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地方都市でマイホームを購入し、家族の幸せを追い求めるブログ

インフレとマイホームの関係を考える。物件の価格は?住宅ローン金利は?

世界的なインフレが発生しています。コロナ禍で供給力が弱体化したのと、世界的に大規模な金融緩和が実際されたのがその原因です。

長年デフレに苦しんできた日本も同様で、欧米ほどではないにせよ物価が上昇しつつあります。黒田日銀総裁の発言が炎上してしまうほど、世間は物価の上昇に敏感になっています。

このインフレ、マイホームとどのような関係があるのでしょうか。家を所有している、あるいはこれから買おうとしている方にとっては気になるはずです。

マイホームとインフレの関係を考えてみます。

 

 

 

 

インフレとマイホーム。どのような影響がある?

インフレはマイホームにどのような影響があるのでしょうか。すでにマイホームを持っている人はもちろんのこと、これから購入を検討している方にも大いに影響があります。マイホームに関して、インフレのメリットとデメリットをあげてみました。

 

インフレのメリット

インフレによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。持っている物件の価格が上昇したり、住宅ローンが軽くなるメリットがあります。

 

所有する不動産価格が上昇する

通貨の価値が下がり、物の値段が上がるインフレ。現物の資産である不動産の価格は上昇します。不動産はインフレへの対策になると言われています。

また、インフレは建築にかかる費用の高騰も招きます。コンクリートや木材などの資材や、水回りやガス機器などの住宅設備の価格も上昇します。それに人件費の高騰から建築費も上昇するでしょう。

しかし、金利が上昇すると話は別。金利の上昇は不動産価格の下落につながります。長期で大きな金額を返済する住宅ローンは、少しの金利上昇により返済額が膨れ上がります。それだけ借り入れできる額が少なくなるので、高価な物件は売れにくくなります。その結果、金利上昇は不動産価格の下押し圧力となります。

とは言え、都市部の優良な物件は海外からのお金も入るでしょうから、インフレ下の金利上昇で、不動産が一概に下がるとは言い切れません。

 

住宅ローンが軽くなる

金利の変わらない固定金利に限った話です。インフレとはお金の価値が下がること。つまり、借金の価値も下がるのです。毎年2%ずつ物価が上昇するなら、2%ずつローン残債も目減りしていくことになります。

例えば、1965年と2011年では物価は4倍くらい違います。現在120円のジュースが、30円で購入できていたことになります。同じ100円でも、数十年前と今とではその価値が大きく異なるのです。

固定金利の住宅ローンを毎月8万円返済しているとします。極端な例として、物価が3倍になり、毎月30万円だった給料が90万円になったとします。100円のジュースはもちろん300円になります。しかし、そうなったとしても返済額は8万円のままなのです。かなり住宅ローンの負担が軽くなりますね。

変動金利の場合は、インフレに伴って金利が上昇します。なので、固定金利のような恩恵は受けづらいです。

 

 

インフレのデメリット

メリットだけではありません。もちろんデメリットがあります。どちらかというと、既に不動産を所有している人はメリットが大きく、これから購入する人はデメリットが大きいと言えるでしょう。

 

家が買いにくくなる

インフレにより住宅価格が上昇すると、当然家を買いづらくなります。インフレに伴って給料も増えれば良いのですが、これまで給料を上げてこなかった日本の企業が簡単に上げるとは考えづらいですね。給料が上がるまで少し時間がかかるでしょう。

しかも、日本の消費者は安い=正義というデフレマインドが深く根付いており、なかなか思い切った値上げはしづらい状況が続くことでしょう。企業の仕入れ値である企業物価指数は9%とかなり高い数字になっており、仕入れ値の上昇を価格に転嫁できずに収益を圧迫している構図が見て取れます。それは人件費の抑制という形で影響するかもしれません。

インフレで物件価格は上昇するのに、給料がなかなか上がらないので家が買えないという状況が考えられます。

 

住宅ローンの借入金利が上昇する

インフレになると金利が上昇します。現に固定金利は最近上昇気味です。固定金利は長期金利(10年物国債の金利)に連動しており、その長期金利が上昇しています。

住宅ローンの金利は、ローンの実行時つまり住宅費を払い込むときの金利が適用されます。新築マンションは、完成前から契約するのが一般的です。入居が数年先になることもざらです。そんな数年先の金利がどうなっているのか分かりません。インフレが続くなら、金利が上昇している可能性が高いです。

