マンションを買って心配になるのが、自分のマンションの資産価値です。当初は売るつもりはなくても、もしかすると売却しなければならない場面が出てくるかも。
そもそも買ったマンションが大きく値下がりしたら、なんだか悔しいですよね。
自分が住む家とは言え、それは不動産であり、自分の資産の一部です。
コロナ禍で景気が悪化するなか、株価は上昇しバブル後の最高値を更新しました。金やビットコインの価格も上昇。様々な資産が値上がりしています。果たして不動産は?
今後の不動産価格の推移は、マイホームの購入を検討したり所有している方にとっては大いに気になるところ。自分も所有者の端くれとして、注視しています。
結論としては、今後下がる可能性は少ないだろうし、むしろ徐々に上がっていくのではと考えています。そう考える理由をご紹介したいと思います。
今後不動産価格は上昇するのではと考える理由。
色々な状況証拠から、不動産価格は上がっていくのではと個人的に考えています。そう考えるのは、以下のような理由により。
つい最近、大阪のなんばといったインバウンドで潤った地域の地価が、大幅に下落したというニュースが流れました。20%近く下落したそうです。こんなニュースを目にすると、今後だらだらと下がっていくのではと考えてしまいます。
ただこれは、これまで大幅に上昇してきた反動とも言えますし、アフターコロナで旅行が復活すれば、元通りになる可能性もあります。
インフレになると、お金の価値が下がり、資産の価値が上がる
インフレになれば、現物資産である不動産の価格も上昇します。
コロナへの経済対策として、世界中で国の借金が増え、お金の量が増えています。これらのお金が資産の購入へと集中し、世界的な株高に繋がったと言われています。
お金の量が増えるということは、お金の価値が薄まる恐れがあります。つまりインフレが発生する可能性が高まります。現にアメリカでは、その兆しが見え始めています。
では、日本では?バブル崩壊後、ずっとデフレ状態。他の先進国に比べて、ほとんど物価が上昇していません。もちろん給料も。
そんな状況を脱却すべく、第二次安倍政権から実施されたのがアベノミクス。その一環として異次元の金融緩和が実施されました。
下のグラフは、日本のマネタリーベースの推移を表しています。マネタリーベースとは、中央銀行が供給する通貨の総量のこと。アベノミクスが開始された2013年頃から、どんどんと増加していることが分かります。2010年と比較して、6倍以上に増えています。
ちなみにバブルの時期である1990年1月時点のマネタリーベースは、38兆1,408億円。2021年4月は、なんと647兆9,298億円。バブル時と比較して、とんでもなく増えているのです。
とは言え、政府が目指す年率2%のインフレはなかなか起こせていません。
実際にインフレになるためには、お金の量を増やすだけでなく、実際に消費が増えることが重要なのでしょう。価格は需要と供給で決まることを考えると、供給量が減少するか需要が増えなければなりません。
ただ、食品の内容量が減ったり、調味料なども徐々に値段が上がっています。少しずつでも物価は上昇しているようです。
コロナの影響で短期的には成長が止まってデフレになる可能性がありますが、もっと長い目で見るとインフレになりやすい状況であると言えるでしょう。
日本は相対的に安い
東京の不動産はかなり高くなっており、都心のタワーマンションなどサラリーマンが買えるような金額ではありません。現にパワーカップルと呼ばれる夫婦ともに正社員で、世帯年収の高い家族が購入しているようです。すなわち一馬力では買えないのです。
ただ、世界はもっと上昇しています。ロンドンなんて東京以上に上昇していますし、お隣のソウルでは不動産の上昇が社会問題となっています。サンフランシスコでは、1ベッドルームのアパートの平均家賃が、37万円にもなるそうです。家族が住むようなアパートだと、約68万円です。東京で68万円も出したら、かなり上位の部屋が借りられそうです。
先進国の不動産市場の中でも、東京はまだまだ割安とされています。そのため、海外の投資ファンドが、日本を対象としたファンドを続々と設立しています。昨年末あたりから、そんなニュースをたくさん目にするようなりました。
・米大手投資ファンドのKKRが、総額17億ドルのアジア太平洋地域向け不動産ファンドを設立。
・米大手投資ファンドのブラックストーンが、日本国内の不動産を約1,100億円で取得。
・カナダの大手不動産ファンドベントール・グリーンオークが、今後2、3年で最大1兆円を投じる。
・香港のPAGが、今後4年間で約8,000億円を投じる。
・スイスの大手投資ファンドパートナーズグループが、日本での投資に本格参入する。
このように外資の日本の不動産への参入が相次いでいます。日本にいると分かりませんが、外から見るとかなり魅力的なのでしょう。
例えば北海道のニセコは、パウダースノーを求めて多くの外国人が訪れています。行ったことはありませんが、まるで外国に来たような感じらしいです。外国人による物件の購入が相次ぎ、ニセコの2020年における基準地価は、前年比7.53%も上昇しています。
外資の大量の参入は、不動産価格に影響を及ぼすのではないでしょうか。
