住のもの (すのもの)

地方都市でマイホームを購入し、家族の幸せを追い求めるブログ

企業の地方移転について、そのメリットとデメリットを考えてみる。

f:id:mister19:20200914225017j:plain

人材派遣大手のパソナが、本社機能を淡路島に移転するというニュースが駆け巡りました。えっ、淡路島?っと驚きました。だって東京から淡路島ですよ。ものすごいギャップです。

大阪出身の自分からすると、淡路島のイメージって「ホテルニュ〜ア〜ワ〜ジ〜」というCMソングです。関西人であれば100%の人が聞いたことのあるメロディです。キダタロー先生の曲かと思ってましたが、調べてみると実は違うようですね。

また、淡路島はアワイチといって一周約150kmが、関西のサイクリストの定番コースでもあります。自分も一度挑戦したことがあります。

そんな淡路島。明石海峡大橋が開通して、関西から気軽に訪れることができるレジャースポットというイメージであり、そんなところに大企業のしかも本社が移転するのですからかなりの驚きです。対岸の神戸市なら分かりますが、淡路島ですよ。

東京一極集中に対して問題意識を持つ立場からすると、淡路島はさておき、企業が地方に移転することは大いに賛成です。

今回の記事では、企業が地方へと移転することに対するメリットやデメリットについて考えたいと思います。

メリットやデメリットといっても、そう単純ではありませんでした。企業からミクロ的に見るのと、社会全体のマクロ的視点で見るのでは、当然中身が違ってくるでしょう。また、個別の企業に視線を向けても、会社と従業員でもメリットデメリットに違いがあるはずです。それぞれ分けて考えていきたいと思います。

 

 

 

マクロな視点から

まず社会全体から俯瞰した場合、企業の地方移転にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

 

メリット

東京一極集中の是正

f:id:mister19:20200914225243j:plain

国の機能や経済、富が一つの都市に集中してしまうのは、良くないことだと思います。その都市に集まることで効率化できるのでしょうけど、国全体の成長を考えた場合、それを阻害する要因になるのではと考えます。企業の地方移転が進むことで、一極集中の解消へと繋がります。

自分が考える東京一極集中の問題点については、こちらの記事にまとめています。

 

www.sunomono19.com

 

地方活性化による経済成長

東京一極集中の裏側では、地方がどんどん疲弊しています。地方が創業の企業でも、本社を東京に移す動きが続いていました。本社が移れば、自治体の法人税収が減少します。なにより雇用が少なくなるので、貴重な若い人材が流れ出てしまいます。

鳥取県に住んでいたことがあり、米子の営業所を拠点として山陰の両県を回ってきました。顧客の企業を訪問しても、たいていある程度年齢の高い方が担当です。若い人が少ないです。街を歩いていても、ほとんど見かけません。

地方のエリート層は、大都市に出て行くか、地元の地銀か自治体に就職するのです。

このような状況のなか、少しでも企業が地方へ移転すれば、大きなインパクトがあるはずです。パソナでは1,000人以上が淡路島に移り住むようです。家族を合わせれば数千人になるでしょう。それだけ住居が必要ですし、地元のスーパーや飲食店も潤います。

各地方では様々な地域おこしの取り組みが行なわれていますが、なによりの地域おこしは人が増えることだと思います。

 

少子化の改善

f:id:mister19:20200904103213j:plain

合計特殊出生率は、東京都がもっとも低く2019年度の厚労省の調査で1.15でした。人口を維持するためには、2.07必要と言われています。全国平均は、1.36です。全国平均でも2.07には遠く及びません。その中でも東京はダントツで低い数値なのです。

子育て世代の人口が出生率の高い地方に移れば、多少は少子化のブレーキに寄与できるでしょう。

 

リスク分散

あらゆる機能が東京に集中すると、首都直下型地震といった災害が発生した場合、東京だけでなく日本全国がダメージを受けることになります。

首都機能を移転といった話は随分前から出ていますが、一向に議論さえ進んでないようです。

一時期は省庁を地方に移転する話もありましたが、結局文化庁が京都に行ったのみでした。

企業としてもBCPの観点から、機能を分散させるのは重要でしょう。最近はテレワーク等で分散させやすくなりました。

 

