住のもの (すのもの)

地方都市でマイホームを購入し、家族の幸せを追い求めるブログ

金融政策が変わると、住宅ローン金利はどうなる?

f:id:mister19:20220306002445p:plain

2013年以降のアベノミクス以降、異次元の金融緩和が行われてきました。いわゆる黒田バズーカですね。

しかし、岸田政権に変わってからというもの、これまでの金融政策を転換する気配を見せています。金融所得課税の強化はその典型ですね。

これまでの金融政策が変わる、つまり異次元の金融緩和策をやめたら、住宅ローンはどのような影響を受けるのでしょうか。金利は上がるのでしょうか。

一般論的なところから考えてみたいと思います。

 

 

 

 

これまでの金融政策。異次元の金融緩和とは?

アベノミクスは3本の矢として、大規模な金融緩和、積極的な財政政策、成長戦略がかかげられました。財政政策については、消費増税もあったりしてほとんど力が入っていなかった印象。そして成長戦略も。新たな基幹となり得る産業が出てきた訳ではありません。

唯一実施されたのが金融緩和。日銀総裁が黒田氏に変わって以降、これまでの政策から大きく転換しました。

 

インフレターゲットの導入

具体的にはインフレターゲットの導入があげられます。もともと中央銀行の使命はインフレを抑えること。あえてインフレを起こすようなリフレ政策には、かなりの抵抗があったのです。

基本的に景気が良くなるとインフレになりますし、悪くなるとデフレになります。日本はずっとデフレで苦しんできました。

デフレはものの価格が安くなること。消費者にとっては良いように思えますが、回り回って社会全体に悪影響が及びます。企業にとっては製品を販売しても、価格の下がるデフレ下では得られる収益も減少します。収益が減ると、更なる投資も控えるようになるでしょうし、従業員の給与も上げられません。現にバブル崩壊後のデフレに苦しんできた日本では、ほとんど平均所得が増えていません。これは先進国の中でも特異なことです。デフレにより、日本全体の総需要を減らすことが問題なのです。

デフレは良くないこと。ではインフレは?もちろん行き過ぎたインフレは、経済に悪影響を与えます。インフレに連動して給与が増えれば良いですが、給与額には色々と取り決めがありすぐには変わりません。どうしても価格の上昇に遅れてしまいます。

となると、給与額が変わらないのにものの価格ばかりが上昇するといった状況となり、消費を冷やしてしまいます。景気が落ち込んでしまいますよね。

突然高いインフレが襲うと、世の中が大変なことになります。しかし、軽微なインフレが継続的に発生するのは、経済に好影響があります。継続的なインフレが予想できれば、価格が上昇しない今のうちに買ってしまおうという意識が働きます。消費や投資が刺激されるのです。具体的には、2%程度のインフレ率が望ましいとされています。日銀の目標も2%のインフレ率ですよね。

 

インフレを起こすため、マネタリーベースを拡大

デフレ状態を脱却し、インフレを起こすために異次元の金融緩和が行われました。その方法とは、マネタリーベースを増やすこと。マネタリーベースとは、世の中に流通するお金の量のことです。

そのマネタリーベースを増やすには、どうすれば良いのでしょうか。日銀は紙幣を発行することができます。紙幣は「日本銀行券」と言いますね。そう、お金をたくさん発行すれば良いのです。

で、そのお金を発行する方法について。ただただ紙幣を印刷するのではありません。

日本銀行券つまりお金は日銀のバランスシート上では負債となります。例えばポイントを発行する企業のポイントも、やはり負債となります。いずれお金の代わりに買い物で使用されるからです。お金やお金に近いものを発行すると、発行元にとっては負債となるのです、

では、その反対の資産は何かというと、それは日本国債になります。日銀は国債を買い入れる対価として、日本銀行券を発行するのです。国債は民間の銀行から買い入れ、その代金は日銀当座預金に振り込まれます。

このように発行されたお金の総量がマネタリーベースです。つまり国債をどんどん買い入れて、お金をどんどん発行しました。

お金の総量を増やすことで、世の中に多くのお金が供給されることから、景気が良くなるだろうという予測のもと期待インフレ率が上昇。それに伴って実際のインフレ率も上昇するという算段です。また、インフレとはものの価値が上がって、お金の価値が下がること。お金の量を増やすことで価値が希薄化し、それによってインフレとなるということも想定されます。

 

 

これからの金融政策はどうなる?

