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「里山資本主義」の要約と感想。都市に住む自分たちこそ知っておくべき考え方でした。

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近頃は密を避けるべく、郊外や田舎での暮らしに注目が集まっています。平日は都会で仕事をして、週末は田舎で過ごすという2拠点生活を開始される方も増えているそうです。そういえば、今うちの子供はおさるのジョージというアニメに夢中です。ジョージと黄色い帽子のおじさんは普段は都市部で暮らしています。週末になるとオープンカーで田舎へと向かい、セカンドハウスで過ごすのです。なんとなく見ていましたが、よく考えるとかなり理想的な暮らしをしていますね。

そんな自分も地方都市に住んでいますが、もっとのんびりとした田舎への憧れなんかもあったりします。そこで書店で見かけたのが、「里山資本主義」。読んでみて感じたのが、この考え方って里山だけでなく、都市部に住むサラリーマンにとっても重要なのではないかということです。では、この本の概要をまとめていきましょう。

 

 

 

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

 

「里山資本主義」の要約

里山資本主義とは、マネー資本主義の対義語です。ではこのマネー資本主義とは何かというと、まさしく現在都市部で暮らしている我々のことであり、よりたくさんの消費を奨励し、それに伴いより多くの稼ぎが必要な社会です。経済指標であるGDPは、国内で生まれた稼ぎの総量ですが、経済成長つまりGDPを増やすためには、マネー資本主義を推し進めなければなりません。いわゆる大量生産大量消費の社会です。

ただ個人に落とし込んで考えてみると、稼げば稼ぐほどお金が出ていってしまう仕組みの中で生活しているというのことであり、それが本当に豊かなのかという疑問にぶち当たります。収入が増えるとそれに伴い生活コストも増えて、収入の割には貯蓄がほとんど無いという人も多いのです。

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そのアンチテーゼとされるのが、里山資本主義です。地方には眠っている資源がたくさんあります。都市部にいると思いもつかない資源です。それを活かして地域の中で利益を循環させるのが里山資本主義です。

GDPを支える大量生産大量消費の仕組みからは反するものであり、経済成長という面ではマイナスの影響があるかもしれません。これまで田舎は、都市部への食料や原料の供給地であるだけでなく、貴重な人材の供給も担ってきました。その結果が現在の東京一極集中であり、地方都市の疲弊にも繋がっています。つまり、マネー資本主義の中では、地方は都市から搾取される立場でした。

まるっきり里山資本主義に置き換えてしまうと、経済が収縮してしまうでしょう。大量生産大量消費はメリットも大きく、これまでの経済成長には必要不可欠でした。それに質が良いものを安価に消費できるようになったのも、マネー資本主義のおかげです。あくまでもマネー資本主義が基本ではあるのですが、そのサブシステムとして、あるいは保険として里山資本主義を取り入れてはどうかとこの本では提唱されています。

例えば東日本大震災では、一時的にマネー資本主義が機能しなくなりました。大規模な工場の生産が止まりましたし、何より物流網が破壊されて他の地域からものが入ってこなくなりました。そんな事態において、その地域内で資源を有効活用して循環させる里山資本主義が大いに役に立ったことでしょう。

それに都会でのマネー資本主義に疲れた時でも、里山資本主義という逃げ道があるといいですね。まさに保険です。

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この本では、主に中国地方の事例が紹介されています。というのも同書は出版は角川書店ですが、もともとはNHK広島支局の番組企画が書籍化されたものだからです。自分も中国地方に在住していますので、大変興味深く読み進めました。中国地方は特徴もない田舎のイメージがありましたが、実は先進的な地域でもあることが分かります。

まず岡山県の真庭市で進められている木質バイオマスの事例。真庭市の製材会社が余った木くずを燃やして発電を始めました。木質バイオマス発電といいます。それにより、自社の電気は全て賄えるほか、売電することで利益も得られています。それに木くずを処分する費用も勘案すると、かなりの利益が出ているそうです。

そしてさらに木くずをペレットにして販売も開始されました。ビニールハウスのボイラー等に活用されています。市役所でもバイオマス政策課が設置され、行政を挙げて支援されています。

輸入木材などで日本の製材業は衰退の一途を辿っています。真庭市は林業が盛んな地域であり、その影響をもろに受けて苦しい状況が続いていました。ところが今はバイオマスの先進地域となっており、それにより新たな所得や雇用を生み出しているのです。

そして広島県庄原市でエコストーブ作りをしながら地域おこしをされている事例です。地域おこしというと都会の大企業の工場や、国や自治体の補助金をいかに引っ張ってくるかという考え方が定番です。

しかしそうではなく、実はその土地の役に立たないと思われていたものが宝物であり、その宝物を活かすことでその地域が宝島になるのだという考えのもと、様々な取り組みの様子がレポートされています。

「地方が元気でなければ、都市も元気にならない。経営者が儲けても、消費する国民が豊かでなければ、その経済は保証できない」まさに、目先の利益だけを追い求めると、将来の自分の首を絞めることになるのです。