デメリット

東京近郊の不動産価格下落

f:id:mister19:20200914225418j:plain

タワーマンションがバンバン建っている東京。オリンピック後にはハルミフラッグの入居も始まります。4,000戸を超える分譲数であり、すべて埋まると1万人規模の街ができるのです。地方の町や村くらいの規模です。

しかし近頃はテレワークの普及もあって、家賃の高い都心ではなく、緑豊かな郊外に住むという考えも広まっています。出社する回数が減るのなら、都心に住む必要性が薄れてきたのです。

さらに企業の本社が移転するとなると、それに合わせてかなりの人数が転出することになります。1,000人単位の企業が10社動くと、それだけで1万戸の需要減です。

住居だけでなく、オフィス需要も減っていくでしょう。現にテレワークに移行した企業は、それだけオフィスの面積を必要としなくなりますから、解約したりより小さなオフィスへと移転する動きが出始めており、7年近く右肩上がりであったオフィス賃料がとうとう下落に転じたと報道されていました。

 

東京の需要縮小

f:id:mister19:20200904103153j:plain

地方に企業が移るとその地方は当然潤います。その結果日本全体では需要が増えていくと思いますが、その反面東京に焦点を当てると当然需要が減っていく訳です。

大きな人口や多数の企業があることで、それに合わせて商店やサービス業も需要に応じる形で増えていたことでしょう。当然苦しくなります。

東京をエリアとする営業マンも、成績が上がらなくなって大変です。

 

ミクロな視点から 会社目線

以上マクロな目線で、東京一極集中のメリットとデメリットをあげてきました。ここからは移転を決めた個別の企業にとって、どんなメリットやデメリットがあるのか考えてみます。

しかし、会社と従業員は立場が違う訳で、それぞれ移転に対するメリットとデメリットは違うはずです。分けて考えてみます。まずは会社目線から。

 

メリット

固定費を下げられる

f:id:mister19:20200914225653j:plain

賃料が高い東京から地方へ移転することで、当然固定費が下がります。社用車をたくさん持っている会社であれば、駐車場代も節約できます。場合によってはタダになるでしょう。

 

人件費の削減、人員整理

全国の都道府県でもっとも平均賃金が高いのが東京都です。東京で人を雇うのではなく、地方で雇う方が人件費が抑えられます。地方にとっても雇用が増えるのでいいことでしょう。

また、地方に移るということは、従業員からすると転勤を余儀なくされます。本社が移るということですから、その会社にいる限りもう東京には戻れないかもしれません。ついて行かずに転職を決断する人も出てくるはずです。人員の余剰を感じていた企業にとっては、裏の目的として人員整理を考えることもあるでしょう。

 

リスク分散

f:id:mister19:20200904103203j:plain

一つの拠点に人や情報を集中させるのは、なにかと危険です。災害時に会社の業務を止めないよう、機能を分散させることは重要です。BCPですね。

営業機能は東京がメインで、総務や経理といった本社機能は地方という形が現実的な気がします。

 

税制優遇

企業の地方移転に対して法人税を引き下げる法律が施行されています。まだあまり適用事例は無いようですが。地域再生法という法律で、「地域拠点強化税制」が設定されています。

また、地方自治体でも独自の施策として、移転してきた企業に対して優遇措置を行なうところもあります。

 

イメージアップ

人口が密集する東京は、当初Go Toトラベルの適用から除外されました。また、中国地方を営業していると、東京からの来訪はNGというお客さんがほとんどです。大阪もNGですね。うちの会社の場合、専門のスタッフが東京や大阪にいますので、こちらに来て商品の提案をしてもらいたいのですが、ずっとそれができない状況が続いています。

そんな感じで、東京=密という良くないイメージを持つ人がかなり多くいるのが実情であり、そんな東京を離れるという決断をした企業のイメージが上がりそうだと想像できます。

