会社に勤めていると、なぜこんなことをずっと続けているのだろうという慣習がたくさんあります。最近テレワークの弊害となって何かと話題のハンコもそうですよね。うちの会社でも、ほぼすべての書類に押印欄が設けられていますし、ハンコ無しで回すとハンコが無いという理由で止められてしまいます。まあ社内ルールではハンコを押すよう定められていますので、ハンコ無しで指摘を受けるのは当然ではありますが。このハンコを押すためには、いちいち紙をプリントアウトしなければならないですし、承認者が物理的にその場にいなければなりません。ハンコが無くなると、もっと業務を効率化できそうですよね。
日本企業には、ハンコ以外にもまだこんなことやってんの?という慣習がたくさん残っています。小さなことから大きなことまで12個思い浮かびました。これは見直した方が良いのではと思う慣習について考えたいと思います。
押印
まずは今話題の押印です。コロナ流行における不幸中の幸いと言えると思いますが、一気にテレワークが浸透しました。ミーティングなどもZOOMを用いて、お互い自分の家にいながらするのが当然の光景となっています。そんなオンライン化を阻害する要因として、押印の慣習がやり玉に上がっています。せっかく感染予防でテレワークしているのに、押印のために街へ出るっておかしいですよね。
うちの会社でも、テレワークの申請書に押印欄が儲けてあり、ハンコを押さなければなりませんでした。もちろんニコニコしながら押しましたが、なんだか矛盾していますよね。
こういう状況を受けて、政府でも押印の廃止を検討されているようです。うちの会社も重い腰を上げ始めたようで、役員会でも押印の廃止が議題に上がったようです。しかし、そこで「誰が承認したのか不明確になる」という意見が出たようなのです。やばいですね。ハンコなんてなおさら不明確です。誰でも押せますし。たまに上司が不在のときは勝手に押して回してしまうこともあります。もちろん影響ない程度の書類ですよ。
恐らくこういう意見って日本中のおじさん役員の多くが持つ意見であり、今だに職場にデジタルが浸透しない要因なのかもしれません。
今は生命保険の申し込みだって、電子サインになっています。社外に出す書類ならまだしも、社内用の書類であればなんとでもできるでしょう。電子ワークフローや様々なクラウドサービスだってあります。なんとかハンコを無くしたいものです。
紙文化
押印にも通じることですが、紙もなかなか無くならないですね。例えば請求書。個人あての請求書って最近はほぼ家には届かなくなりました。携帯電話にしても、たいていWEB明細です。
会社はまだまだ紙でなければならないところが多いです。もちろん保管に関しての規定があるためでしょうけど。請求書が紙で届くとなると、経理の担当者はテレワークできません。送る方も、送られる方も。
請求書に関してはPDFを配信するクラウドサービスもあります。紙だと紛失してしまいますし、郵送のコストもかかります。絶対デジタル化した方が便利ですよね。データで持っているので、いつでもすぐに確認できますし、必要であればプリントアウトもできます。
せっかく他の業務はデジタル化に移行していたとしても、紙で請求書を送られてきたり、要請されたりすれば、どうしてもそこだけアナログが残ってしまいますし、わざわざ出社しなければなりません。
最近は一方通行ではなく、お互いに電子化しましょうという取り組みが始まっているようです。
上司の挨拶
ただの挨拶ってかなり時間の無駄ですよね。しかしおじさん達は挨拶に行きたがります。
お客さんだって特に提案もないのに来てもらってもしょうがないでしょうし、担当者もわざわざその為にアポを取って、上司を連れて行かなければなりません。
営業する立場からすると、挨拶に行っておかなければという半ば強迫観念のようなものがありますが、上司の挨拶が無いから取り引きを切るというお客さん、今どきいるでしょうか。逆に時間の無駄だし、近頃はコロナの懸念がありますので、出来れば来ないで欲しいという考えが広まっていると実感しています。
なんか緊急事態宣言が解除されてから、そら行くぞとおじさん達がそわそわし始めました。いつ元のやり方に戻れるか、または、この機会にいかに変化できるか。二つの正反対の考え方。世代間で違いが生まれているようです。
メールの宛名
あの宛名なんなんでしょう。本人宛のアドレスに送っているのに、○○株式会社□□様とわざわざ入れます。何度か行ったり来たりのやり取りをする時でも、送信する都度○○株式会社□□様です。