建築費も下がっていない ー むしろ上昇中
「東京オリンピック後は建築費が下がるから、不動産価格も下がる」
こんなことが結構言われてきました。確かに国立競技場を始めとして、オリンピックに向けたくさんの建物が建てられました。オリンピックの建設現場に多数の職人が取られ人件費が高騰、それにともない建築費も高騰するという理由でした。
下記のグラフは2011年を100として、2016年以降の建築費を表したものです。一般的なRC造(鉄筋コンクリート造)の建築費です。2021年につきましては、1月から4月までの平均値です。
右肩上がりで上昇しています。このまま落ちることがなければ、新築マンションの価格が下がることはなさそうです。新築が高ければ、それにつられて中古も下がらないはず。
気になるのは、1〜4月までの値とは言え、2021年も上昇しています。2020年にはオリンピック関連の建設はすべて終了し、引き渡しされています。それに2020年はコロナ禍が直撃した都市でした。2021年も上昇を続けているということは、2020年までの建築費の上昇に対してオリンピックの建設需要はそれほど影響がなかったと考えられそうです。
そもそも建築費は、オリンピックではない別の理由で上昇していたのだと考えられます。
もちろん兼ねてから職人の不足が叫ばれており、それもその理由の一つでしょう。また資材の値上がりも関係してそうです。
下記のグラフは、生コンクリートの価格推移です。2015年を100とした、都市別の指数となっています。東京大阪と、自分が住む広島、最近勢いのある福岡を抽出しました。
どの都市においても価格が上昇し、特に大阪は値上がり幅が大きいです。一方で仙台や新潟となど価格が下がっている都市も。ただ、全国的には上昇傾向にあるようです。
最近では、木材が高騰が報道されています。特にアメリカにおいて、住宅の建築ラッシュが発生しており、木材の需要が高まっています。世界的に木材不足となっており、日本にもなかなか入って来なくなっています。その影響を受けて、国産の杉や檜といった木材も値上がりしています。
このような状況もあり、不動産価格は上がることはあっても、なかなか下がりづらい状況にあるのではないでしょうか。
アフターコロナで需要が急回復? ー 国内旅行ブームが訪れる?
みんなが我慢を強いられているコロナ禍。果たして、アフターコロナは?
需要が爆発して大変なことになりそうな気がします。特に旅行。これまで押さえつけられていた分、旅行需要が爆発するのではないでしょうか。
現にアメリカでは、ラスベガスといった観光地において、国内旅行客だけでコロナ前の水準に戻ってきています。海外には行けませんから、まさに国内旅行がブームとなっているのです。
恐らく日本国内でも同じことが起こるのでは?以前のように自由に海外へ渡航できるには、もう少し時間がかかりそうです。旅行するなら、国内しかありません。みんなこぞって国内旅行に出かけるはず。アメリカと同じように、京都が日本人観光客でいっぱいになることでしょう。
大阪ミナミの商業地の地価が、インバウンドの消失により大幅に下落しました。しかし、元に戻るのは時間の問題。ホテルや鉄道の需要も一気に回復しそうです。
そうなると、不動産価格にも影響があるはずです。
また、旅行に限らず需要が急回復すれば、物価が上昇する可能性も考えられます。先にも書いた通り、インフレになれば不動産価格も上昇します。
まとめ ー 上がると言っても、すべてが上がる訳ではない
これまで不動産価格が下がるよりは、むしろ上がるだろうという考えに至った状況証拠をご紹介してきました。これらの理由から、不動産価格は今後上昇するのでは?と考えた次第です。マイホームの価値が上昇するかもですね。
とは言っても、何でもかんでも上がる訳ではありません。都心の不動産は上がるでしょうけど、田舎の方の土地まで上がるかというとそんなことはないでしょう。バブル期はどんな土地でも上昇すると考えられたようですが、そうは問屋が卸しません。
不動産ジャーナリストの長嶋修氏によると、今後不動産価格は3極化するようです。上昇する土地、価格を維持もしくはなだらかに下がる土地、そして価値がゼロになる土地。長い目で見れば、今後日本の人口は減少します。人口が減少するということは、土地に対する需要が減るということ。不動産価格は下がっていきそうです。
ただ、人口が減れば、人はより都市部に集まる傾向があります。つまり、郊外の土地は価値が失われるかもしれませんが、都心部は需要が残っていくのです。人が集まる場所は、求められ続けるのです。
個人的に家を買うなら、中核都市以上で、しかも駅近(徒歩5分以内)の場所に買うべしと考えています。別に東京でなくても、その地方に人が住む限り便利な土地の需要は無くなりません。
その反面、郊外のベッドタウンや、駅から10分以上離れたような場所は、今後厳しくなっていくのではと考えます。今後家を買うなら、そんなことも考慮に入れるべきです。
ここに書いたのは、あくまでも個人的な考え。経済なんてどうなるか分かりませんから、実際にこうなるかどうかはまったく分かりません。ただ、状況を鑑みると、上記のようになるかもと思い記事にした次第です。当たらなかったらごめんなさい。(責任は持ちませんよ!笑)