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普通の生活をするには月に54万円必要?共働きでないと普通に暮らせない社会。

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ツイッター上で「普通の生活」というワードがトレンドになっていました。気になって見てみたところ、東京の労働組合の団体が、東京で「普通に」子育てをしながら生活するには、30代で月に54万円必要とした試算を公表したそうです。

月に54万必要!?そんなのムリなんて感じてしまいます。月に54万円もの収入がある家庭は、いったいどれだけあるのでしょうか。

ただ、よくよく考えてみると、発表したのは労働組合。給料を受け取る側の代表組織であり、ポジショントークも多分に入っているでしょう。多少盛っているのかもしれません。我々サラリーマンの立場としては、「54万で普通なんて!」と反発するのではなく、「そうだそうだ、54万おくれ」と同調した方が得策なはず。

この試算の中身って、どうなっているのでしょう。本当に盛っているのでしょうか。ちょっと調べてみることにしました。

調べて感じたのは、まあ確かにそれくらい必要なのかもということ。豊かさにお金は必要無いなんてことを言う人もいますが、やっぱりお金は必要です。かのチャップリンも、「人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ。」と述べています。

その少しのお金が月54万円であるとするなら、普通の生活はかなりハードルが高いですし、一馬力でその収入を得られる人は限られるでしょう。夫婦共働きが必要です。

今回の記事では、まず試算の中身を紹介し、夫婦共働きの重要性、そしてそれを阻害する転勤制度について考えてみたいと思います。

 

この記事の内容、伝えたいこと

・月54万円必要とする試算の内訳を確認。かなりつつましい生活でした。

・豊かに暮らすには、夫婦共働きが必要。

・それなのに、いまだに転勤が一般的。

 

 

 

 

普通に生活には月54万円必要?試算の内容を詳しく見てみる。

まずは月54万円の内訳はどうなっているのか。54万円という金額を表面から捉えると、ムリゲーな金額と感じてしまいますが、その中身を見てみなくては何も始まりません。

この月54万円の生活費は、東京の練馬区に住む小学生と幼稚園児の子供二人を育てる30代家庭を想定したものです。

30代以外にも40代や50代の場合も試算されています。50代になると、子供が大きくなります。大学生と高校生の想定です。教育費が嵩みそうです。試算上でも、40代では月62万円、50代は月に80万円も必要とされています。月80万って、驚きですね。

今回はツイッターでも話題となった月54万円、つまり30代家族の試算に焦点を当てます。まずは、試算の内訳を確認しましょう。

 

試算の内訳(東京都練馬区、30代家庭)
食費 112,558
住居費(42.5㎡の賃貸) 98,958
光熱・水道 19,896
家具・家事用品 10,556
被服・履物 12,834
保健医療 6,447
交通・通信 31,058
教育 28,417
教養娯楽 30,597
その他 47,418
予備費 39,800
生活費計 438,539
税金・社会保険料等 101,754
生活費計(税込み) 540,293
必要年収 6,483,516

出典:東京地方労働組合評議会ホームページより

 

この表で見ると、月54万円は税金や社会保険料が引かれる前の額面であることが分かります。 つまり手取りでは、約44万円です。

税込み年収では約650万円。この年収は54万円を12か月かけた金額であり、ボーナスは含めていません。

では、各項目を詳しく見てみましょう。

 

食費

月の食費が11万って結構高いですよね。家族4人とはいえ、子供は小学生と幼稚園児。もう少し抑えることができそうです。総務省の家計調査によると、4人家族の食費の平均は約79,000円。11万円は、結構高めの試算かもしれません。

外食が多めの設定なのかなと思いましたが、お父さんの飲み代は月に1回3,500円と想定されており、外食が原因ではありません。

この食費、実はかなり厳密に試算されており、年齢に応じた必要摂取カロリーや栄養素をもとに、代表的な食品の価格を調べた上で、一人一人の毎月の食費が計算されています。それを足し合わせた結果が、世帯あたりの月の食費として11万円となるのです。

きちんとした食事をとるためには、それくらいの金額が必要になるという試算です。ただ、食品はまとめて購入し、家族分をまとめて料理しますので、実際はもう少し抑えることができるかもしれません。

 

