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政府が緊急経済対策として現金給付を検討 過去の給付金を振り返りました

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新型コロナウイルスが猛威を振るう中、観光をはじめとした経済活動が止まってしまい、経済に大きな悪影響を及ぼしています。新幹線もいつもより乗客が少なく感じます。現に会社では不要不急の出張が禁止されたりと、人の移動が大きく減少しているようです。飛行機もガラガラで、かなりの数の減便が発生しています。

経済は大きなダメージを受けつつあり、各企業では業績の悪化を見越して、ベアの見送りや内定切りといった賃金抑制の動きが出始めています。今年のボーナスはあまり期待できそうにありません。

経済の減退を食い止めるべく、各国の中央銀行は緊急の利下げなどの対策を取り始めています。しかし、利下げなどの金融政策だけでは、庶民の懐はなかなか暖かくできませんし、波及するまでに時間もかかります。

そこで政府の財政出動の出番です。アメリカではトランプ大統領が、大規模な減税や財政出動について明言しています。香港では一人あたり140,000円も支給するようです。

日本でも経済対策が検討されているようで、その一環として個人への現金給付を行なおうという案が出てきています。12,000円程度か、さらに増やして100,000円規模の給付にするといった報道もあります。

実は過去にも似たような給付型の対策が取られたことがあります。プレミアム商品券やキャッシュレス還元が記憶に新しいですね。

この記事では過去にどんな対策があったのかまとめてみました。

 

 

 

給付型の対策ってどのような効果がある?

 

景気が悪くなりそうになると、企業も家庭も財布の紐が固くなり、出費を抑えようとします。景気が悪くなると収入が減る可能性が高くなりますから、お金を使わずに現金を残すのは合理的な行動です。

だだみんながそうした行動に走るとどうなるでしょうか。ますます物が売れなくなり、企業の業績が悪くなりますし、倒産してしまうところも出てくるかもしれません。そうなると給料が減り、失業者が増えるでしょう。個人個人が出費を抑えて景気の悪化に備えるのは合理的なのですが、経済全体で考えると良くない行動となってしまいます。

お金は天下の回りものと言います。世の中をお金が巡り巡ることで、みんなが潤うのです。GDPのうち家計の支出は50%以上を占めています。結構多いですね。なんとかその家計の支出の減少を食い止めお金を使ってもらう方法として、直接現金を給付する方法が有効になります。現金を給付することで、家計の支出を増やしてもらい、GDPの落ち込みを下支えするのが目的です。

景気刺激策として、減税という案もあります。そもそも税金はお金持ちが多く払い、所得の低い人は少ない金額しか払っていません。なので、派遣切りやパート、アルバイトの雇い止めにより一番影響を受けそうな低所得層にはメリットがあまりありません。消費税に関して言えば、減税は低所得層にもメリットがあります。

 

ヘリコプターマネーとは?

 

略してヘリマネ政策と言ったりします。一時日本でも話題になったことがあります。まるでヘリコプターからお金を撒くように、市中にお金をばら撒く政策です。方法としては、政府が数十兆といった大量の国債を発行し、中央銀行が直接引き受けて通貨を大量に発行します。そのお金を直接給付など様々な方法で政府が支出することで、経済を刺激する究極の経済対策です。経済学者のミルトン・フリードマンによって提唱されました。

戦前の日本で同様の政策が実施されたことがあります。1929年に発生したニューヨークの株価大暴落から連なる世界恐慌は、日本にも昭和恐慌として波及しました。そうした状況を打開するべく、当時蔵相であった高橋是清(たかはしこれきよ)により時局匡救事業(じきょくきょうきゅうじぎょう)が進められました。政府や地方自治体が債券を発行し、それを日銀が直接引き受けて軍事費や公共事業に投入し経済危機を乗り越えたのです。

現在の日銀は国債等を直接引き受けるのは禁止されています。戦時に軍事費のため無尽蔵に引き受けを行なった反省です。ただ、量的緩和政策により、現在も日銀は国債を大量に購入してマネタリーベースを増やし続けています。一旦民間の金融機関が購入した国債をさらに日銀が購入するという構図になっています。

紙幣は日本銀行券と言うように日銀が発行しています。ただ、紙幣になるのは日銀が発行したお金の一部のみで、大半は民間銀行から購入した国債の代金として日銀当座預金の残高を増やすことでお金を発行しています。民間の銀行は日銀に口座を持っており、それが日銀当座預金です。この日銀が発行したお金の量のことをマネタリーベースといいます。

