園芸を楽しむ人にとって気になるのが土ではないでしょうか。最初のうちは市販の培養土を購入しますが、だんだんと自分でブレンドしたくなるもの。特にサボテンやコーデックスを趣味とされている方はその傾向が強いのでは?
自分もその一人であり、赤玉土や鹿沼土、ゼオライトといった個別の土を購入し、自分なりにブレンドして楽しんでいます。
で、他人がどんな土を使っているのか。植物好きなら気になるところですよね。
今回は普段自分が使っている配合をご紹介します。これがベストということはないと思いますが、参考にしていただければ幸いです。
サボテンや塊根植物。どんな土がいいの?
植物によって適した土が異なります。熱帯が原産の観葉植物は、ある程度水持ちの良い土が必要ですし、乾燥地帯で育つサボテンは水はけの良い土が適しています。水持ちが良過ぎると、腐ってしまいます。
今回ご紹介するのは、そうした乾燥地帯に育つ植物のための土。水はけの良い土です。
サボテンや塊根植物には、下記の特性を持った土であることが重要であると考えています。
・水はけが良いこと
・崩れにくい土であること
・酸性
・肥料分は不要
水はけが良いこと
まず第一に水はけは重要です。もともと乾燥地帯に生育しており、そうした環境に適した体となっています。つまり、当分雨が降らなくても枯れないよう、体内に多くの水分が蓄えられるようになっており、一般的な植物ような水やりは不要です。
なので、逆に言えば、水をあげ過ぎるのは良くありません。水持ちの良い土だと根腐れの原因となってしまいます。
崩れにくい土
土の崩れにくさも、水はけに関係します。土は団粒構造になっているものが好ましいです。赤玉土は、玉とつくだけあって、丸い固まりになっていますよね。強く握ると、細かく崩れます。
団粒構造とは、赤玉土のように土が固まり状になっていること。固まりと固まりの間には隙間ができますよね。この隙間が大事なのです。水はけが良くなりますし、新鮮な空気の通り道となります。新鮮な空気の入れ替えがあることで、根腐れの原因となる菌の繁殖を防ぎます。
酸性であること
土には酸性からアルカリ性までph値の幅があります。サボテンや塊根植物は、酸性の土を好みます。オリーブの木などは、アルカリ性の土が適しています。植物によって適したph値が異なるのです。
鹿沼土や赤玉土を使うことで、酸性の土となります。
肥料分の無い土
塊根植物はあまり肥料を必要としません。とはいえまったく不要ということでもありません。ごく少量の肥料を与えればOKです。
土には、堆肥や腐葉土などもともと肥料成分を含んだものがあります。
サボテンや塊根植物には、もともと肥料成分のある土を使用するのではなく、土自体には肥料を含まずに、後から緩効性肥料を与えて調整するようにします。
うちの土について。配合は?
