住のもの (すのもの)

地方都市でマイホームを購入し、家族の幸せを追い求めるブログ

地方に住む立場から見る東京一極集中の問題点について

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地方都市でのんびり暮らしていると、なぜ日本人は東京に集まるのか疑問に感じてしまいます。通勤電車の混雑ぶりもすごいですし、何より生活のコストが高いですよね。

企業が効率を求めて東京に集まるので、生産年齢人口が東京に集まらざるを得ないという現状があるでしょう。大阪で仕事をしていた時でも、顧客の企業が東京へ移転したり、本社は地方のままであっても本社機能は東京に移してしまうということを良く経験しましたし、それに合わせて担当の方も東京へ引っ越してしまいました。発注権限が東京の部署に移ってしまいますので、地方の営業所は売上が下がるんですよね。

企業としては人や情報の集まる東京に機能を移すのは、合理的な判断だと思います。ただ、日本全体を考えた時、本当にこのままでいいのかと感じてしまいます。個々の企業にとって東京に集まることが効率的で合理的であるとするなら、たくさんの企業が同じように行動すると、結果として日本全体の経済のパイが小さくなるような気がします。内需が落ち込むと、回り回って企業の業績に響いてきます。日本のGDPに占める輸出の割合は15%程度です。日本は加工貿易で富を得ていると学校で習いましたが、実は内需の方が圧倒的に大きいのです。日本は内需の国なのです。東京一極集中はその内需の減少に繋がる取り組みであると考えることが、それに危機感を覚える理由です。

地方在住者としてのポジショントークな感じもあると思いますが、今回は東京一極集中の問題点を考えてみたいと思います。

 

 

 

 

再認識した東京一極集中の問題点

緊急事態宣言により一旦は減少したコロナにかかってしまった人の数。宣言解除後経済が動き始めた途端、またまた東京で増え始めました。

今回一つの都市に多くの人が集まり過ぎることの問題点を再認識した人も多いのではないでしょうか。

不幸中の幸いとして、テレワークの導入が急速に進みました。オフィスに出社せずとも、どこにいてもこれまでと同じように働くことができる環境が整いつつあります。そうなると、コストの高い東京ではなく、のんびりと自然に親しめる地方を選択したいという方も出てくるでしょう。

コロナ前から平日は東京、休日になると田舎で過ごす二拠点生活をする人が増えているというニュースを見たことがあります。テレワークに注目が集まる前から、こんなスタイルが増えていたんですね。

東京に人が集まり過ぎることについて、下記のような問題があると考えます。今回の件で、こうした問題点を意識した方も結構いることでしょう。

 

人が多すぎ

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東京に行くといつも思うのですが、どこに行っても人多すぎですよね。通勤電車もやばいです。入社した当初2週間ほど東京に滞在していたことがあります。府中から新宿まで京王線で通勤しました。カバンを手から離しても浮いてるんじゃないかってくらいの混雑です。大阪ではこんな混み具合は経験できません。東京に住んでいたら、これが毎日ですよね。やばくないですか?通勤だけで体力をかなり消耗します。これが仕事への生産性に影響しているなら、かなり目に見えない損失がありそうです。

人が多いって結構ストレスですよね。それだけ、生活する中で他人に気を使わなければならない場面が多くなります。他人に見られるという意識から、ファッションや振舞いにも気を使うことでしょう。誰か「劇場東京」と述べていましたが、まさしくそんな感じでしょう。

 

不動産価格高すぎ

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うちの会社でも片道1時間半くらいかけて本社に通っている人はざらにいます。賃貸ならまだ何とかなるんでしょうけど、家を買うとなると一般的なサラリーマンであれば少し離れた地域に購入せざるを得ない状況です。

マンション価格もかなり高騰しています。2019年の東京における新築マンションの坪単価は、約378万円でした。大阪は約268万円です。一坪の価格で100万円以上もの差があります。東京の新築マンションの平均価格は7,000万円を超えています。では平均の広さはというと63㎡です。ファミリーで使用するには狭いですよね。価格が年々上昇するので、それに合わせて広さや質が落とされているようです。

都心部のマンションは、パワーカップルという夫婦ともに高収入の共働き世帯が購入の中心となっています。平均的な収入だと買えません。タワーマンションがたくさん建設されていますが、価格を見ると目玉が飛び出るような数字です。

上場企業の本社の5割が東京に本社を置いています。それだけ会社が集まれば、オフィス需要もそうですし、従業員の住宅需要も相まって、需要と供給の関係から当然価格が上昇します。ただ、集まるのは一般のサラリーマンであり、高収入の役員や経営者ばかりではありません。夫婦共働きで、やっとの思いで高額のマイホームを購入すると、稼いでも稼いでもローンの支払いでお金が消えていってしまいます。

地方に住んでいると、住宅にそんなにお金がかかってしまう、あるいは安価にしようと思うと都心部から遠い場所にせざるを得ないって、どうなんだろうって感じてしまいます。

 

 

 

出生率低すぎ

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東京は若い世帯の人口が増え続けています。これは東京でどんどん子供が生まれている結果であればいいのですが、実際はそうではありません。