これまで量的緩和政策でこのマネタリーベースを大きく増やしてきましたが、目標とするインレフには程遠い状態が続いています。マネタリーベースを増やすということは民間銀行が日銀に預ける日銀当座預金の残高を増やすことですが、そのお金を貸し出しに活用することで国全体のお金の流れを活発にしようとするのが目的でしたが、思ったようにいっていません。

実は銀行がお金を貸し出すことで、市中にはマネタリーベースよりさらに多くのお金が流通します。世間には日銀が発行したお金以上のお金が流通しているのです。

なぜかと言うと民間の銀行が貸し出しを行なうことで、新たなお金を作りだす機能を持つからです。基本的に銀行は預金を集めてそれを貸し出しその金利で儲けるのですが、例えばAさんにお金を貸したからといって、預金口座を持つBさんの通帳の残高が減る訳ではありません。借りたお金が振り込まれたAさんの口座の残高は増えて、預金口座を持つ他の人の残高は変わらないのです。ということで銀行がお金をAさんに貸すことで、世の中にお金が増えたことになります。この銀行がお金を増やす機能を信用創造といい、その結果として世の中に流通するお金の量をマネーサプライやマネーストックといいます。

インフレにもっていくには、マネタリーベースではなくマネーストックを増やさなければならないと言われています。ヘリコプターマネーは、このマネーストックに直接働きかける政策と言えます。日本の家計の金融資産は1,835兆円で、そのうちの半分以上が現金や預金で約1,000兆円ほどもあります。マネタリーベースは2020年2月末時点で515兆8,833億円です。家計だけで日銀が発行したお金の2倍くらいの現金を保有しているのです。

マネーストックは巨大ですから、ちょっとやそっとの現金給付では焼け石に水のような感じですね。過去の給付を振り返ってみると、金額的には大したことがなく、対象も絞られています。なのであまり効果がなかったのも頷けます。本来のヘリコプターマネーと比べると、地元の神社で行なう節分の豆まきくらいの規模と言えそうです。豆まきマネーですね。

 

お金を給付するデメリットは?

 

せっかくお金を給付しても、貯蓄に回ってしまい消費が増えないと意味がありません。これまでの給付でも、実際に消費に回ったのは3割程度と言われています。巨額の財政負担に見合った効果が見出せない可能性があります。

また、実施するためには、国債の発行が必要です。つまり新たに借金をして、現在の消費を喚起するということになり、将来世代への負担となってしまいます。ただ、現在の経済が悪くなると、結局はその影響が将来世代にも及びますので、国債を発行してでも経済対策を行なうことは必要な措置なのかもしれません。

 

過去の対策について

 

では、過去にはどんな施策が取られたのでしょうか。それぞれ見ていきたいと思います。

・地域振興券

1999年に配布されました。バブル崩壊からずっと不況にあえいでいた時期であり、2年前の1997年には消費税が増税されています。3%から5%になりました。就職氷河期もちょうどその時期です。不良債権問題により、北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行などが破綻したり、山一證券が廃業したりと、今とは比べものにならないくらい、日本経済にとって最悪の時期でした。

そのような経済的背景もあり、家計の消費を喚起するべく商品券の配布が検討されることになったのです。

金額は?対象は?

額面1,000円の商品券が20枚ずつ計20,000円分配布されました。もともとは全国民に配布するつもりでしたが、主に15歳以下の子供がいる家庭と65歳以上の高齢者にしぼられました。総額で6,194億円が配られました。

ちょうどその頃は高校生でしたが、ニュースでバラマキバラマキと批判の対象となっていたのを思い出します。金融機関がばたばたと破綻するような状況で、6,194億円ていうのは決して多くない金額であると思います。バラマキ批判により、規模を縮小せざるを得なかったのでしょう。

効果は?

内閣府の統計によると、実際に消費を押し上げたのは配布した金額の10%程度であったようです。つまりほとんど効果がなかったようです。

もらった商品券はもちろん買い物に使うのですが、もともと使われるはずであった現金が貯蓄へと回ってしまい、消費が想定したように増えませんでした。恐らく金額が少なく、慎重になっている消費者の気持ちを変えられるほどのインパクトがなかったのでしょう。

・定額給付金

2009年に実施されました。2008年にリーマン・ショックが発生し、その経済対策の一環でした。

リーマン・ショックにより、経済が不安定となり、トヨタや日立といった大企業が赤字へと陥りました。また、派遣切りといった言葉もよく耳にするようになり、年末の年越し派遣村の報道を覚えておられる方も多いのではないでしょうか。

金額は?対象は?