 

デメリット

一時的なコスト増

f:id:mister19:20200914225824j:plain

大人数が移動するので、社員の引越し代がかかります。そして、会社の引っ越し代もですね。書類やらパソコンやら什器やら、かなりの費用になりそうです。

さらに、たくさんの社有車を持つ場合。名義変更が大変です。個人であれば、本当はダメですが、引っ越ししてもそのままという人も多いと思います。しかし、会社はコンプライアンスがありますので、そこはしっかり変更しなければなりません。一台ずつ印紙代がかかりますし、行政書士への手数料もかかるでしょう。

 

優秀な社員の退職

f:id:mister19:20200914225857j:plain

せっかく東京で生活基盤を整えたのに、会社が地方に行ってしまうって青天の霹靂です。最近は赤字でなくても早期退職を募集する企業が出てきていますが、そういうときは辞めて欲しくない優秀な社員から辞めていくようです。

優秀な人は転職も簡単でしょうから、移転するとなるとそうした社員が出て行ってしまうことを覚悟しなければなりません。

 

人材が集まりにくい

いざ地方に移ったはいいが、募集してもなかなかいい人が集まらないということに陥りそうです。だって、いい人は東京にいますから。

このような地方移転のトレンドが大きくなれば、地方にもいい人材は増えていくことでしょうが、最初のうちはなかなか厳しいかもしれません。

 

会社へのアクセス

東京と違って地方は公共交通機関が貧弱です。新幹線、飛行機となんでも集まる東京と違って、地方はのぞみが停車しません。名古屋から新横浜まで一切止まらないって、よく考えるとすごいですよね。静岡の知事がリニアに批判的なのも分かる気がします。

特に飛行機ですね。自分が住む広島市は、広島空港がもっとも近い空港ですが、山の中にあってかなり不便です。広島市内からだと電車では直接行くことができず、必ずバスに乗らなければなりません。大きなスーツケースを持って、駅で乗り換えって面倒です。それに、便数もそれほど多くありません。

従業員が本社に出張することがあるでしょうし、お客さんが訪ねるかもしれません。オンラインでいいじゃんという意見もありますが、会ったり集まったりすることもたまには必要でしょう。そんなとき、交通の貧弱な地域であれば、それがネックになります。

 

結局東京にもオフィスが必要

地方への移転が進むといっても、それでも大部分の企業は東京に残りますし、ずっと大きなマーケットであり続けるでしょう。そうであれば、結局のところ営業拠点として東京にもオフィスは必要となります。

 

ミクロな視点から 従業員目線

会社目線での地方移転のメリットデメリットを考えてきました。従業員からすると、どういったことがメリットであり、デメリットなのでしょうか。

 

 

メリット

生活コストが安くなる

地方は家賃が安いので、生活コストは下がります。車を持っているのなら、駐車場代も安くなります。鳥取の米子にいる時、そのマンションでは車2台まで駐車場代が無料でした。

ただ、生活必需品や食料品については、大都市も地方も変わらないでしょう。花王のアタックが、地方だと安いということはなく、全国どこでも似たような価格です。スマホなどの通信費もそうですよね。

 

自然に近いのんびりした生活ができる

f:id:mister19:20200831222651j:plain

地方は都市部の範囲が小さいので、中心部からでも少し行けば、自然豊かな郊外の雰囲気となります。自分は広島市内ですが、車で30分も行けば緑豊かな地域に行けます。

子育てにもいいことではないでしょうか。

 

無駄にしんどい通勤からの解放

地方は通勤が楽です。会社から自転車で通勤できる範囲でもそれほど家賃が高くないので、1時間以上かけて公共交通機関で通う必要がありません。電車で通勤したとしても、東京ほど混雑する地域は無いでしょう。

 