住居費

東京都内で住む想定なので、広さは42.5㎡と決して広くはない賃貸マンションですが、家賃が98,958円とそれなりに高くなっています。4人家族が住むのに最低限必要な広さである42.5㎡~45㎡の賃貸アパートや賃貸マンションの相場を調べた上で、安い方から並べて3割のあたりの家賃が想定されています。つまり周辺の家賃相場でも、安い方なのです。

東京都内の練馬区であることが、住居費を高くしている要因であり、同時に試算されている八王子市内に住んだ場合では、62,500円となっています。都内と八王子では、3万円以上も差があります。

下でも紹介しますが、京都でも同様の調査がなされており、家賃は63,500円となっています。やはり都内は高いですね。

 

光熱・水道

総務省の全国消費実態調査を参考に、年収別の平均から推計されています。

 

家具・家事用品、被服・履物

一般的な家庭に必要とされている家具や家電等の市場価格を調べて、平均使用年数をもとに月割りをした金額が設定されています。エアコンやトースター、タンス、そしてどんぶりやまな板などかなり細かいものまで計算されています。

服や靴も同様の計算がされています。価格的にはかなり安価なものが想定されており、チノパン・ジーンズの価格はなんと1,290円です。ユニクロでもそんな安いジーンズ売ってないですよね。服を選ぶ基準は「人前に出て恥をかかないもの」です。

 

保健医療、交通・通信費

保健医療費は、医療費の平均をもとに推計されています。生命保険や医療保険等の保険料は含まれていません。

交通費には、練馬区からの定期代が含まれています。多くの会社では交通費として支給されるでしょうから、必要ない家庭が多いでしょう。自家用車は所有していない想定です。

通信費は電話・スマホ代などですね。

 

教育費

文部科学省の「平成 30(2018)年度子供の学習費調査」の平均支出額が参考にされています。30代家庭では、幼稚園が24,750円/月、小学校が3,667円と試算されています。

ただ、幼保無償化によりここの費用は大幅に削減されているはずです。

 

教養娯楽費

テレビなどのAV機器はこちらに含まれています。パソコンやゲーム機、書籍の購入費のほか、交際費や旅行代が含まれます。

旅行は日帰りの行楽を月に1回、1泊の旅行を年に2回と想定されています。比較的つつましい生活ですね。

 

その他消費支出

美容院や散髪代、ドライヤーや化粧品などの理美容関連、バッグや腕時計といった身の回り品、冠婚葬祭、お歳暮、プレゼント、忘年会等への参加費が含まれます。組合が作成した試算ということで、労働組合への参加費もここに入っています。

そして大事な大事なお小遣いも。なんと夫婦それぞれ6,000円ずつ。これは寂しい限りですね。

 

予備費

予備費は特に使用用途が決まっていませんが、消費支出の1割で想定されています。

 

税金・社会保険料

試算上では非消費支出という項目になっていますが、分かりやすいように名称を変更ししています。

厚生年金及び国民年金の保険料、健康保険料、雇用保険料の社会保険料、それに所得税と住民税が含まれます。

家が賃貸ですし、自動車も保有していない想定です。それらを保有すると、さらに固定資産税や自動車税がかかることになります。

 

試算のまとめ

試算を詳しく見てみると、決して贅沢な暮らしを想定したものではないことが分かりました。どちらかというと非常につつましい生活です。食費はもう少し抑えられるような気がしますが、自動車は所有しない想定ですし、ジーパンなんて1,290円のものをはきます。

月の生活費は54万円必要と聞くと、そんなに!という反応になりますが、家具や家電、服など複数年に渡って使用するものについても、月割りの金額で計算されていますので、実際に毎月54万円が必要になるかというとそんなことはありません。

ただ、税込みの年収で約650万円。東京で子供二人を育てるには、それくらいの収入がないと普通に暮らせないというのは、実態に近いものではないでしょうか。

 

他の地域でも同様の調査が

京都でも、同様の調査結果が発表されています。京都地方労働組合総評議会の試算によると、普通の生活を送るための月の生活費は486,913円。必要な税込み年収は、約584万円です。東京よりはリーズナブルに暮らすことができるようです。