全国民に一律12,000円が現金で配られました。また一定の基準を満たした外国人にも配布されました。

さらに65歳以上の人と、18歳以下の子供に対しては8,000円増やして20,000円とされました。

総額で2兆円規模でした。

効果は?

全体でいうと支給額の25%程度消費の増加をもたらしたようです。つまり12,000円の支給ですので、一人あたり3,000円ほどいつもより多くのお金を使ったということのようです。

また子育て世代では支給額の40%も支出が増えたようです。家族みんなで外食や旅行に行ったのかもしれませんね。

子育て中は何かとお金が要りますので、子育て世帯に多めに配分するのは効果的なのかもしれません。

・子育て応援特別手当

実は上記の定額給付金と同時期に別の現金給付が行われていました。子育て世帯向けの支援ではありますが、子供が多い家庭に特化した給付です。

具体的には、小学校入学前3学年(3歳から5歳?)の第二子以降の子供が対象です。子供が一人だと対象から外れます。一人あたり36,000円が給付されました。

翌年には第一子にも拡大して給付する予定でしたが、自民党に代わって政権を取った民主党により廃止されました。結局一回限りの実施となりました。

対象をその年代に絞ったのは、どう言う理由なのでしょうか。2歳以下は保育料が高額ですので、その年代にも配布すればより高い経済効果が期待できたと思います。

・臨時福祉給付金(簡素な給付措置)

2014年の消費税8%への増税対策として、臨時福祉給付金が配布されました。主に消費増税の影響を受けやすい低所得層向けの対策となります。増税の負担分を補填するような意味合いがありました。臨時福祉給付金は複数年に渡って実施されました。

平成26年度臨時福祉給付金

対象は住民税(市町村民税)が課税されていない方が対象です。住民税は基本的には所得に対して10%の税率がかかりますが、非課税限度額といってある程度の所得がないと課税されません。国の税金である所得税でも、103万円の壁と言われるこの金額を超えると税金が発生するラインがあります。住民税でも扶養する親族がいなければ100万円くらいがボーダーラインとなります。この額は若干自治体によって変わってきます。

収入がこの非課税限度額以下であることが臨時福祉給付金の支給対象となりました。要するに収入が少ない人を救済することを目的とした給付金でした。

平成26年度臨時福祉給付金では、一人あたり1万円が支給されました。

平成27年度臨時福祉給付金

上記と同じ条件の方を支給対象として、一人あたり6,000円が支給されました。

平成28年度臨時福祉給付金

上記と同じ条件の方に、一人あたり3,000円の支給でした。

年金生活者等支援臨時福祉給付金と障害・遺族年金受給者向け給付金

平成28年度臨時福祉給付金と同じタイミングで実施されました。経済的な弱者を救済する目的です。ともに臨時福祉給付金の対象者つまり住民税が非課税で、かつ年金生活者等支援は65歳以上の方、障害・遺族年金受給者向けは障害基礎年金か遺族基礎年金を受給している方が対象です。一人あたり30,000円の支給でした。

臨時福祉給付金(経済対策分)

平成28年度臨時福祉給付金の支給対象となった方が対象です。平成29年に実施されました。一人あたり15,000円の支給でした。この経済対策分が最後の臨時福祉給付金となりました。

子育て世帯臨時特例給付金

臨時福祉給付金と並行して実施されました。臨時福祉給付金は低所得世帯を対象とした給付でしたが、こちらは子育て世帯を対象とした給付金となり、児童手当の対象となる子供が給付対象です。平成26年度と平成27年度に実施され、26年度は一人あたり10,000円、27年度は3,000円の支給でした。

効果は?

臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金ともに給付非対象の世帯と比較して、給付世帯は若干の消費押し上げ効果が見られたようです。特に子育て世帯はその効果が顕著に確認できた模様です。

税金は収入が多い人ほど大きく負担するのが基本ですが、消費税は逆進性があると言われています。負担する税額の絶対額は高所得層のほうが多いでしょうが、消費税は収入が少ない層にも一定の割合で課税されるため、収入に対して生活費の割合が高いとそれだけ負担が大きくなってしまうのです。

そのような消費税の逆進性を軽減するため、低所得層を救済する目的で臨時福祉給付金は導入されましたので、地域振興券や定額給付金のように経済を刺激する目的はあまりなかったのでしょう。それは下で紹介するプレミアム商品でも同様です。結果的に10%の増税時に軽減税率が導入されたことから、臨時福祉給付金は廃止されることになりました。

・プレミアム商品券

これはついこの間ですね。臨時福祉給付金と同様に住民税が非課税の方が対象です。また、3歳未満の子供がいる家庭の世帯主も対象とされました。当時は子供が2歳でしたので、我が家も購入の対象となりました。きっちり20,000円分購入させていただきました。

現金や商品券を配布という形ではなく、プレミアムのついた商品券を販売する形で給付されました。具体的には1冊で5,000円分の商品券を4,000円で購入することができ、5冊まで購入が可能でした。20,000円分満額を購入すると、25,000円分の商品券が手に入り、差額の5,000円がプレミアムです。

ただ5,000円を現金で給付するだけだと貯蓄に回ってしまう恐れがありますが、商品券を購入する形にすれば、購入された商品券はほぼ使用されることでしょうから、消費を喚起するという目的にはこういう形がいいのでしょう。

ただ、申請が必要なのと、一旦お金を出して購入する必要があることから、思ったより購入が進まなかったようです。確かに少し面倒ですね。

・キャッシュレス・ポイント還元事業

消費税10%の経済対策として導入されました。2019年10から2020年6月までの期間中に、クレジットカードや電子マネー、QR決済などキャッシュレスで購入したときに、最大で5%割引であったりポイントで還元されます。QR決済では事業者独自に還元を上乗せしたキャンペーンを行なったりして、現金大国の日本でも一気にキャッシュレス決済が浸透してきました。自分もコンビニやスーパーでの買い物はほぼキャッシュレスです。

対象の店舗で決済すると2%か5%還元されますが、大企業は対象外となっています。なのでよく行くイオンは対象外でした。コンビニはフランチャイズで小規模の事業者が運営しているため、還元の対象となっています。

この事業の規模は、だいたい2,800億円くらいです。なので消費増税の経済対策としては、かなり話題にはなりましたが小規模であると言えます。

これまでの給付の問題点は?

自治体が窓口となり通知の発送、申請の受付、給付まで実施しました。用紙の印刷、専用のシステムの構築、データ入力や審査のための人員の確保、それらを発注するための入札など準備のためにかなりの時間を要することから、支給までにどうしてもタイムラグが発生してしまいます。今回の経済危機のように、早急な対策が必要であったとしても、なかなかすぐには動き出せません。

また、送付されてきた申請書に必要事項を記載し、郵送で返信を行なわなければなりません。給付額が大きいと多少面倒でも書類を返信するでしょうが、額が少ないと返信率が下がるようです。経済対策の目的があるので、対象者すべてに給付が行きわたるべきだと思いますが、申請書を返信しなければ受給できないためなかなかすべての方が受給するには至らないようです。

また、これまでの給付は額が少なかったのではないでしょうか。今回のコロナショックでは、諸外国では数十兆円規模で経済対策を行なうようです。アメリカでは200兆円規模も拠出するようです。日本でもGDPの1割である50兆円規模の対策を行なうといったニュースも流れています。不況へと向かう経済を立ち直らせるためには、それくらいの規模の出動が必要なのでしょう。それに比べると過去に実施された給付は小粒であると言わざるを得ません。財政の健全化を目指す財務省が難色を示すでしょうし、このような政策に対して毎回バラマキだと報道するマスコミの姿勢もあります。なかなか思い切った政策は難しいのでしょう。

 

まとめ

 

政府がコロナショックへの対応として現金給付を検討しているという報道を目にしましたので、過去の似たような政策について調べてみることにしました。過去にも色々と実施されていることが分かります。高齢者や子育て世帯を対象としているものが多いようです。ただ、経済を刺激するという目的を考えると、現役世代にも支給を拡大した方がいいような気がします。パッと飲みなどに使って、経済効果が高そうです。

リーマンショックの時と違って、今回の新型肺炎では感染の拡大を防ぐため、経済活動自体が物理的に止まってしまっています。観光産業は大きな打撃を受けているようですし、百貨店なども大きく売り上げが下がっているようです。企業が倒産すると失業率も高まります。今は自粛モードで動きづらいタイミングではありますが、感染が終息し始めた段階で一気に経済の停滞を盛り返すような施策を是非お願いしたいものです。