お硬めの会社だと、わざわざ長い部署名まできっちり入れてこられることもあります。自分は地方の営業所にいますので、部署名が長いんです。せっかくここまで書いてくれていて申し訳ないんですが、返信するときは社名とお名前だけにしています。だってめんどくさいですし。宛名なんか不要だと思いますが、せめて□□様だけにしたいですよね。
朝礼、ラジオ体操
こういうのって時代にそぐわなくなりました。テレワークで会社にいないですし、蜜を避けるための時差出勤が推奨されています。朝にみんな揃わないのです。
しかし組織の慣習はかなり強固なものです。人数が少なくなっても朝礼などを続けてしまうんですね。
そもそも会社で朝礼する目的ってなんでしょうか。なんか学校みたいですね。連絡事項があるなら、メールで配信すればいいですね。受ける方も後から再確認することができます。
固定電話
会社にいると何でもかんでも今だに固定電話で連絡してくる人がいます。メールで済むのにとという内容でも。しかも「メール送りました。見といてください」っていう電話もしょっちゅうかかってきます。
固定電話って色んな人の時間を奪うので、なるべく別の手段で連絡すべきです。固定電話の問題点については、こちらの記事にまとめています。
サービス残業
電通の問題もあって、最近は厳しくなってきました。わが社も残業時間も以前より減ってきました。
とは言っても雰囲気ってまだ残ってますよね。まだまだ定時は帰りづらいですね。仕事が終われば当然帰るべきなのですが、帰りづらい雰囲気が足を引き止めます。そういえば子供の頃こんなCMが流れていたのをよく覚えています。高田純次のグロンサンのCMです。「帰りたいのに帰れない~」30年前のCMです。
サービス残業というくらいですから、残業代が出る訳ではありません。要するにただ働きです。本来時間外労働に対しては割増賃金を支払わなければならないのです。それなのに無料で奉仕するのですから、良く考えたらおかしな行為です。別に会社が強制している訳ではないので、さっさと帰れば良いのです。最近なるべく早く帰るようにしているのですが、終わりの時間を決めて早く帰ろうと思うと効率よく仕事ができている気がします。
転勤
最近の記事でも書きましたが、転勤になって現在は新幹線通勤をしています。早く帰ろう取り組んでいるのも、通勤に時間がかかるからですね。
転勤ってなんでこんなに一般化しているのでしょうか。うちの会社は製造業なのでまだマシですが、金融機関なんかだと数年に一回は必ず転勤があります。親戚のおじさんが証券会社に勤めていましたが、次はあっち、次はこっちとしょっちゅう動いていました。家族で転居していましたが、家族もたまったものじゃありません。
親戚のおじさんの例では、奥さんが専業主婦なので家族一緒にいくことができましたが、子供が可愛そうですよね。自分から見るといとこにあたります。せっかく友達ができても、すぐに転勤で離れ離れです。それに最近は夫婦共働きの方が多数派ですので、簡単には家族みんなでついては行けません。
そして何より転勤は社会を非効率化させます。もちろん転勤した人は、不慣れな仕事を覚えなければなりません。そして、転勤により奥さんが仕事を辞めてしまう場合。辞められた会社かすると、せっかく仕事に慣れてうまく回してくれていた従業員が、他社の都合で辞めてしまうのです。辞めてもらうと大変困ります。その会社にとっては業務妨害を受けるようなものです。このように転勤は社会全体を非効率にしかねません。
新卒一括採用
実は自分は新卒採用ではなく、第二新卒という立場で入社することができました。新卒の頃は試験を受けたりして、普通の就活はしていませんでした。試験に失敗して、しょうがなく就活を始めた次第です。
これからは変わっていくと思いますが、日本の企業は新卒かそうじゃないかでかなり入社の難易度が変わってきます。一旦卒業してしまうと、エントリーさえできない場合も多いです。実際に経験してきましたので、その難しさやその立場にいる人の不安感はよく理解できます。
現在日本は就職氷河期世代という大変な不幸を背負った方たちの問題を抱えています。たまたま運悪く就職時期が不景気だと、その後の人生が大きく狂いかねないのです。就職氷河期世代の収入は、他の世代に比べて落ち込んでいます。多くの人が正社員として仕事に就くことができなかったことが原因です。日本の企業が新卒以外にも門戸を開いていれば、景気が良くなった際に再度挑戦できたはずです。
自分が就職する頃には景気が上向きとなり、職歴のない既卒者でも無事就職することができました。まさしく運が良かったですね。
