている長期金利の上限を、もう少し高い金利まで容認することになるかもしれません。

 

固定金利が上がるかも

そうなった場合、真っ先に固定金利が上昇します。固定金利は長期金利つまり10年物国債の金利に連動するからです。市場金利がダイレクトに反映されます。

現に長期金利の上昇を受けて、固定金利は上昇しつつあります。フラット35の最安の金利は、2022年4月で1.31%。1月の時点では1.18%でした。固定金利は、毎月見直されています。

 

変動金利への影響は?

変動金利。近いうちに上がるのでしょうか。変動というだけあって、すぐにでも上がりそうですよね。

変動金利は固定金利に遅れて影響します。というのも、固定金利は市場の金利にダイレクトに影響を受けますが、変動金利は各銀行が決めているからです。変動金利は言わばスーパーで言うところの特売品であり、銀行同士の引き下げ競争が展開されています。

つい最近まで0.5%を切るような商品が出たと思ったら、今ではなんと0.4%を切る商品まで登場しています。金利は銀行の利益にあたる部分であり、変動金利は薄利多売な商品であると言えるでしょう。特に店舗を持たないネット銀行が安い印象です。

銀行間で競争が行われているので、すぐには上げにくいでしょう。

そして、現在住宅ローンを借りる人の7割が変動を選択していると言われています。かなり多いですね。ほとんどが変動金利。もし金利が上昇した場合、それだけ返済できなくなる人がたくさん出ることが予想されます。社会問題化しかねません。

このような環境から、変動金利はしばらく上がらない状態が続くと予想できます。しかし、このしばらくがどれくらいかというと、それは分かりません。案外早くに上げてくることも当然考えられます。

 

変動でもインフレが続くと上がる

本格的にインフレが続くようになった場合、変動金利でも上がっていくことに。まあ、変動なので、上がらない方がおかしいのですが。

インフレで金利がそのままだと、銀行が損をしてしまいます。

インフレ時には借金をしていると得であると言われます。インフレとはお金の価値が下がることであり、借金の残債も価値が下がることになります。ということは、金利がそのままだと、銀行側が損をして借り手は得になります。

そもそも変動金利は借り手が金利上昇のリスクを取ることで、低い金利で借りられる商品です。反対に固定金利は銀行がリスクを被ることで、最初から少し高い金利に設定されています。

インフレが続くと、変動金利が上昇する可能性があります。銀行間の競争によりすぐには上がらないでしょうけど、どこかの金融機関が金利の見直しをすると、堰を切ったように他の金融機関も追随しかねません。

 

 

まとめ

歴史的な円安が続いています。円安とは円の価値が下がることであり、インフレに繋がります。この円安により、エネルギー価格は大変なことに。諸々の問題により資源価格が上昇している中での円安なので、ダブルでパンチを浴びせられている状況です。

円安によるインフレを抑えるには、金利を上げるしかありません。ただ、景気が思わしくないなかで金利を上げるのは、かなりリスクの高い施策です。しかし、インフレへの世の中の批判から、金利を上げてくる可能性もあります。

すでに固定金利で借りているなら問題はありません。また、変動金利が固定金利並みに上昇するのは、よっぽどのことがない限り無さそうです。可能性はゼロではありませんが。

注意すべきなのが、これから家を買う方。ローンの適用金利は、マンション受渡時の金利。2年後の3月ならその時の金利です。先の金利がどうなっているかは、誰にも分かりません。予想外に上がってしまっていることもあり得ます。特に固定金利は要注意です。