想定される家族構成は東京と同じです。住居の広さも同じですね。食費の根拠についても、同様に計算されています。

住居費はやはり東京と比較すると安価になります。交通・通信が高くなっていますが、これは自動車所有を想定しているためです。自動車は558,000円の中古の小型車。やはりつつましい生活が想定されています。

  

試算の内訳(京都市内、30代家庭)
食費 112,881
住居費(42.5㎡の賃貸) 63,542
光熱・水道 18,636
家具・家事用品 11,520
被服・履物 13,095
保健医療 8,440
交通・通信 53,185
教育 28,097
教養娯楽 26,192
その他 45,487
予備費 38,100
生活費計 419,175
税金・社会保険料等 67,738
生活費計(税込み) 486,913
必要年収 5,842,956

 

 

 

平均賃金の推移と夫婦共働きの増加

近年は夫婦共働きが多数派となっています。生活費や社会保険料、税金は上がっているのに、賃金が一向に上昇しないという背景があります。下のグラフは、厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査に基づいた、平均賃金の推移を表しています。

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このように、2000年から2018年まで30万円を行ったり来たりで横一線です。この間、他の先進国は軒並み賃金を増やしています。全労連より、OECDのデータを基に賃金の国際比較が公表されています。日本と経済規模の近いドイツも上昇基調であるなか、日本だけが右肩下がりなのです。全労連のページへ 

購買力平価説によると、自由貿易下ではものの価格は同じになるとされています。iPHONEの価格は、国によって大きく変わることはありませんね。

自動車の価格が最近高いと感じるのも、自動車はグローバルな商品であり、日本人の購買力が下がっているからでしょう。インバウンドで日本が人気であった理由の一つは、安く済むということもあったようです。

賃金が上昇しない状況に加えて、持っていかれるお金が増えている実状もあります。消費税は10%。つまり100万円あっても90万円分しか買えないということ。手取り収入が10%減少したことと同じです。

厚生年金保険料、健康保険料といった社会保険料も、少子高齢化に対応して年々増加しています。また、大学の授業などもどんどん上昇しています。

つまり、日本人の可処分所得は減少の一途であり、一馬力では生活を維持できなくなりました。そんな背景もあり、90年代半ばには専業主婦世帯より共働き世帯の方が多くなりました。今では倍以上共働き世帯の方が多くなっています。

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夫婦共働きでないと、普通の生活ができない

ここで冒頭の54万円に戻ります。平均賃金は30万円代ですから、到底労働組合が言う普通の生活はできません。つまり必然的に夫婦共に働かざるを得ないのです。

必要年収は650万円ですから、大企業の社員であればなんとか一馬力でも可能かもしれません。ただ、余裕はなくなりますし、貯蓄も満足にできないでしょう。

日本社会は夫婦共働きでなければ、成り立たない社会となっているのです。

 

 

それでも残る転勤の制度

それなのにいまだに企業は転勤を押し付けます。日本人の賃金が上昇しないのは、企業がデフレマインドに侵されており、人件費を下げることにインセンティブが働いた結果と言えます。もちろん終身雇用といった制度がネックになっていることもあるでしょう。

バブル崩壊から人件費を抑え続けた結果、日本人の大半は夫婦共働きで何とか生活を維持している状況です。

夫婦共働きであるということは、非常に転勤し辛い状況にあります。夫婦それぞれに仕事があるのに、転勤となってしまうと単身赴任せざるを得ません。単身赴任なんて、従業員にとって不幸ですよね。モチベーションが低下します。

こうした社会的背景があるにもかかわらず、春になるとどの企業も転勤の辞令を出します。以前は自分も転勤は普通のことと捉えていましたが、色々調べてみると非常に問題のある制度であると思えてきました。社会全体にも大きなデメリットがあります。

 そんな転勤の問題については、こちらの記事でもまとめています。

www.sunomono19.com

 

 

まとめ

ツイッターで「普通の生活」がトレンドとなっておりましたので、今回の記事を書いてみました。月54万円の生活費から、無理やり夫婦共働き、そして転勤問題へと議論を広げた格好です。 

この月54万円という生活費は決して誇張したものではなく、普通にあり得るものでした。これが高いと感じるということは、必要な生活費に対して給料が足りていないということなのでしょう。 

最初でも書いたように、我々サラリーマンは54万円に反発するのではなく、そうだそうだと同調すべきなのです。