市販の培養土は使用せず、ブレンドして土を作っています。自分で工夫した方が楽しいですよね。
土をブレンドする目的は、それぞれの土が持つ特性を組み合わせて、より植物に適して育ちやすい土を作るため。
土によって保水性が良かったり、軽石のようにほとんどなかったり。あるいはアルカリ性の土があれば、酸性の土も。それぞれの特性を組み合わせて、自分なりの最適な土を作るのです
何を使っている?配合をご紹介。
材料となる土は以下の通り。
・赤玉土
・鹿沼土
・軽石
・バーミキュライト
・ゼオライト
・くん炭
これらを下記の配合でブレンドしています。
赤玉:鹿沼:軽石:バーミキュライト:ゼオライト:くん炭
2:2:1:1:0.5:0.5
赤玉土
園芸でもっとも利用されている土でしょう。火山灰によって作られた関東ローム層の赤土から作られています。肥料分は含まれず、無機質な土です。無機質ということは、腐葉土のようにバクテリアや菌の住処となる腐る要素を持たないということです。弱酸性の性質を持ちます。
丸く固まっているので、通気性に優れます。保水性や保肥性も適度に持ちます。保肥性とは、その名の通り肥料成分を取り込める力のことです。肥料を取り込んで、徐々に根に養分を供給します。
赤玉土には、一般的な赤玉土のほか、硬質赤玉土や焼成赤玉土があります。一般的なものより、より崩れにくい土です。
[イワモト] 無菌ハイグレード 登録商標「三本線」 焼成・硬質 赤玉土 14L/約10kg 小粒(3,0mm-6,0mm)
鹿沼土
栃木県の鹿沼で産出される土です。土というよりは、脆い軽石になります。手で強く握ると、粉々に崩れてしまいます。
強い酸性の性質を持ちます。保水性や通気性や良いですが、保肥性は少ないです。
軽石
火山によって生成された気泡を多く含む石が軽石です。園芸ではひゅうが土が有名です。宮崎県南部で取れる軽石です。
弱酸性の性質です。
保水性はほとんどありません。また、石なので赤玉土のように崩れることもありません。軽石を混ぜる目的は、そうした特性により、水はけや通気性をよくするためです。
バーミキュライト
蛭石(ひるいし)という鉱石を高音で加熱し生成されます。加熱する際に10倍に膨れるので、バーミキュライトは非常に軽くなります。
中性であり、無菌です。保水性と保肥性、通気性にもすぐれます。さし木や種まきの際には、このバーミキュライトだけですることもあります。
特に入れる必要もなさそうなのですが、なんだか良さそうなので少量だけ混ぜています。
ゼオライト
火山灰が堆積することによって天然のゼオライトができるほか、石灰岩などから人工のゼオライトが作られています。
ゼオライトの特徴は、表面に目に見えないミクロな穴が無数にあいていること。水分が多い時には穴に吸着され、逆に乾燥するとその穴から水分が供給されます。水質の浄化機能も有しており、アクアリウムなどでも用いられます。
ゼオライトを混ぜる目的は、上記の機能による根腐れの防止を期待するからです。
くん炭
お米を精米するときに出るもみ殻を炭にしたものです。
保水性や通気性に優れています。ゼオライトと同じように表面にミクロな穴が多数あいており、不純物などを吸着する特性があります。水の浄化のため、炭を使いますよね。
くん炭を入れる目的も、水の浄化作用により根腐れを防止するため。
ただ、アルカリ性の性質を持つので、あまりたくさん入れてはいけません。
根腐れの防止を目的として、ゼオライトとくん炭を入れています。そう、軽石により排水性を意識するのと同時に、根腐れの防止を第一に考えた土にしています。やはりサボテンや開墾植物にとって、根腐れが大敵です。梅雨時期は心配ですよね。ゼオライトとくん炭を合わせて入れるので、かなり高い根腐れ防止効果を期待しています。
上記の土は、肥料分は一切含まれていません。これらの土に加えて、マグァンプKといった緩効性肥料を入れることもあります。
ハイポネックスジャパン 肥料 マグァンプK 中粒 1.3kg
土を作るときの注意点は?
微塵に注意です。特に赤玉土や鹿沼土ですね。ホームセンターではビニールの袋に入った状態で販売されていますが、既に新品の状態で固まりが崩れてしまった土が含まれています。
そのような微塵が含まれていると、通気性が悪くなったり、排水性が悪化します。土は団粒構造である方が好ましく、微塵はできるだけ取り除くべきです。
植え込み前には、必ずふるってから使うようにしています。
これは袋から出した状態。崩れた土が結構含まれているのが分かります。
微塵が落ちて、丸い固まりのみに。この状態で使用しましょう。
結構な量の微塵を落とすことができました。
まとめ
現在、塊根植物用に使用している土をご紹介してきました。あくまでも自分なりの方法。人によって考え方も異なりますので、配合だって十人十色でしょう。園芸って、自分なりの工夫ができて面白いですよね。
市販の配合済みの土でも良いですが、是非自分でブレンドしてみてはいかがでしょうか。