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電通が本社ビルを売却!?背景には二つの「変化」があるようです。ワーキングスタイルとテレビ離れ。

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以前仕事で東京の汐留に行く機会がありました。何度行っても現代的な高層ビル群の街並みを歩くのは、何だかワクワクした気分になりますよね。

そういえば、初めて汐留の地を訪れたのは就職活動の時。出来たての巨大な電通ビルを見て、憧れを感じたものでした。めちゃくちゃ大きいビルですよね。高速ビルが林立する汐留でも、ひと際目を引きます。

そんな電通本社ビルが売りに出されるというのです。日本中が驚きを持ってこのニュースを迎えました。

今まで普通だと考えていたことが、変わりつつあります。大きな自社ビルは成功の証でしたが、コロナ禍のもとでテレワークが増えると、お荷物な存在となってしまったようです。そのうち、自社ビル=「古い体質の会社」「遅れている会社」「ダサい会社」みたいな認識へと変わっていくのかもしれません。

この電通のニュースには、二つの社会的な変化が見て取れます。一つはさっき書いたように、テレワークが増えてオフィスが不要になってきたこと。もう一つは、電通のビジネスに関することです。

 

この記事の内容

・電通本社ビル売却報道の概要。

・本社ビルを売却して賃貸するリースバックは、結構一般的に行われていること。 

・電通の本社ビル売却に見る二つの変化

 1.広大なオフィスが不要になり、収益を生む訳ではない自社ビルはいらなくなった

 2.電通のコアビジネスであるテレビ広告の衰退。企業が広告を届けたいファミリー層がテレビを見なくなった。広告費においても、テレビ広告費よりインターネット広告費が大きくなっている。

 

 

 

 

電通が本社ビルを売却か

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電通が東京汐留に持つ本社ビルの売却を検討していると報じられました。電通は「検討はしているが、現時点で決定している事項はない」と発表していますが、売却を検討していることは事実のようです。

電通本社ビルは2002年に完成し、地上48階高さ210メートルの巨大な高層ビルです。東京の一等地にあり規模も大きいことから、売却額は過去最大級の3,000億円が見込まれています。一般の企業でポンと買えるところはまずないでしょうから、外資を含めファンドが購入することになりそうです。

コロナ禍でテレワークが広がっており、出社は普段の二割にとどまっていたようです。恐らくオフィス内はガラガラなんでしょう。

売却後は別のビルに本社を移すのではなく、そのまま賃貸で入居します。これはリースバックと呼ばれ、資金調達の手法として広く行われています。自社所有の不動産を売却することで、資金調達することが目的です。

 

 

本社ビルを売却する事例は結構ある

上で書いたように、このリースバックは過去にも様々な企業で実施されてきました。

まず日本で話題となったのが、日産自動車です。社長に就任したカルロス・ゴーン氏が、銀座にあった本社ビルの売却を発表しました。手元資金を確保するための施策でした。売却後もしばらく入居していましたが、2009年に退去しています。

その後、横浜みなとみらいに建てたグローバル本社ビルも売却するといった報道が出ましたが、実施はされず今も日産自動車が所有しています。

直近の事例としては、エイベックスの青山本社ビル売却が話題になりました。コロナ禍でライブが開催できないことが、業績に影響したようです。

2000年には、NECが「スーパータワー」の愛称を持つ本社ビルを売却しました。現在は野村不動産系の野村不動産マスターファンド投資法人というリートが保有しており、賃借してNECの本社が入居しています。

ソニーも自社ビルを売却しています。大崎の「ソニーシティ大崎」は、1,111億円でリート等に売却されました。現在もソニーグループが入居しています。

JTは2020年に自社ビル「JTビル」を住友不動産に売却しました。JTの場合、このビルから本社を移転し、別のビルに入居しています。

本社ビル売却の事例を紹介しました。この他にも様々な事例があります。電通のニュースに驚いた方も多いと思いますが、自社ビルの売却は珍しいことではないのです。

自社で不動産を持つことの意義が薄れつつあり、今後も実施する企業が増えてくるかもしれません。

 

 

電通本社ビル売却の背景にある二つの変化

この電通のニュースには、背景に二つの社会的な変化があると考えます。まずは、テレワーク等によるワーキングスタイルの変化。以前は当たり前であった出社が、当たり前ではなくなりました。出社が減ったので、大きなビルは必要ないでしょうということです。

もう一つは電通のコアビジネスに関すること。ファミリー層のテレビ離れが影響しているのではと考えた次第です。

 

ワーキングスタイルの変化により、もう金のかかる自社ビルは不要?

