住のもの (すのもの)

地方都市でマイホームを購入し、家族の幸せを追い求めるブログ

増田レポートがまとめられた「地方消滅」のまとめ。東京一極集中で人口が減る理由とは?

f:id:mister19:20201007230737j:plain

増田レポート。増田寛也氏を座長とする日本創生会議が2014年に発表したこのレポートは、日本中に衝撃を与えました。なんせ、このままでいくと半数の自治体が消滅するというのですから。

かつて日本でもっとも人口の少ない鳥取県で暮らしたことがありますし、現在も地方都市に住んでいることもあり、このレポートには大変関心を持った次第です。

増田レポートは「地方消滅」として中公新書から出版されています。副題が「東京一極集中が招く人口急減」。この本の要約と感想をまとめたいと思います。

 

 

地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書) | 増田 寛也 |本 | 通販 | Amazon

 

要約ー地方中核都市をダムにー

日本の人口は少子化の影響により、将来的に減少していくことは周知の事実です。ではどれくらいの人口になるのかというと、2050年には9700万人。日本人イコール1億というイメージがありますが、2050年には割ってしまいます。そして、2100年には約4960万人と急減し、これは明治時代と同程度の水準だそうです。

その原因は、もちろん少子化。合計特殊出生率は多少改善したものの低いままですし、これまでの政府の施策も効果をあげられていません。

では、このままどのように人口減は進むのか。そして、どうすれば抑えられるのか。この本の中で提言されています。

人口減を抑えるといっても、実はすでに手遅れだったりします。将来的に人口が減るのはほぼ確定的であり、いかに減少を抑えるかという段階にあります。

人口が大きなタンク内の水であると例えるなら、現在はすでに亀裂が入って水が漏れ出している状態です。少子化とは、タンクへ注がれる水よりも、亀裂から出て行く水の量の方が多いのであり、しかもその亀裂は埋めることが難しく、常に水が漏れ出た状態であると言えます。

タンクの水量を保つには、蛇口の水を増やすしかありません。蛇口の水量が、亀裂から漏れ出る量と同じになれば、水量は一定に保たれます。亀裂は以前から存在しましたが、タンクへの注水量の方が多かったので問題ありませんでした。ところが、最近注水が少なくなり、漏れ出す量の方が大きくなってしまいました。現に、日本の新生児数は過去最低を記録しています。

注水量を増やせば良いのですが、水道の工事をするにしても、水量が増えるまでに時間がかかります。その間タンクの水は減り続けるのです。水の量を減らさないためには、いかに早く工事に取り掛かって注水量を増やすかが重要です。

人間をタンクの水に例えるなんて怒られるかもしれませんが、マクロ的に量の問題と考えるなら、まさにそういうことなのです。この本の中でも素早く手を打つことの重要さが説かれています。

人口維持に必要な合計特殊出生率2.07。例えば1.8を2030年に達成、そして2040年に2.07を達成した場合、将来の人口は9,000万人台で維持されることになります。人口が減るのは確実なのですが、上で紹介した4,960万人とは大違いです。この2.07を達成するタイミングが遅くなればなるほど、将来の人口が低い位置で推移することになります。素早い対策が必要なのです。

その対策として筆者が重要視しているのが、社会移動です。中でも若年女性の社会移動が特に重要とされています。つまり、ちょうど子供を産む年齢の女性が、地方から大都市部特に東京へ流れている現状が問題とされているのです。

若い女性が地方から東京に移動している状況は、なんとなく理解できますし、肌感覚で実感しているところでもあります。それが問題であるとは、一体どういうことなのでしょうか。

日本の人口はこれから3段回のプロセスを経て、減少していくようです。現在進行しているのが少子高齢化。まず1段目として、老年人口が増加しつつ生産年齢人口が減ります。それが2040年頃まで。2040年には老年人口の増加が止まり、2060年になると老年人口も減少します。つまり、第2段目は老年人口維持かつ生産年齢人口減少、第3段目は老年人口と生産年齢人口ともに減少していきます。

ただ、これは日本全体の数字です。人口には地域によって大きな格差が生じます。それは人口の社会的移動が関わってくるのです。

社会移動は、若年層が地方から大都市部へと移動するのが中心です。若年層が子供を産み育てるのであり、特に20〜39歳の女性が重要なのです。子供の95%は、その年齢から生まれてくるからです。

