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長期金利が上昇。そもそも金利の上昇ってどういうこと?なぜ上がったり下がったりする?簡単に解説をします。

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近頃、金利が上昇したなんてニュースをよく目にします。

特にアメリカの長期金利が上昇し、連れて日本の長期金利も上昇傾向にあります。

ニュースではよく目にするこの「長期金利」。いったいなんなのでしょう。

マイホームの購入を検討される方は、金利に注目しなければなりません。住宅ローンの借り入れ金利が、ニュースで報道される「金利」により影響を受けるから。

今回は金利について。「金利が上昇」や「金利が下落」「マイナス金利に!」なんて毎日のようにニュースで言っています。この長期金利とはなんなのか。なぜ金利が日々変動するのか。簡単に解説します。

 

 

 

 

長期金利ってなに?

 

長期金利=10年物国債の利回り

 

そもそも長期金利ってなんでしょう?それは、10年や20年、30年といった長期の国債の金利のこと。国の借金である国債の金利のことなのです。

中でもニュースになるのが、「10年物国債の利回り」。一般的に「長期金利」と報道されるのは、この10年物国債の利回りのことです。

注意すべきは「利回り」であり、売出し時に決定される表面利率ではありません。国債にしろ社債にしろ債券は、償還期間と利率を決めて売り出されます。10年で年利1%の債券は、毎年1%の金利が支払われ、10年後には元本が戻ってきます。

長期金利すなわち10年物国債の利回りとは、10年持った時に得られるリターンの1年分を、購入価格で割って求められます。そして、後で解説しますが、購入価格が上下するので利回りが変わってくる、つまり長期金利が変動するのです。

長期金利は、固定金利の住宅ローン金利などに影響します。長期金利が上昇すると、それに連れて住宅ローン金利も上昇します。また、企業の長期の借り入れ金利にも影響を与えます。金利が上昇すると借りづらくなるので、設備投資が滞ります。景気にも影響するのです。

 

 

長期金利ってどうやって決まるの?

 

長期金利は市場で決まる

 

長期金利は、国債の発行元である国が決めている訳ではありません。

国債は株式と同じように市場で売買されており、価格が上下します。国債は、保険会社などの金融機関や、日本銀行が購入します。最近は日本銀行が購入を進めており、日本の国債の4割は日本銀行が保有しているそうです。

国債の買いが多く、売買の結果国債価格が上昇したらどうなるでしょうか。需要と供給で価格は決まるので、買いが多ければ当然価格が上がります。

国債価格は、市場での売買により変動します。そして、国債価格が上がれば金利は低下し、価格が下がれば金利は上昇します。つまり、金利は市場によって決まるのです。

 

 

国債価格が上がると、金利は下がる/下がると、金利は上がる

国債価格が上昇すると、金利が下がるのです。

逆に国債価格が下落すれば、金利は上昇します。現在長期金利が上昇しているということは、10年物国債の価格が下落しているということなのです。

なんだかややこしいですね。一体どういうことでしょうか。具体的な例を用いて説明したいと思います。

 

額面1万円の国債が金利1%で売られたとします。ややこしいので償還期間は1年とします。つまり、1年後には額面の1万円と金利1%で100円の合わせて10,100円が戻ってきます。

発売時に設定される金利は「表面利率」と言います。これは国が設定しますが、市中の金利動向をもとに設定されます。

そして、この1万円の国債が市場で売買された結果、10,050円で取引されました。50円値段が上がりましたね。

とはいえ売買された国債の価格が高くなっても、表面利率は変わらず1万円の1%であり、受け取れる金利は100円です。なのでこういう計算になります。

 

(10,100-10,050)÷10,050=0.00497512 (約0.5%)

 

額面は1万円、表面利率は1%。この国債は満期まで待てば10,100円戻ってくることは決まっています。

その国債を10,050円で購入したということは、利益は50円となります。50円を10,050円で割って利回りを計算すると、約0.5%となりました。

 

長期金利とは、このような利回りのこと。計算はややこしくなりますが、10年物国債ならそれを10年持った場合に得られる利益の1年分を、購入価格で割った値となります。

この例では、もともとの金利は1%でした。市場での売買の結果、国債価格が50円上昇したことで、利回りが約0.5%に下がってしまいました。国債価格が上昇したことで、金利が下がったのです。

以上長期金利が上下する仕組みを簡単に説明しました。

 

 

 

なぜ国債価格は変動するのか

ではなぜ国債の価格は上下するのでしょうか。それは様々な要因がありますが、基本的には将来の経済予測によります。価格に影響を及ぼす要因を解説します。

 

 

金利が上がる(国債価格が下がる)要因

 

景気が上向いたとき

景気が上向く時、金利は上がる傾向にあります。

景気が上向くと、企業は設備投資を活発化させますし、個人でも家を買う人が増えるでしょう。お金を借りようとする人が増えるのです。

お金を欲する人が多くなれば、だんだんと金利が上昇します。金利は言ってみればお金の値段。需要と供給の関係で、需要が増えれば当然値段が上がります。

基本的に金利は、景気と連動して動きます。景気が上向くと金利が上昇します。しかし、金利が上がると、借入金利が上昇しますから経済活動が停滞し始めます。景気が悪化し、それに連れて金利も低下します。金利が下がるとお金が借りやすくなるので、設備投資などが活発化。景気が良くなります。景気が良くなると、、、。このように景気と金利はサイクルで動いているのです。