軽微なインフレを起こすべく、異次元の金融緩和が実施されました。ところが、思うような結果は得られていません。いまだに2%のインフレ率は未達成です。

ものの価格が上昇し給与も上昇するという状況になればベストですが、株や不動産といった資産価格だけが上昇しています。余ったお金が設備投資や消費、人件費に回らずに、株や不動産の資産購入に回った格好です。

投資家でない一般庶民が苦しむなか、投資家=お金持ちだけが潤っているという見方を岸田総理はしているようで、金融課税の強化や自社株買いの制限、四半期業績開示の変更といった議論が出ているのはその証です。

ただ、NISAやidecoを推進して、貯蓄から投資という流れのなか、金融所得への増税はいかがなものかと考えてしまいます。

そんな感じなので、金融政策は大きく舵を切られる可能性があります。というか、そうした兆候が見え始めています。

日本銀行の金融政策は、政策委員会による金融政策決定会合により決められます。政策委員会は総裁、副総裁2名、審議委員6名の計9名で構成されます。参加するメンバーの考え方により、政策の方向性が左右されます。アベノミクスを推進した安倍政権では、そもそも総裁がリフレ派の黒田氏ですし、審議委員にもリフレ派の片岡氏が推薦されました。

その片岡氏が任期を迎えるにあたって、政府が推薦したのが債券を専門とする高田氏であり、どちらかというと財政再建派の人です。それに黒田総裁の任期もあと1年ちょっとに迫っています。恐らくリフレ派の人が選ばれる可能性はかなり少ないでしょう。

金融緩和をテーパリング、つまり徐々に解消していく方向に向かうかもしれません。中央銀行が引き締めや緩和のどちらも行わないスタンスを正常化と言います。正常化の方向に舵を切るということですね。

 

 

住宅ローン金利はどうなる?

これまでの金融緩和政策により、金利はほぼゼロに抑えられてきました。国債を日銀が購入するので、国債価格が高くなり、金利が低い状態で維持されました。日銀が国債の買い入れを減らすと、国債の需要が下がることとなり、国債価格が下がります。国債の金利は、国債価格が下がると上昇します。つまり金利が上昇する可能性があるということです。

これまでは量的緩和で金利がゼロやマイナスになっていましたが、正常な状態とはある程度金利がある状態。現在の住宅ローンは超低金利です。正常化されると、確実にローン金利は上がるでしょう。まずは固定金利が上昇し、遅れて変動金利が上昇します。

 

 

まとめ

岸田総理になって、これまでの量的緩和政策、いわゆるアベノミクスが転換される気配を見せています。株価の上昇など、アベノミクスは一定の効果をもたらしたと思います。景気も徐々に良くなっていましたね。

しかし、当初目標としていた2%のインフレは、未だ達成できていません。なので、アベノミクスは失敗だったのではといった風潮が強くなってきています。個人的にはアベノミクスが悪かったというよりは、その間に実施された2度の消費増税がせっかくの上昇基調をその都度挫けさせてきたのだと思っています。

そんなこんななので、これまでの金融政策が変更される可能性があります。しかも世界的にインフレが襲いつつあります。インフレの原因は、コロナ禍を受けて世界的な金融緩和が行われたため。お金がたくさん供給されたことにより、お金の価値が希薄化し、物価が上昇しています。この物価上昇が日本にも影響を与え始めています。エネルギー価格などかなり高騰中。物価上昇の局面においては量的緩和は続けられません。更なる物価上昇を招いてしまうからです。となると、金利を上げる方向に進まざるを得ず、住宅ローン金利の上昇が予想されます。

果たして、どうなるのでしょうか。もし、これから金利が上昇すると予想する場合、今の低い固定金利が有利になりますし、上がらなければ変動金利の方が少ない負担で済みます。