仕事が東京にあるので、生産年齢人口が東京に集まった結果です。有名大学や企業の本社が東京に集中していますので、大学入学や就職で地方から若者が流れ込んできます。かつて金の卵と言われた、高度経済成長期からの流れです。つまり50年近く同じようなことをやっているのです。

東京に集まった若い人が結婚し、そして子供が生まれればいいのですが、実は東京の合計特殊出生率は全国最下位なのです。厚生労働省の2019年人口動態統計月報年計によると東京都は1.15と全国でもっとも低い出生率でした。全国平均は、1.36です。都道府県別の合計特殊出生率を、ワースト10とベスト10でランキングにしてみました。ダントツで東京が低いことが分かります。

都道府県別の出生率ワースト10
1位 東 京 1.15
2位 宮 城 1.23
3位 北 海 道 1.24
4位 京 都 1.25
5位 埼 玉 1.27
6位 千 葉 1.28
7位 神 奈 川 1.28
8位 大 阪 1.31
9位 奈 良 1.31
10位 秋 田 1.33
都道府県別の出生率ベスト10
1位 沖 縄 1.82
2位 宮 崎 1.73
3位 島 根 1.68
4位 長 崎 1.66
5位 佐 賀 1.64
6位 鳥 取 1.63
7位 鹿 児 島 1.63
8位 熊 本 1.60
9位 香 川 1.59
10位 長 野 1.57

もしかすると地元にいれば子育てをしているかもしれない若い人が、東京に行くことで子供を作らなくなるという構図が見えてくるのです。東京にいると楽しいことが多いですし、生活コストが高くてそもそも結婚できるほど経済的余裕が無いということもあるのかもしれません。生活コストに見合うだけの給与所得があればいいのですが、世界と比較して日本人の所得はほとんど増えていません。おまけに社会保険料など、可処分所得が減っているのが実情です。なかなか結婚に踏み出しづらい状況なのです。

東京一極集中を是正することで、少子化にブレーキをかけることができるかもしれません。単純な考えかもしれませんが、上記の表のように出生率の高い沖縄、九州、山陰に人や企業が少しだけでも集まれば、多少少子化の改善に寄与できるのではないでしょうか。

 

地方が疲弊

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上で書いたように、東京は地方から若者を吸い取っています。そうすると、地方はおじいちゃんやおばあちゃんばかりになってしまいますし、優秀な人材が残りづらくなります。地方に残る優秀な人は、地元の銀行か公務員になります。地域の産業にいい人が入りづらい状態になってしまうのです。

以前鳥取県に住んでいたことがありますが、街中は高校生以下かお年寄りしか見かけません。生産年齢人口が少ないのです。

アメリカに目を向けると、金融は東海岸のニューヨーク、ITは西海岸のカリフォルニアと都市によって機能が分かれています。首都もワシントンです。中国も政治の中心は北京、経済は上海、ITは大連と都市によって機能が分かれています。

確かに一都市に人や情報が集まると、ビジネスをする上では効率的でいいのでしょう。しかし国家レベルで考えると、あまり過度に効率化しすぎると、国家全体のパイを小さくするようなことに繋がるような気がします。

地方が疲弊することと、日本の経済成長率が低いままであることは何か関係があるのではないでしょうか。

 

災害のリスク

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長年首都直下型地震の危険性が指摘されています。富士山が噴火するかもしれないなんて話もあります。

東京ってかなり災害に対して脆弱ですよね。ちょっと雪が降っただけでも大混乱です。すぐに電車が止まるので、駅に長蛇の行列ができることは日常茶飯事です。

なんでも東京に集中しているので、東京をなんらかの災害が襲う事態があると、日本自体が深刻なダメージを受けてしまいます。

国も省庁を分散させようとしましたが、最近はあまり動きが無いようです。結局文化庁が京都に移ったままで止まってしまっています。

企業にとっても、あらゆる機能を東京に集中させると、今回のコロナのようなことが今後も無いとも言い切れませんから、リスクが高いように思います。BCPの観点から、一旦東京に移した本社機能を、創業地の地方に移す企業も現れています。例えばアルミサッシやチャックで有名なYKKグループは、創業地である富山県黒部市に本社機能を移しました。

実際に東京で災害が起きてしまうと、一体どうなってしまうのでしょうか。

 

 

 

まとめ

地方に住んでいる外からの立場として、東京一極集中の問題点について考えてきました。個人的にもっとも問題だと思うのは、出生率の低さです。人口と経済成長は密接に絡んでおり、かつての高度経済成長は人口増加とともに成し遂げられました。人口ボーナスと言います。

少子化問題は、これまでほとんど対策が取られておらず、もう人口減少が確実な状況となっています。人口予測は結構正確に未来を見ることができ、東京でも2030年からは人口減少に転じると予測されています。2060年には、日本全体で9,000万人を割り込むようです。恐らくほぼこの通りになるのでしょう。

現に赤ちゃんの出生数も年々減っており、毎年過去最低を更新しています。やばい状況ですよね。

その一因が出生率のもっとも低い東京への一極集中にあるなら、一刻も早く地方への人の流れを作らなければならないのではないでしょうか。

 

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