 

インフレになりそう

インフレのタイミングでも金利は上がります。インフレとは、物価が上昇すること。逆に言えば、お金の価値が下がります。

国債は表面利率が決まっています。例えば2%のインフレになったのに利率が1%であれば、リターンはマイナス1%となります。持ってても損をするなら、国債を売って他の資産を買う動きが広がります。国債価格が下落。なので、金利が上昇します。

コロナ禍により、各国が経済対策のためこれまでにないくらいお金を発行しています。金あまり状態となり、株価などがかなり上がっています。

また、お金が世の中に増えるということは、それだけお金の価値が薄まっていくということ。つまりインフレになりやすい状態に。

最近の金利上昇はそれを見越してのものと言われています。

 

株式や不動産価格の上昇

国債はもっとも安全な資産です。逆に株式はリスクが大きいです。

この国債と株式は、逆相関の関係があるとされています。つまり株が上がる時は国債価格が下がり、株が低迷するときは国債が高くなります。

それはこういうこと。景気が悪くなり、企業収益が落ちてきたら、株価が下がります。その場合、投資家は資産を安全な国債に移そうとします。

逆に株価が上がりそうなら、国債を売って株を買う動きが活発化します。

 

 

金利が下がる(国債価格が上がる)要因

 

景気が悪くなりそう

上で説明したことと、逆のことが起こります。景気が悪くなったら、お金を借りて設備投資をする企業が減少します。つまり、お金の需要が減るのです。よって、お金の値段である金利も低下します。

しかし、低金利になればお金を借りやすくなるので、設備投資が動き始めます。景気も良くなっていくでしょう。

 

デフレになりそう

デフレとは、物価が下がること。つまりお金の価値が上がります。

年率1%の国債があるとします。物価が変わらなければ、そのまま1%のリターン。しかし、年率1%のデフレになったら?

実質的には2%のリターンになります。

デフレはお金の価値が上がることです。見た目の金額は100円なら100円なのですが、1%のデフレ下では翌年は99円で100円だったものが買えることになります。

デフレでは国債を持っておいた方が得になります。国債を買う投資家が増え、国債価格が上昇。金利が低下します。

 

中央銀行が大量に購入

これまでの日本はまさにこれ。日本銀行が大量に国債を購入した結果、国債価格は高いまんま。逆にいうと、金利は安いまんまでした。一時期はマイナス金利に突入していました。

マイナス金利ということは、購入すると損をするということ。それでも売買される理由は、日銀が高く買ってくれるからでした。

現在日本の国債の4割は、日銀が保有しているそうです。日銀は政府の一部みたいなものであり、日銀が4割も国債を保有しているなら、実質的な日本の借金は残りの6割と言えるかもしれません。

そもそもなぜ日銀が国債を買うのでしょうか。それは、それが通貨を発行する仕組みだから。日本の紙幣は「日本銀行券」。日銀が発行しています。

日銀は民間の銀行から国債を購入します。その代金として、日銀当座預金に円が振り込まれます。つまり、国債を裏付けとして、新たな円を発行しているのです。

日銀は、「黒田バズーカ」と呼ばれる異次元の金融緩和を実施してきました。その目的は2%のインフレを起こすこと。インフレを起こすべく、お金の供給量を大幅に増やしてきました。お金の量が膨らむと、お金の価値が薄まるつまりインフレになるという算段です。

お金を発行することは、国債を購入することと説明しました。つまり、大量のお金を供給するため、大量の国債を買い入れたのでした。国債が足りなくなるくらいに。

 

 

まとめー住宅ローン金利(固定金利と変動金利)について

以上長期金利についてのお話でした。ニュースでよく聞くワードではありますが、どういうことか理解されている方は少ないのではないでしょうか。長期金利は経済に密接に絡んでいますし、住宅ローンの固定金利にも影響します。住宅購入を考えているなら、金利のことについてちょっと勉強してみてもいいかもしれません。

長期金利は、市場で決まります。景気が上向くと多くの投資家が予想したら金利が上昇しますし、逆に予想されると金利は低下します。金利は経済の状況に敏感であり、今後の景気を予想するのに役立ちます。

逆に短期の金利は、政府によりコントロールされています。昔は公定歩合といって、日銀が民間の銀行に貸し付ける金利によりコントロールされていましたが、今は銀行間で貸し借りする時の金利を間接的にコントロールしています。住宅ローンの変動金利は、この短期の金利を元に決定されています。

つまりこういうこと。住宅ローンの金利は、市場で決まる長期金利に影響される固定金利の方が素早く反応するのです。例えば金利が上昇する場合。固定金利がいち早く上昇を始めてから、遅れて変動金利も動き始めます。

変動金利で借りていても、金利が上がれば固定金利に借り換えれば良いとの意見をよく目にします。上記のセオリーを考えると、それは不可能なことが分かります。いざ変動金利が上がってきたから固定に切り替えようとした場合、固定金利はすでにはるかに高くなっていることでしょう。

世界的な金あまり状態。ジャブジャブにお金が刷られています。インフレにならないと断言するのはかなり難しい状況。

なので、これからマイホームを検討される方は、固定金利も考慮に入れた方が良さそうです。確かにこれまでは変動金利一択の状況でしたが、今までと大きく状況が異なります。