里山資本主義が実践できる

f:id:mister19:20200914230108j:plain

うちの会社のKさんは、広島市の隣町に居を構えており、毎日自転車で30分もかからずに通勤されています。

週末になると、釣りに出かけます。釣り方は毎回同じ。サビキ釣りです。アジ、サバ、メバルなど堤防から狙える魚を釣ります。Kさんは釣りが大好きですが、ルアーでアジングやメバリングをする訳ではありません。一番の目的は食料の調達。大量にしかも確実に釣れるサビキがもっとも適した釣法なのです。まわりの人は漁と呼んでいます。

また、Kさんの家はちょっとした丘の住宅団地にあります。近所に畑を借りており、玉ねぎやナス、トマトなど季節の野菜を作っています。大量にできるので、玉ねぎをお裾分けしてもらったこともあります。採れたてなので、サラダにしても美味しかったです。

このように広島市内の中心部に自転車で日々通勤する傍ら、里山資本主義的な生活が可能なのです。生活費がほとんどかかっていないそうです。

その結果、毎月20万円も投資信託の積立ができているようで、資産家となるのは時間の問題でしょう。

 

www.sunomono19.com

 

デメリット

これまでの生活基盤を壊される

本社に長年勤めていたのであれば、当然生活基盤もそこに構築しているはずです。近頃は大半の家庭が共働きであり、夫婦二人とも働いているのが当然の状況です。

それに子供がいれば、学校の問題もあります。子供は子供で友達がいますので、転校させるのは可哀想です。

突然本社が地方に移ると言われても、動けない方も多いでしょう。その場合、単身赴任をするか会社を辞めるかの選択にせまられます。

 

一生単身赴任の可能性

夫婦共働きなので、例えば夫の会社が移転したとして、奥さんが急に辞められるかというとそんなことは無いでしょう。住宅ローンの返済など、共働きの収入で何とかやりくりしているかもしれません。子供の学校もあります。せっかくお受験で入学した私立の学校です。

そうして単身赴任をする決意をします。転職しようにもリスクがありますし。

ただ、この場合は支社間の異動ではなく、会社自体がその地域にいなくなっちゃうのです。異動であれば、いずれ本社に戻れるかもしれませんが、会社がそこにないのですから、その会社に所属する限りずっと単身赴任です。

単身赴任って言ってみれば一家離散な訳ですから、ずっとそれって何のために働いているんだろうという気持ちになるんじゃないでしょうか。幸せじゃないですよね。

 

自動車が必要

f:id:mister19:20200914230220j:plain

いざ地方に行くと、そこは車社会です。地方と言っても、自分が住む広島市も該当しますが、政令指定都市であれば都会なので車は無くても大丈夫でしょう。公共交通機関も発達しています。うちの奥さんの実家は、ずっと車が無かったそうです。

パソナは淡路島に移りますが、淡路島だと車は必須でしょう。何をするにも車が無いと、生活がかなり非効率になります。そもそも通勤も厳しいんじゃないでしょうか。

東京勤務だと、車を所有していない家庭も多いと思います。これまで必要ではなかった車関連の支出が発生し始めます。

 

まとめ

以上、東京に本社を置く企業が地方へと移転することについて、メリットとデメリットを考えてきました。

そのメリットとデメリットを考えてみると、見る位置や立場によって、大きく内容が異なることが分かりましたので、それならそれぞれ細かく考えていこうと思い至りました。メリットだけでなく、デメリットもたくさんあることが分かります。

ただ、個人的にはこの動きには賛成です。日本のGDPは大半が内需であり、個人消費です。一極に集中しているよりは、地方にも富が分散され各地域で消費が増えれば、日本全体のパイが大きくなるだろうと考えるからです。それに少子化という日本の将来に影響を及ぼす弊害もあります。目先の利益も大事ですが、長期的な視点も必要だと思います。パソナに続く大手企業はあるのでしょうか。

 

政府が地方移転促進をするきっかけとなった増田レポートです。

地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書) | 増田 寛也 |本 | 通販 | Amazon

 

地方消滅 創生戦略篇 (中公新書) | 増田 寛也, 冨山 和彦 |本 | 通販 | Amazon

 

地方創生大全 | 木下 斉 |本 | 通販 | Amazon