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20世紀の経済は、重厚長大な産業を基盤として発展するため、都市に資本や労働力の集約が必要でした。それにより高度経済成長を成し遂げましたが、それは地方から搾取することでもありました。地方の開発においても、都会の考え方のもと地域の特色は無視して、効率的という観点から全国画一的な開発が行われてきました。その結果、日本の街は全国どこでも同じ表情を見せるようになりました。車で走行すると、全国どこでも同じチェーン店のカンバンが目に入ります。

確かに生活は便利になって良かったのですが、それに違和感を覚えた人達の中から、地域の風土や文化を見直す動きが始まりました。令和の時代は、よりその動きが活発になるでしょうし、里山資本主義は地域や地方が復権する象徴とも言えます。

地域で生まれた利益を都市に吸収されるのではなく、地域内で循環させるのが里山資本主義ですが、さらに都市部に売ることでより利益を増加させることができます。つまり里山資本主義は地域を超えて開かれているのです。

人間が生きていくのに必要なもの。それは、お金ではなく、水、食料、燃料です。田舎はそれらが安く手に入る環境なのです。特に燃料。日本の貿易収支において、ものを製造して稼いだお金は、アラブなど資源国に持っていかれています。また、日本国内においても、大都市圏の収支はプラスですが、地方はマイナスとなっています。その大きな要因は、やはりエネルギーです。食料を生産して大都市圏に販売しても、それらを生産したり生活するためのガスや石油類といったエネルギー費がそれ以上にかかってしまうため、結果的に収支が赤字となってしまうのです。

そこで木質バイオマス発電や、木のペレットによる暖房など、地方に豊富にあるエネルギー源としての木を有効活用することで、都市部に流れていたお金が地域内で循環する仕組みができるのです。

本の中では、上記の事例のほか、周防大島でのジャム作り、高知での真庭モデルの導入、耕作放棄地では酪農を営んだり、ホンモロコを養殖したりなどなどといった事例が紹介されています。経済的には決して大きくなく、従来の物質的な豊かさを求めるのとは対極ですが、質的な豊かさで言えばこうした暮らしがいいのかもしれません。「懐かしい未来」という言葉が紹介されています。これまでの物質的な豊かさを追い求めてきましたが、そうした生活に伝統的な要素を取り入れたスタイルが主流になるだろうとのことです。つまり、現代的な生活において、土に触れることは滅多にありません。懐かしい未来では、野菜を作ったり、あわよくば鶏を飼って卵を採ったりというようなことをやっていく人が増えていくのかもしれません。先進国は、質的な本当の生活の豊かさを追い求める時代のフェーズに入っているのかもしれません。

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また、里山資本主義のシステムは、高齢化社会における生き甲斐にも寄与します。広島県庄原市の福祉施設では、地域の高齢者から食材を買うことにしました。田舎の高齢者は家の庭にこしらえた菜園で野菜作りに励んでいる方が多く、食べきれない量の野菜が採れます。これまでは腐らせるだけでしたが、福祉施設で買い取ることで、自分の野菜が地域の役に立つという実感を持つことができ、生き甲斐に繋がります。施設としても都会の市場から購入するよりかなり安く食材を仕入れられます。一石二鳥のこの仕組みは海外からも注目を集め、視察にまで訪れたようです。

実はこの里山資本主義。この考え方は田舎だけでなく、最先端の企業も似たようなことをやっています。例えばスマートシティ。中東から輸入したエネルギーではなく、風力や太陽光をエネルギー源とし、スマートグリッドの技術によって各家庭の使用量を調節します。まさにアメリカ型のマッチョな資本主義から、日本が得意とする省エネに根差したシステムへの転換です。しかも、IOTにより電気や家電等の使用状況を把握することで、安否情報まで見守ることが可能になります。最近はポットを使っているかどうかで、一人暮らしの高齢者を見守ることができるサービスなどがありますね。

従来のマネー資本主義が進展すればするほど、物質的や金銭的な面で豊かにはなります。しかし、成長すればするほどこの状態が維持できるのかという不安が増していきます。テクノロジーの進歩が早くなれば、企業のサービスがすぐに陳腐化します。最近は早期退職の募集が増えたりと、終身雇用も崩れつつあります。大企業のサラリーマンであっても、いつまでもこの地位を確保できないだろうという不安を持つ方が増えていることでしょう。

日本経済は長らくの低成長に喘いできました。いわゆるずっとデフレ状態でした。この本は「デフレの正体」を書かれた藻谷浩介氏も執筆のメンバーです。氏によれば、デフレは現役世代が減少する中でも、大量消費大量生産時代のスタイルがやめられない企業の過剰供給が原因であり、それによる値崩れなのです。要するに買う人が減っているのに、作り過ぎて安くせざるを得ず、それにより利益も減って従業員の給料も上がらないのです。解決策としては、企業の構造改革であり、購買力を増やすことです。購買力を増やすためには、企業の賃上げが重要です。目先の人件費の削減は、周り回って企業を苦しめることになります。自社の競争力確保のために経費を減らすことは大切ですが、すべての企業が同じように行動すれば、その市場は縮小してどの企業も収益を上げられなくなります。これを経済学では、合成の誤謬と言ったりします。そして高齢者の貯蓄。これらの一部でも消費に回れば、かなりの経済成長を期待することができます。それらがうまく回れば、日本経済は衰退しないのです。

