石原慎太郎都知事がペットボトルを振ってから一気に悪者になったディーゼルエンジン。近年は、メーカーの努力により真っ黒なススなんて出なくて、環境に良いエンジンとのイメージが定着しつつありました。いわゆるクリーンディーゼルです。
しかし世は電動化の流れ。どうもまたディーゼルが槍玉にされたようです。クリーンディーゼルのエコカー減税が廃止されるというのです。
我が家のランドクルーザープラドもクリーンディーゼル。エコカー減税の恩恵を受けることができました。今後は、段階的に減税が削減されてしまいます。
クリーンディーゼルの減税が今後どうなるのか。プラドを買うなら、いつまでに購入すべし?解説したいと思います。(2022.7更新)
・クリーンディーゼルについて。クリーンディーゼルはコモンレールシステムと、排ガス浄化装置が搭載されている。
・プラドのディーゼルは「エコカー減税」「環境性能割」「グリーン化特例」が適用されていたが、除外されてしまうことに。トータル20万円近くの減税がなくなる。
クリーンディーゼルってどんなエンジン?
そもそもクリーンディーゼルエンジンは、普通のディーゼルエンジンとどう違うのでしょうか。
ディーゼルエンジンのイメージといえば、真っ黒な排気。窒素酸化物やPM(粒子状物質)が大気汚染の原因とされ、東京都を始めとした自治体が通行規制のための条例を制定しました。冒頭でも書いた石原都知事のペットボトルが象徴的です。
しかし、そんな悪いイメージは、もはや過去のもの。
環境問題に対応するために、クリーンディーゼルが登場しました。トルクフルや低燃費というディーゼルエンジンの良さを活かしつつ、真っ黒な排気ガスの出ないクリーンなエンジンです。
クリーンディーゼルは以下の特徴を備えています。
・コモンレールシステムを備えている
・排ガスを浄化する装置がついている
ガソリンエンジンは、スパークプラグによりシリンダー内の燃料に着火します。ディーゼルエンジンにはスパークプラグはありません。シリンダーの空気を圧縮して軽油の発火点まで加熱することで、シリンダー内に噴射した燃料が自然発火します。
ただ、その燃焼が不均一となってしまうことから、燃え残りであるPM(粒子状物質)や窒素酸化物が発生してしまうのです。
そこで採用されたのが、コモンレールシステム。燃料噴射装置です。燃料を超高圧で噴射することで、完全燃焼に近づけます。
また、排ガスを浄化するためのフィルター類も装備されています。例えば、「DPF」。フィルター内にエンジンから排出されたススを集めて燃やすことで、排ガスに含まれるススを削減します。
「尿素SCR」はアンモニアを吹きかけて化学反応によりNOx(窒素酸化物)を削減します。尿素SCRシステムの搭載された車は、尿素水である「アドブルー」の定期的な補充が必要です。ただ、マツダのSKYACTIVE-Dは世界で唯一窒素酸化物をエンジン内で抑えられるディーゼルエンジンであり、アドブルーが必要ありません。
クリーンディーゼルは、メルセデスベンツやBMW、アウディといったプレミアムな車でも採用されており、ガソリンモデルより高い価格設定となっています。モータースポーツでも、アウディがTDIというディーゼルエンジンで、ルマン24時間レースを何度も制覇しました。ディーゼルは、かなり優秀なエンジンなのです。
ランドクルーザープラドのエコカー減税。どれだけ軽減されていた?