そしてこの本の肝であり、世間をざわつかせた事実がこれです。2040年までに20〜39歳の女性人口が5割まで落ち込むと、人口が維持できない、すなわち消滅するとされており、そのような市町村は896にも及ぶのです。全市町村で1,741ですから、日本の自治体の半数が「消滅可能性都市」なのです。驚きです。やばいですよね。

このような地方が消滅しそうなほど大都市部に人が集まる社会を、筆者は「極点社会」と呼んでいます。他の先進国を見ても、首都圏に人口が一極集中しているのは異例であり、日本特有の課題です。

特に問題なのが、人口が過密する地域は出生率が下がることです。東京の出生率はダントツで低いのであり、極点社会は人口減に拍車をかけます。まさに東京は人口のブラックホールなのです。

では、国や地方自治体はどのような政策を取れば良いのでしょうか。かつて「日本列島改造論」や「田園都市構想」といった施策が実行されてきました。確かに地方は発展しましたが、人口流出の流れを変えるだけのインパクトはありませんでした。

筆者は、時間を考慮して「積極的政策」と「調整的政策」を並行して推し進めなければならないとしています。積極的政策では、人口の流れを大きく転換する施策です。当然長い時間が必要です。そこで、まずは地方からの人口流出の止血を、ということで調整的政策を行います。地方での産業創出や教育機関の分散をすることで、人が地方にとどまるようにするのです。

ではどこで止血するのか。筆者は、地方の中核都市に若者がとどまるようにするべきであると述べています。地方中核都市を、東京へと若者が流れ出るのを食い止めるダムとするのです。

地方の都市は、東京といった大都会よりも出生率が高く、子育てには適していると言えます。東京へ移動する人口を少しでも地方にとどめることで、日本全体の出生率を向上させることができるのです。

地方と大都市間の人の移動は、1.学校への入学、2.最初の就職、3.40歳頃の転職、4.定年の四つの機会があり、それらの時期に合わせた方策が必要です。まず、地方での教育や雇用を強化しなければなりません。また、中高年の移住促進も効果的でしょう。また、地方における産業を促進するためにも、地域の金融を再構築しなければなりません。

そもそも、少子化が進行する背景には、非正規雇用が増えたりと、若年層の経済的基盤も理由であるとされています。経済的に結婚したくてもできない人が多いのです。

近頃は晩婚化していますが、女性が20歳代前半という若い時期に子育てを開始すればするほど、出生率が上がります。

そのため若い人が安心して結婚できるよう、どんな職種であっても夫婦で年収500万円を得られることを目標にすべきであるとも提唱されています。

企業における意識改革も必要です。長時間労働を是正して、男性も育児に参加できるようにすべきですし、女性がもっと活躍できる職場でなければなりません。企業別に出生率を公表するのも一つの手であります。

また、本の中では、北海道の状況が紹介されています。大きな面積を持つ北海道は、人口の状況において日本の縮図であると言えます。ここで注目したいのが、札幌市のケース。実は札幌市は東京都に次いで2番目に出生率が低いのです。その理由は、若年層の男女の人口がアンバランスであることにあります。北海道中から若年女性が集中するのと同時に、男性は主に東京へ流出することから、札幌市は1割程度女性の人口の方が多い状態にあります。そのアンバランスにより、出生率が低下したのです。女性の方が多いのですから、結婚できない女性が増えて当然です。そして、その出生率の低い札幌へ若い女性が続々と集まることで、北海道の人口減少の要因となってしまっています。

では、どのような地域が人口を増やしているのか。6つのモデルが紹介されています。「産業誘致型」「ベッドタウン型」「学園都市型」「コンパクトシティ型」「公共財主導型」「産業開発型」です。中でも産業開発型がカギであるとされています。地域の資源を活かした新たな産業振興により、地域の自立を促します。例えば福井の鯖江といえば、眼鏡の一大産地です。海外産の眼鏡という不安要素はありますが、福井県内で人口増加率トップを誇ります。産業が盛んであれば、会社が集まり、そして人も集まるのです。

本の巻末では、「里山資本主義」で有名な藻谷浩介氏や小泉進次郎氏との対談が収録されています。これもかなり興味深い対談でしたので、是非読んでみてください。

www.sunomono19.com

 

 