景気の良し悪しにより採用数を減らすことはしょうがないと思います。ただ、エントリー可能な年齢層をもっと幅広くするべきです。
不明瞭な評価制度
うちの会社の場合、ABCDEと5段階で評価されます。みんながみんなAを取れる訳ではなく、Aは上位何%と割合が決まっています。学校の通信簿みたいですね。
では自分が何番目であとどれくらい頑張ればもう一段評価が上がるのか。そのあたりは半ばブラックボックス化されています。こいつは最近頑張っているから、一段あげてやってくれというようなやり取りが見えないところでなされています。
評価される側からすると、数字はそこそこいっているのに評価は思ったほど良くないということもあり、そうなるとモチベーションの低下に繋がります。
ここまで達成すれば、評価がこうなるという評価軸を明確化した方がモチベーションアップに繋がるでしょう。頑張る基準が見えてきますし、ぜっかく頑張って成果を上げたのに評価が上がらないという不満を従業員に感じさせることが無くなります。
年功序列
若手の方がITツールも使いこなし、生産性が高いということも多いでしょう。しかし、年功序列の制度の下では、大きな成果を上げたとしても給料はそれほど上がりません。
日本企業は終身雇用ではありますが、近頃は維持できないという声も出てきていますし、現に希望退職の募集がまるでブームかのように様々な企業で実施されています。終身雇用が維持できないのであれば、年功序列の制度が残っているのは矛盾を抱えた状態です。より成果給に近い給与体系に変更していく方が良いと考えます。やっぱり頑張れば評価や給料が上がるという方が、モチベーションやエンゲージメントの向上に繋がるのではと思います。
性悪説
特にセキュリティ面で、性悪説に陥っている会社が多いと思います。確かに情報漏洩は大きく報道され、世間からバッシングを受けます。大ダメージですね。
ただそれを恐れて過剰な対応をしてしまい、生産性を大きく下げてしまうこともあります。
うちの会社では、最近ようやくモバイルパソコンが支給されました。これで外出先であっても簡単な仕事ができますし、急な問い合わせに対しても対応が可能となります。いちいち会社に電話して確認しなくても済みますよね。
これまでのパソコンには、持ち去られないようワイヤーロックをかけなければなりませんでした。確かにそのPCのハードディスク自体に情報が入っていますので、持ち去られると大変です。
この度配布されたモバイルPCは、シンクライアントとなっており、PCには情報が入っていません。それにより社外に持ち出してもOKなのです。
帰宅する時には、机に入れて鍵をかけなければなりません。まあ、会社の資産ですので、これはまだ分かります。さらに、社内で使用時にはワイヤーロックをかけるよう指示があったのです。外出する時にはロックを外して、帰社したらロックをつけて、帰宅時にはロックを外して机の中へ。かなりめんどうですね。そもそも社外に持ち出していいのに、ワイヤーロックをかける意味が分かりません。
別の話で言うと、添付ファイル付きメールのパスワードが面倒ですよね。添付ファイルを間違った先に送付してしまったときに備えた対策ですが、送る方も受け取る方も2重の作業が必要です。年間のメール送信回数を考えると、リスクよりも非効率化のコストの方が大きいのではないでしょうか。
>まとめ
人によっては正反対の意見の方もいらっしゃると思いますが、あくまでも個人的な考えです。
最近は忘年会スルーなんて言葉をよく耳にしました。飲み会なんていってる場合じゃないぞという風潮ですね。自分も新幹線通勤をしてからというもの、飲みにはほとんど行かなくなりました。帰る時間が遅くなりましたし、お金ももったいないです。それに飲んでから新幹線に乗ると酔いが回って気持ち悪くなるんです。
上の無駄な慣習の中に飲み会は上げていません。今はほとんど行ってませんが、もともと飲みに行くのは好きですし、会社の忘年会にも賛成の立場です。忘年会なんて年に1回なんですから、参加すればいいじゃないと思いますね。
ある研究結果では、仕事中に雑談があった方が生産性が高まるようです。職場において、適度なコミュニケーションがあった方が良いということでしょう。もちろん忘年会や歓送迎会に参加しなくてもコミュニケーションは可能でしょうけど、参加した方がもっとコミュニケーションの向上に良い影響を与えると思います。
なんだかんだ書きましたが、家族とよりたくさんの時間を過ごすためにも、仕事の無駄はなるべく削減して早く帰りたいものです。