うさぎとたわむれることで世界的に有名となった大久野島。たくさんの野生のうさぎが生息しています。ピークの時には、1,000羽のうさぎがいたとか。
その大久野島に異変が起きています。うさぎの数が減少し、目に見えるうさぎがまばら。以前はそこらじゅうにいたのに。
大久野島には、同じ広島県内ということもあり、年に1回は訪れています。この11月にも訪問して確認しましたが、確かにうさぎは減っていました。
そんな大久野島の異変をレポートします。
大久野島ってどんなとこ?
広島県竹原市に属する大久野島。野生のうさぎがたくさん生息していることから、近年注目を集めてきました。
周囲4kmの小さな島で、無人島です。とはいえ、宿泊施設(休暇村大久野島)もありますし、観光客も多いので、あまり無人島という感じはありません。
今でこそうさぎの島という明るいイメージの大久野島。かつては「地図から消された島」でした。
旧日本軍の施設として利用され、安芸要塞という砲台があったり、毒ガスの製造工場が存在しました。今でも当時の遺構が残されています。うさぎに触れ合いながら、戦時中の歴史にも触れることができます。
うさぎの島と毒ガスの島。明暗併せ持つところも、この島の魅力を高めているのではないでしょうか。
アクセス
忠海港から船で渡ります。船は車を乗せられるフェリーと、人だけ乗車可能な高速船があります。ただ、島内は基本的に自家用車での通行はできません。キャンプ場や休暇村利用者以外は、車を乗せることはないでしょう。あとは、大久野島を過ぎて、大三島へ行く人くらい。
忠海港には無料駐車場がありますので、車はここに。ただ、休日だと近くの駐車場はいっぱいで止められないことも。その場合、少し離れた場所に臨時駐車場があります。
大人(中学生以上):360円
子供(小学生):180円
未就学児は大人一人につき、1名が無料です。
時刻表はこちらのWEBサイトをご確認ください。
フェリーは1時間に1本程度、その間に高速船が1本運航されています。
大久野島のうさぎ、やっぱり減った?。島の様子をレポート。
以前に比べて、うさぎの数は減ったのでしょうか。2021年は2月と11月に2回訪れました。確かに2018年や2019年頃と比べて、遭遇するうさぎの数が減っています。以前はそこら中にいたのに、かなりまばらな状態。そんな様子をレポートします。
以前の大久野島のうさぎたち
初めて訪れたのは2016年。以前はたくさんのうさぎであふれていた大久野島。もっとも多い時で1,000羽のうさぎが生息していたようです。エサらしきものを持っていると、どんどんうさぎが駆け寄ってきたものです。
2018年の様子
まだうちの子が1歳の頃。大久野島デビューでした。うまくエサやりできるかなと思いましたが、意外や意外うまくあげることができたものです。
フェリー乗り場付近の様子です。エサを持っているとたくさんのうさぎが寄ってきましたし、そこら中でそんな光景を目にすることができました。
エサちょうだい。
こんにちは
どんどん寄ってきます。
休暇村周辺もうさぎがたくさんでした。
2019年の様子
2019年もたくさんの観光客が訪れており、うさぎもたくさん。
フェリー乗り場周辺。そこら中でうさぎと触れ合う光景が見られます。
道路脇の日陰では、うさぎが休憩しています。
フェリー乗り場から、休暇村方向へちょっと行ったあたり。ほとんどの観光客が通るルートであり、エサを求めるうさぎもたくさん。
休暇村のキャンプ場の周辺。あちこちにうさぎがいました。
こんなとこにもうさぎが!