本社ビルを所有していても、利益は生みません。工場は製品を生産して利益の源泉を作り出します。また、研究所や付随する研究設備は、未来の利益のためのイノベーションを創造します。

しかし、オフィスビルは何かを作り出す訳ではありませんし、発明する訳でもありません。確かにマーケティングや営業戦略は、オフィスビル内で検討されているのでしょうけど、オフィスでする結構な業務がオンライン上で可能なことが分かってきました。それなら、オフィスの面積はもっと減らせますし、賃貸で十分なはず。

自社で不動産を所有すると、固定資産税がかかりますし修繕などの対応も行わなければなりません。大きなビルであれば、やれエアコンが故障しただの日々何らかの対応が必要でしょうから、本来の業務に関係ない業務が増えてしまいます。

コロナ禍におけるテレワークで、出社人数が減っています。この大きな流れは逆流せず、より大きな流れへとなっていくでしょう。ほとんど社員が出社しないのであれば、大きな自社ビルはダンボール一箱を運ぶのに4tトラックを使うようなもので、かなりの無駄となってしまいます。しかも、いくら少ないとはいえ社員が出社するかぎり、光熱費がかかります。

もう所有ではなく、賃貸で良さそうです。賃貸であれば、必要に応じて追加で借りたり、あるいは解約することが可能。しかも、ビル管理といった手間からも解放されます。

また、セキュリティや通信といったビルの設備においても、企業は常々入れ替えや設備投資を迫られます。特にセキュリティなどは、年々要求が厳しくなります。オフィスへの入室でICカードでピッとやるのが一般化したと思ったら、今度は顔認証です。

自社ビルだと、その都度設備投資が必要。賃貸であれば、いざとなれば新しい設備の整ったビルへ移ることができるのもメリットです。

 

テレビ広告の減少 ファミリー層のテレビ離れ

若い人がテレビを見なくなりました。自分も若いとは言えませんが、テレビの視聴時間は減ったと実感しています。じゃあ何に時間を使っているかというと、スマホやPC、タブレットの画面を見ることに費やされています。

何より電通にとって厳しいのが、テレビ広告の減少。最近長寿番組の終了が相次いで報道されました。フジテレビ系「とくダネ!」、TBS系「噂の!東京マガジン」、日本テレビ系「メレンゲの気持ち」などなど。また、ギャラの高いタレントの降板も報じられています。

これらの番組は、決して視聴率が悪かった訳ではありません。視聴者層に問題があったのです。高齢層に支持された番組でしたし、出演者も年連の高い方ばかりでした。

民放は企業がCM枠を買うことで収益を得ています。ただ、企業が商品を訴求したいメインターゲットは、高齢者層ではありません。13歳~49歳のファミリー層です。ファミリー層が少なく、高齢の視聴者層が多い番組に、企業はお金を出したいとは思わないでしょう。若返りを図るべく、長寿番組を終了させる決断を迫られました。

しかし、そもそも企業が広告を届けたいファミリー層は、テレビを見なくなったという現実があります。下のグラフは、総務省の調査をもとにテレビとインターネットの、1日の平均利用時間を比較したものです。30代まではインターネットの方に、より多くの時間を費やしていることが分かります。50代以上となると、圧倒的にテレビが多くなります。若い人はネットを見て、中年以上はテレビを見るという構図が見て取れます。つまり、企業がターゲットとする層は、テレビよりもインターネットを利用する時間が多いのです。

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となると、企業が同じ広告費を使うのなら、インターネット広告に予算を振り向けるでしょう。電通が公表する「日本の広告費」によると、2019年における「テレビメディア」の広告費は1兆8,612億円。一方「インターネット広告費」は2兆1,048億円となっており、インターネットがテレビを超えています。しかもインターネット広告費は2桁成長する反面、テレビ広告費は年々減少しつつあります。

テレビ広告の分野では、圧倒的なトップが電通。陰で日本を動かしているなんて陰謀論も出るほどです。しかし、インターネット広告のシェアトップはサイバーエージェントであり、ネットの分野では存在感を示せていないようです。

また、2020年はオリンピック関連の売り上げをかなり見込んだのでしょうけど、ことごとく消え去る格好となりました。その他のイベントも中止が相次ぎました。関連するテレビCMも無くなったのでしょう。厳しい状況であることが想像できます。

巨額の本社ビルを売却することで手元資金を確保しつつ、デジタル分野へ反転攻勢を虎視眈々と狙っていることでしょう。あの電通ですからこのまま縮小するはずがなく、今後面白い施策が次々と打ち出されていくのではないでしょうか。

 

 

まとめ

あの巨大な本社ビルを売るというニュースを聞いた時はびっくりしました。汐留で実際にあのビルを見ると、けた外れの大きさが実感できます。高さもそうですが、横に大きいですよね。一般のビルがライト級のボクサーとしたら、電通本社ビルはまさしくヘビー級。マッチョな感じがします。あと、お金がかかってる感じも。

そしてその売却額もヘビー級。3,000億円です。東証一部上場企業の年間売上額よりも大きいですね。

そんな本社ビルを売却するというのですから、興味を持たない訳にはいきません。色々調べてみると、二つの背景がありそうだということが分かりました。コロナ禍で考えさせられたオフィスの在り方と、コアビジネスであるテレビ広告の衰退です。

デジタルによる社会の変革は、あの電通ですら窮地に追いやりました。もちろん売却で得るであろう資金をもとに、巻き返しを図るのでしょう。常に未来を見据えて商売をしていかなければならないという教訓が見出せます。これはまさに広告におけるイノベーションのジレンマといえるのではないでしょうか。