「地方消滅」を読んで考えたこと。ー企業の地方移転が鍵となるー

東京一極集中の問題が昨今話題となっています。雇用環境の貧者な地方から、大都市部へと人口が流出し、それが地方における人口減少を招いていることは、誰もが知るところでしょう。

そして、そのような社会移動が、地方だけでなく日本全体の人口減少の原因となっていることについて、ご存知な方は少ないのではないでしょうか。東京は決して子育て適した地域ではないことから、出生率が全国でもっとも低いのであり、そんな東京に若者が集まればどうなるでしょうか。まさに人口のブラックホールです。

東京の出生率の低さは、以前よりこんな記事を書いていたので知るところではありました。

www.sunomono19.com

 

ただ、若年世代の女性がキーであることは、この本を読むまで知りませんでした。確かに出生率は、女性が一生の間にどれだけの子供を産むかの指標であり、子供を産む年齢の女性の環境が大切なのは納得です。

では、どうすれば若者が地方にとどまるのか。自分なりに考えてみました。それはやはり、仕事があるかないかに尽きるでしょう。クリエイティブな人は、どこでもネットを使って仕事自体を創り出すこともできるのでしょうけど、みんながみんなそういう訳にはいきません。雇用の絶対数が必要でしょう。

過去の地方活性化は、企業の工場を郊外に整備した工業団地に誘致することが目的でした。しかし、最近の工場って高度にオートメーション化されており、雇用数なんてそれほど多くありません。一つの工場ができても、新規雇用数は100人や200人が関の山でしょう。

それなら本社が移転するしかありません。パソナの淡路島移転が話題になりました。そもそも金融だけじゃなく、製造業やサービス業などあらゆる企業の本社が東京に集まらなければならない理由ってなんなのでしょうか。上場企業の半数以上が東京に本社を置いています。海外に目を向けても、日本のように一つの都市に政治から経済まで集中しているのって、ソウルに集中する韓国ぐらいのものではないでしょうか。アメリカの場合、トップ100の企業でニューヨークに本社を置いているのは4分の1しかないそうです。日本の場合、7割も集中しています。

企業が東京に集中するから、新卒の学生がそのまま東京に移動するのであり、少しでも企業の地方移転が進むことが、若年層の社会移動を抑えられる要因になることでしょう。

そして、東京への集中って、なんだかブランド信仰的な要素もあるのではと思います。東京に住む自分ってなんだか特別な存在であるという感覚が多少でも意識の底にあるんじゃないでしょうか。東京への憧れって、ブランド物に身を包むバブル期のような印象を受け、決してカッコイイものではないような気がします。身の丈に合わないルイ・ヴィトンを持つようなものであり、普通のサラリーマンにとって東京ってオーバースペックな感じがします。

もちろん経済合理性が一番の理由であると思いますが、これまで地方から東京へ移転を決めてきた経営層には、そのような昭和的な感覚も少なからずあったのではないでしょうか。

マクロ的に、そして長期的に考えた場合、極点社会は経済学でいう合成の誤謬であり、自らの首を締めるようなことだと思います。日本のGDPの大部分は貿易ではなく内需であり、少子化はその内需の減少につながっていきます。そもそも東京一極集中は経済合理性を求めた結果であるなら、皆んなが同じように合理性を目指して行動すれば確実に需要が減るはずです。

人口のブラックホールである東京へ集中する流れを、変えていく必要があるでしょう。

そこで、地方の中核都市をダムにするべきであるという論調は、普段の自分の考えにかなり近く、納得するばかりでした。仙台や金沢、京都、松山、広島、福岡、鹿児島などなど、地方の大都市が活性化することは、日本全体にとって良い方向へと進む鍵になると思います。

特に大阪。かつて大阪にもたくさんの企業の本社がありましたが、どんどん東京に流出してしまいました。大阪で営業していた時でも、顧客の発注権限が東京に移ったり、企業そのものが東京へ移転した場面に何度も遭遇しました。地盤沈下を肌で感じたのでした。

2025年にはIRの開業や、大阪万博が控えています。かつて江戸時代は、天下の台所と言われたように、商業で大きく栄えた大阪。その流れか、保険や商社、製薬などあらゆる業種の本社が置かれていました。今はみんな東京です。まずは、大阪の復活。そしてその勢いが地方へと波及すれば良いのですが。

 

地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書) | 増田 寛也 |本 | 通販 | Amazon

 

地方消滅 創生戦略篇 (中公新書)