車重が2t以上もあるランドクルーザープラド。ディーゼルエンジンの排気量は2.8L。「エコカー」なんてまったく似つかわしくない車です。
しかし、搭載するエンジンは「クリーンディーゼル」。れっきとしたエコカーなのです。その証拠に、エコカー減税の対象として認定されています。
エコカー減税とは、自動車重量税を軽減するものです。エコカーの税制優遇は、エコカー減税だけではありません。3種類の軽減が実施されています。
・エコカー減税
・環境性能割
・グリーン化特例
まず「エコカー減税」。新車購入時や車検時に課される自動車重量税が軽減されます。
そして、「環境性能割」。自動車取得税が廃止され、環境性能割が導入されました。自動車の購入価格に課せられます。燃費性能により税率が異なります。
最後に「グリーン化特例」。毎年の自動車税が初年度に限り75%割引されます。
これら3種の税制優遇。ランドクルーザープラドの軽減額は以下の通りです。
・エコカー減税
自動車重量税が100%軽減。
新車購入時:37,500円減税 初回車検時:37,500円減税
・環境性能割
自動車取得時の税金が3%軽減。
自分のTX5人乗りで105,100円減税
・グリーン化特例
初回の自動車税を75%軽減。
37,500円減税
エコカー減税は、なんと2回も受けられます。新車購入時が100%減税、つまりかからなくなるほか、初回の車検時の重量税もかかりません。
環境性能割は、環境性能に応じて取得価格に0~3%課税されます。上限が3%。3%の軽減ということは、税金がかからなくなるということです。
グリーン化特例の適用は、1回目の自動車税のタイミングのみです。2年目以降は本来の額の自動車税が課せられます。自動車税は排気量によって額が異なり、2.8Lのプラドは年間51,000円です。
まあ分かってはいたのですが、購入してから2回目の自動車税は、きっちりと51,000円の払込票が家に届きました。少し懐が痛みます。
改正によりプラドの減税が終了!今後の予定を解説します。
20年12月に税制改正大綱が閣議決定されました。そこに盛り込まれていたのが、クリーンディーゼルのエコカー減税からの除外。ランドクルーザープラドの税制優遇がなくなります。
以下のスケジュールで軽減措置が終了します。欲しいなら急げ!
エコカー減税
現行のエコカー減税は、21年4月30日までに購入した場合に適用されます。
令和3年度税制改正大綱により2年間延長されることが決定されました。ただし、適用される基準がかなり厳しくなったのです。
クリーンディーゼル車の場合、新車購入時の減税は令和2年度燃費基準を達成していることが条件となります。この条件は、22年5月1日から適用となります。
初回車検時の減税は、令和12年度燃費基準を120%達成していなければなりません。
ランドクルーザープラドのエコカー減税は、21年4月30日までに購入すれば、購入時と初回車検時の両方適用されます。22年4月30日までの場合は、新車購入時のみ。それ以降は減税が無くなります。
環境性能割
非課税となるには、令和2年度燃費基準を達成し、令和12年度燃費基準を75%以上達成していることが必要となりました。
令和12年度の基準を65%以上の達成で0.5%の税率。60%以上で1%の税率となります。ただし、平成30年及び平成21年の排出ガス規制に適合していることが前提です。それ以外のディーゼル車は、当面2%の税率です。
ランドクルーザープラドは平成30年度排出ガス規制はクリアしていますが、令和2年度の燃費基準は達成しておらず、2%の税率が適用されることになります。
22年3月31日までに購入したら非課税、それ以降は2%となります。
グリーン化特例(自動車税種別割)
グリーン化特例自体は2年間延長されましたが、クリーンディーゼルは除外されることになりました。
プラドの場合、21年3月31日までに購入したら初回の自動車税が75%軽減、21年4月1日以降の購入は本来の自動車税が課せられ、軽減はありません。
まとめ
クリーンディーゼルは高い!プラドの場合、ガソリンエンジンモデルと比較すると60万円以上の価格差があります。確かにトルクフルで燃費もいいディーゼルエンジンはメリットがありますが、60万円以上の価格差はかなり大きいです。
その差を埋めてくれていたのが、エコカー減税を始めとする軽減税率。クリーンディーゼルは、環境に配慮した車として軽減の対象となっていました。減税額はトータルで20万円ちょっと。ガソリンモデルとの実質的な価格差が、40万円ちょっとまで縮まります。
令和3年度から適用される税制改正大綱により、クリーンディーゼルは除外される方向性が示されました。世界中で電動化の流れであり、しょうがないのかもしれません。
ランドクルーザープラドの購入を検討されているなら、急いだ方がよさそうです。
あるいは、購入するのではなくサブスクリプションKINTO で所有するのも一つの手かもしれません。