しかし、このような話では将来の不安は消えないでしょう。それはマネー資本主義の中での話であり、根本的な解決ではないからです。そこで里山資本主義。マネーが機能しなくても、生きるための水、食料、燃料を手にできる仕組みであり、マネー資本主義のバックアップであり、保険なのです。

そしてマネー資本主義に対する不安は、少子化の原因ともなっています。地方の若者は大学や就職で大都市圏へと出て行ってしまいます。ところが大都市圏の出生率は低く、マネー資本主義からは取り残されてきた地方は高いのです。今の東京一極集中が続くと、どんどん少子化が進んで日本の未来に暗雲が立ち込んできます。少子高齢化に対する処方箋として、里山資本主義を取り入れていくべきなのでしょう。

近頃はテレワークの導入が進み、通勤手当を出さない企業が出てきました。もう仕事するにもオフィスへの出社を前提としないということが、すぐに普通のこととなるでしょう。そうなれば、会社の近くの都市部に住む必要もなくなり、郊外や田舎に引っ越すことも可能になります。企業に勤めながら、里山資本主義を実践することも可能になるでしょう。里山資本主義はバックアップであり保険ですから、サラリーマンにとっても必ず役に立つと思います。

 

里山資本主義とメルカリと副業と―本を読んで考えたこと

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以上本の内容をまとめてきました。ここからは、自分なりに考えたことを記していきたいと思います。

最近は家族でキャンプに行っており、キャンプ道具をメルカリで物色しています。そんな中で思いついたのが、ネットが里山資本主義を地域ローカルから全国規模の取り組みに広げられるし、実際にそのように活動しておられる方がたくさんいます。

例えば植物。サボテンや観葉植物など。普通手に入れようと思うと、お店に出かけます。ところが、メルカリを見ていると結構個人の方が出品されています。それもなかなか店頭では見かけないような珍しい植物の実生(種から育てること)苗を販売されています。オークションやフリマアプリがなければ、趣味の世界の範囲内であったでしょう。

また、キャンプでは焚き火をします。当然薪が必要となりますが、都市部ではなかなか売ってないですし、売っていたとしても高いです。そんな薪も林業に携わるたくさんの方が出品されています。まさに里山が都市部から収益を上げる方法の一つです。

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里山資本主義は、もともと注目していなかった地元の資源を活かして、利益をあげたり豊かな暮らしをすることが目的であり、マネー資本主義の中で生活する自分達の保険となるシステムです。

その考え方からいくと、何も木や野菜といった田舎の資源だけでなく、自分自身も資源として収益を得られる仕組みも里山資本主義なのではないかと思い至りました。

例えばミンネというフリマのサイトがあります。個人が手作り商品をメインに販売することができます。趣味の手芸やDIYを収益化につなげることができるのです。

また最近では、副業が注目を浴びており、クラウドワークスやランサーズといったネットで副業ができるサービスも登場しています。ただサラリーマンであるだけなら眠っていた自分のスキルを、収益に結びつくように活かせるようになったのです。

会社の業務の大半がテレワーク化して、出社することが少なくなれば、それだけ無駄な通勤時間にかけていた自分の時間が増えることになります。都市部に住む必要も無くなりそうですね。

これからは会社だけを収入源としていると、いつ足をすくわれることになるかわからないような時代になります。前述したように、ずっと不安と背中合わせです。そこで、里山資本主義という保険を意識して実践することが、不安に対する処方箋となることでしょう。

この本では水、食料、燃料がゴロゴロしている里山は、それらの資源をうまく活用すればお金のかからない生活ができるし、あわよくば収益化も可能であるというお話でした。とは言っても、都会に住む我々がすぐに田舎に行ってそのような暮らしを始めるのも難しいです。憧れはありますが。

しかし、この里山資本主義の考え方、つまりマネー資本主義に対するバックアップや保険を確保するというのは、都会のサラリーマンも持っておくべきです。経団連も終身雇用や年功序列は維持できないと表明しています。若手の方は、この本を読んでこの考え方を知っておくことは大切でしょう。また、定年間近の方であっても、まさしくリタイヤ後の生き方として里山資本主義は大いに参考になると思います。

 

まとめ

マネー資本主義の世界では、搾取されるだけであった地方特に田舎が、里山資本主義のシステムでは、世界の先進地域となり得るところが非常に面白いと感じました。考え方やものの見方を変えることができれば、それが新たな利益を生むことができますし、既存の社会システムからはじき出されたり、あるいは天災などで社会システムが機能しなくなった場合でも、里山資本主義というサブシステムがあれば何とか乗り越えられるのです。

今は都市部に住んでいるので、まず身近にできることから模索していきたいですし、いずれは水、食料、燃料が容易に手に入るような、田舎での暮らしも憧れます。

よし、ベランダで野菜でも育ててみよう!

 

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