これから家を買う人にとって、インフレは住宅価格の上昇だけでなく、金利上昇というハンデを負うことになります。

 

変動金利が上昇する

インフレによって上昇するのは固定金利だけではありません。当然変動金利も上昇するでしょう。固定金利と違って、変動金利は金融機関が独自に決めており、金融機関同士での競争があります。なので変動とは言っても、競争環境の中ではなかなか上げづらい状況が続いています。

変動金利は安いものだと0.4%を切るような商品があります。しかし、継続的に毎年1%のインフレが発生すると、0.4%しか金利の取れない金融機関は損をしてしまいます。インフレが固定的になると、変動金利も上げてくることでしょう。

 

 

 

現在の日本のインフレについて

ところで、確かに値上げのニュースが続いてますが、本当にインフレになっているのでしょうか。最近は毎日のように値上げのニュースを耳にしますよね。食料品など様々な商品の値上げラッシュが続いています。ガソリン価格も厳しいですよね。現在の日本のインフレ状況について見てみます。

 

 

統計的にはインフレではない

では、統計的にはどうでしょう。物価を表わす代表的な指標として「消費者物価指数」があります。一般的な家庭における消費支出の対象の中から、代表的な582品目の価格をもとにして算出されます。

また、消費者物価指数には、3つの指数があります。すべての品目を対象とした総合指数、気候によって変化してしまう生鮮食品を除いたコア指数、さらに政治情勢によって変動しやすいエネルギー価格を除いたコアコア指数があります。

価格変動の激しい要素わ除いたコアコア指数こそ、インフレやデフレの傾向を捉えやすい指数と言えます。

2022年4月の消費者物価指数は以下の通りです。

総合指数:2.5%

コア指数:2.1%

コアコア指数:0.8%

アベノミクスで目標とされたのは、継続的に2%のインフレが起こることでした。総合指数では2%を超えていますが、肝心のコアコア指数は0.8%です。原油高の影響を受けているのでしょう。しかも、3月はマイナス0.7%。ようやくプラスになったばかりです。

昨今の報道からすごく物価が上昇している印象を持ってしまいますが、値上がりするものがあれば逆に下がるものもあり、トータルではまだまだ2%のインフレに程遠いのです。

住宅ローン金利を見ても、固定金利こそ上昇していますが、変動金利は過去最低水準のままです。銀行もまだ金利を上げるべきタイミングではないと考えているのでしょう。

 

 

まだ引き締めをしてはいけない

金融緩和とは、金利を引き下げたり、お金の供給量を増やして、世の中のお金の流れを円滑にすることです。つまり、景気を上げるための施策です。

その逆は引き締め。金利を上げるなどして、加熱しすぎた景気を冷やすことが目的です。インフレを抑えるには、金融緩和を止める必要があります。値上げのニュースが飛び交うなか、これまでの金融緩和に批判が起こりつつありますが、ここで引き締めていいのでしょうか。

値上げ許容度の発言で日銀総裁が炎上したりと、世の中はインフレへの懸念から緩和に反対が大勢のように思えますが、ここで金融緩和を止めるべきではないと考えます。

上記の消費者物価指数を見る限りでは、まだインフレとは程遠い状況です。何十年もデフレが続いてきたので、ちょっとやそっとじゃインフレにはならないでしょう。

しかも景気は決して良い状況ではなく、さらに財政出動などで景気を刺激して、インフレに負けないくらいの賃金上昇を目指すべきです。ここで道を誤ると、さらに失われた何十年が続くことになります。

日本はずっと成長せずにデフレを放置した結果、賃金は上がらず物価の安い国に落ちていこうとしています。安いニッポンという本が話題になりました。

 

 

まとめ

以上インフレとマイホームの関係について考えてきました。すでに家を持っているなら、住宅価格の上昇やローン残債の目減りといった形で恩恵があります。逆にこれから買う方にとったはつらいですね。不動産価格が上昇しますし、ローン金利も上がるかもしれません。

これまでずっとデフレだったので、多少のインフレになるのは良いことかもしれません。しかし、今のインフレは悪いインフレと呼ばれるコストプッシュインフレです。良いインフレとは、需要が増えて引き起こされるディマンドプルインフレ。

そして、景気は良くならず賃金も上昇しない中での物価高は、スタグフレーションと言います。ここで経済政策を誤ると、スタグフレーションとなり、家を買うのが難しい状況に陥ってしまうかもしれません。