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経済の落ち込みがやばそうだ!住宅ローンの金利はどうなるか考えてみた。

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世界中の人の移動が大きく減少しています。日本においても、ちょうど春節で中国のからの観光客がたくさん来日してお金を使ってくれるはずが、見事に期待を裏切られることになりました。特にインバウンド業界が大きな影響を受けており、倒産してしまった旅館もあります。もしかすると今後倒産件数が増えるかもしれません。

毎日のニュースでは、イベントの自粛など経済の動きが停滞している様子が見られます。アメリカでも影響がかなり大きく、一時的に株価も大きく値下がりしました。春闘でも多くの企業で賃上げが見送りとなりました。経済の減速が目に見えてきました。

マイホームを購入したり、これから購入しようと検討されているかたにとっては、これから不景気になりそうな中で住宅ローン金利がどうなっていくか気になるところでしょう。実際にこれからどうなるかは誰にも分かりませんが、自分なりに考えてみることにしました。まずはマクロ経済について説明したあと、住宅ローン金利の考察をしてみましょう。

 

 

 

消費増税により景気は減退していた

2019年10~12月期四半期別実質GDPの速報値が年率換算で-6.3%と発表されました。さらに、-7.1%と修正されました。大きなマイナス成長となってしまいました。

この対象期間は10~12月であることに注目しなければなりません。10~12月はまだコロナショックの影響を受けていないタイミングです。実はそれより前から景気の減退が始まっていたのです。

では、日本経済に何が起こっているのでしょうか。ちょうどその10月から消費税が8%から10%へと増税されました。消費増税にあたっては、キャッシュレスのポイント還元事業、プレミアム商品券、幼保無償化などの景気対策が打たれてきました。消費税が10%になった直後は、個人的な感覚においては、それらの対策によってかあまり消費増税の影響を受けた感が無かったのですが、経済成長率の大きなマイナスという数字が示すように、消費増税には多大な負の影響あったということでしょう。

消費税は2014年4月に5%から8%へと引き上げられました。やはりこの時も直後の経済成長率が大きく落ち込みます。2014年4~6月期は、年率換算で-6.8%とマイナス成長へと陥りました。過去の消費増税のたびごとに景気が落ち込んでいます。その前は、1997年に3%から5%となりましたが、日本経済の長期低迷の原因となってしまったのは歴史が証明しています。

今回もやはり呪縛からは逃れられずに、経済は大きな影響を受けてしまったのでしょう。8%から10%へと2%の増税です。8%だとなかなか頭のなかで税込み金額を計算するのが難しいですが、10%だと簡単です。そのため消費増税の影響が2%の数字以上にあるだろうといった意見もありましたが、まさしくそうなってしまったようです。

 

ダブルのショック

政府は2019年10月の消費増税の際に、リーマンショック級の経済危機があれば延期すると声明を出していましたが、日本経済にとって運の悪いことに増税した後に危機が訪れてしまいました。株価が大きく下落してから戻しつつありますが、人の移動がかなり減っていたり、中国からの部品が入荷しない理由で工場での製造や、住宅の建築も止まってしまっているような状況です。実体経済へは確実に波及しており、現状ではかなり経済が弱くなっているのではないでしょうか。企業の決算も前年比マイナスが当たり前の状況です。

10~12月期の経済成長率は上でも書いたようにマイナス成長となってしまいましたが、1~3月期はさらに落ち込むことが予想されます。

消費増税で景気が落ち込む中、さらに追い打ちをかけるようなコロナショックです。やばいことになりそうです。少し前までは、人手不足が話題となっていました。これからは人余りが話題になり、リストラや採用減を行なう企業が増えそうです。現に内定切りといったことも起こり始めているようです。

 

世界中で長期金利が下がってきている

アメリカでは長期金利の指標である10年物国債の利回りが一時的に0.5%を下回るなど過去最低の金利を記録しています。日本の長期金利もマイナス圏で推移しています。経済が弱くなる中、世界中で長期金利の低下が見られます。

そもそも長期金利とはなんでしょうか。まず、国債とは国の借金です。税収だけでは賄えないため、国債を市中に売り出すことで資金を調達します。国が販売する国債は、保険会社や銀行などの金融機関の他、個人向け国債といって個人が購入したりします。

国債を売り出す時には、利回りが決められています。10年物の国債で売り出し時の利回りが1%とすると、毎年1%の利息が得られて10年後には元本が償還されます。

金融機関はその国債を市場で売買しています。市場での売買ですので、株式と同様に価格が上下します。売出時の利率は変わらないため、国債を高い価格で購入すると利回りは低下します。逆に安い価格で購入すると利回りは高くなります。ニュースなどで目にする長期金利は、市場で売買された10年物国債の利回りのことです。現在はその利回りが低下しています。ということは、国債の価格が上がっているということです。しかも日本ではマイナスの金利となっています。国債を購入して利息を受け取ったとしても、購入価格が高すぎて損をするという状態です。