現在の大久野島。うさぎが少ないぞ。
21年は2回大久野島に訪れました。確かに以前に比べて、出会えるうさぎが少なくなっていました。
2021年2月の様子
まずは21年初めの様子。フェリー乗り場周辺。確かに少なくなった実感はありましたが、ぼちぼちうさぎがいます。
ビジターセンター周辺。おっ、うさぎがいました。
休暇村周辺。かろうじて1羽写っていますが、このあたりは明らかな減少を感じられました。
とはいえ所々うさぎはいます。
発電所周辺。何羽かうさぎがいました。
21年2月時点では、確かに減ってはいるものの、まだたくさんのうさぎに出会うことができました。
問題はこのあと。11月に行った時には、2月よりさらに少なくなっていました。
2021年11月の様子
まずフェリー乗り場周辺。以前はたくさんのうさぎが見られました。今はほとんどいません。うさぎがいないので、エサを与える光景もありません。
同じくフェリー乗り場周辺。うさぎいませんね。
発電所周辺にもうさぎの姿は見られませんでした。
ようやく発見。
うさぎがなかなかいません。
もちろんまったくいない訳ではありません。ただ、以前はあれほどたくさんいたうさぎ。遭遇するのが珍しいくらいに減っていました。
なんとかうさぎを見つけます。
この辺はいっぱいいるはずなのに。
うさぎはどこ行った?
フェリー乗り場と休暇村の間のルートは、たくさんの観光客が通ります。エサを求めてたくさんのうさぎがいましたが、本当に少なくなってしまいました。
21年11月は、2月に比べてもかなりうさぎが減っていました。とはいえ緊急事態宣言が終了し、観光客が戻りつつあります。たくさんの観光客が少ないうさぎにエサをあげることになり、うさぎはほぼ満腹状態。エサを持って行きましたが、たくさん余ってしまいました。
原因は?
環境省の調査によると、うさぎの数は年々増え続け、2018年の調査では約1,000羽が確認されました。恐らく18年や19年がうさぎの数のピークであったのでしょう。
21年1月の調査では、約500羽しか確認できなかった模様。うさぎの数は確かに減っています。
どうしてうさぎは減ってしまったのか。実はコロナ禍が影響しているそうです。中国新聞の記事よれば、コロナ禍による旅行の自粛により、島を訪れる観光客が大きく減少したことが原因です。以前は外国人観光客の姿もたくさん見かけましたが、インバウンドはほぼ消滅しましたし、日本人も遠方から訪れる人はかなり減ったことでしょう。
実は観光客が持ってくるエサが、うさぎの増加に関係していました。大久野島はそれほど大きな島ではありませんから、うさぎのエサとなる植物も限られます。つまり、外部からエサを持ち込まなければ、必然的に維持出来る個体数は抑えられることこなります。観光客がエサを持ち込むことで、自然に維持できる個体数を上回って生息することができたのでした。
しかも、ラビットフードなどの高栄養のエサを与えられることで、繁殖にも寄与していたのでした。
ところが、コロナ禍で観光客が減少し、島に持ち込まれるエサが減少します。エサが減ることで、自然と個体数が減っていったのでした。
また、これまではエサをくれる観光客目当てに、うさぎは平地に出てきていました。その観光客がいなくなったので、エサをもとめて山の中に入っていってしまったとも言われています。
確かに報道によると、うさぎの生息数は1,000羽から500羽に半減したようですが、体感的には1/10くらいまで減ったような印象です。観光客の目に触れる場所から離れてしまったのかもしれません。
とはいえ、緊急事態宣言があけた後の2021年11月の休日に行ってみると、竹原港の駐車場が満車になるくらい人が訪れていました。駐車するのに苦労しました。
しばらくしたら、うさぎの数も戻ってくるかもしれません。
ちなみに野生の動物に人がエサをあげるのはいかがなものかという意見もあると思います。
ただ、ここのうさぎは在来種という訳でもなく、地元の小学生が放したうさぎが繁殖したものという説が有力なようです。種としても外来種であるカイウサギです。もともとは人に飼われていたうさぎであり、人の世話がないと増えることができないのです。
うさぎは観光資源であり、観光客はエサを持ってくる。持ちつ持たれつの関係なのです。
まとめ
小さな子供が初めて動物に触れ合える場所として、大久野島は動物園の触れ合い広場と並んで有意義な場所であると思います。ここで初めて動物にエサやりをした子も多いのでは?うちの子もそうです。うさぎにエサをやる経験が楽しいのか、大久野島に行くのがかなり楽しみな様子です。
しかし、この11月に行った際には、愕然とするほどうさぎの数が減っていました。うさぎの数はピークから半減し、エサを求めて山の中に入って行ってしまったようです。エサをあげる観光客が減ったのが原因でした。
うさぎの減った大久野島は寂しい限りです。これから観光客も戻ってくることでしょうから、またうさぎも戻ってきて欲しいですよね。