国債は国が保証しています。国家なので民間企業と比べると潰れるリスクはかなり低くなります。なので一般的には国債は安全な資産であると見なされています。

株価が下がると、少しでも安全な資産に資金を逃そうという動きから、国債が多く求められる状況となり、需要と供給の関係から国債の価格が上昇するつまり長期金利が低下しているのです。

ただ、日本の場合は金利がマイナスです。買っても損をします。なのになぜ国債が買われているのでしょうか。それは高い価格で国債を購入しても、さらに高い価格で買ってくれるからです。日銀です。

日銀は民間の銀行から国債を購入しています。昔は国が発行した国債を直接日銀が購入していました。戦争の費用のため無尽蔵に国債の発行が行なわれ、それを日銀が購入していったのです。今はその反省から直接国から国債を購入することは禁止されています。そのため一旦民間の銀行が購入した国債を日銀が購入しているのです。

国債を購入する時、日本銀行券で支払います。そうお金です。日本の紙幣は日銀が発行しています。国債を購入することで、お金を発行しているのです。その発行したお金の量のことをマネタリーベースといいます。

 

 

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日銀はマイナス金利の深掘りを行なうか

民間の銀行は日銀に口座を持っています。日銀当座預金といいます。実はマイナス金利政策が導入されるまでは、この口座にお金を預けておくと利息がついていました。預けておくだけで儲かったのです。これだとリスクがある貸し出しを行なわなくても、収入を得られることになってしまいます。

そこで、この当座預金に対して、マイナスの金利を導入することにしました。預けておくとだんだんと金利が取られて残高が減ってしまいます。銀行が企業にもっと貸し出しを行なうように仕向けるための政策です。このマイナス金利は、日銀当座預金のすべてに適用されるのではなく、あくまでも一部分のみです。日銀当座預金は、マイナス金利がかかる部分、金利が0の部分、これまで通り利息が付く部分の3層に分かれています。

景気が悪くなると、銀行は貸し出しを渋るようになります。バブル崩壊後不良債権問題が世間を騒がせました。そのトラウマがあるのでしょうか。また、貸し剥がしといって早期に借金の返済を求めることもあります。不景気になると貸し出し先が倒産したりして、お金を回収できなくなる恐れがありますので、銀行からすると合理的な行動ではあります。銀行がそのような行動を起こさないよう、マイナス金利の深掘りつまりさらにマイナスの金利を大きくする可能性があります。マイナス金利が大きくなると、さらに銀行の負担が大きくなります。そうなると日銀当座預金に置いておくよりは、貸し出しに使った方がよいということになります。

借り入れは良くないというイメージがありますが、企業は借り入れをしてその資金を設備投資などに利用します。レバレッジをかけると言ったりします。経済が活況となり大きくなるためには、企業の銀行からの借り入れは重要な要素なのです。ソフトバンクが典型ですね。

 

住宅ローンはどうなる?

これまでマクロ経済について書いてきました。それは、住宅ローンの金利がマクロ経済と密接に関係しているからです。変動金利は政策金利(最近はマネタリーベースが指標)、固定金利は長期金利に影響を受けます。

これまで見てきたように、不景気になると金利は下がる傾向にあります。コロナショックにより景気が悪くなりそうこの状況で、住宅ローン金利も下がるのでしょうか。

 

変動金利はどうなる?

住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートという金利を基準としています。短期プライムレートとは、銀行が1年未満で企業に貸し出す際の最優遇金利です。その短期プライムレートは、銀行同士がお金を貸し借りする時の金利をもとに、各銀行が決めています。このお金を貸し借りする場をコール市場と言いますが、日銀はここの金利を操作することで景気をコントロールしようとします。

具体的には、マネタリーベースを増やします。日本銀行が市中に流通させるお金の量のことです。どうやって増やすかというと、銀行から国債を購入し、その代金として日銀当座預金の残高を増やすのです。銀行がお金を十分に持つことで、コール市場で他行からお金を融通してもらう必要がなくなります。お金を借りる銀行が少なくなることから、コール市場の金利(無担保コール翌日物)が下がるのです。

アベノミクスにより日銀の黒田総裁は、このマネタリーベースを増やす政策を導入しました。民間の銀行から国債を買いまくりました。それによりマネタリーベースはかつてないほど大きくなっています。

日銀がこのような政策を実行する一番の目的は2%のインフレを起こすことです。お金をじゃぶじゃぶにするとお金の価値が下がりそうですので、それによりインフレとなるという理屈です。リフレ政策と聞いたことはないでしょうか。しかし、思ったような効果がありませんでした。日銀の当座預金の残高が増えた分、世の中への貸出が増えればよいのですが、思ったより貸し出しが増えませんでした。銀行が貸し出しの対象としたいような優良企業は内部留保をためこんでおり、銀行から借りる必要がなかったのでしょう。また、銀行から借りたい中小の企業に対しては、リスクを取りたくないことから貸し出しを増やさなかったのかもしれません。

そのような状況であったため、日銀はマイナス金利政策を導入するに至りました。それでもなかなか2%のインフレは達成できていない状況です。

こうした政策により、変動金利の住宅ローンはかなり下がりました。0.4%前後とかなり低い金利で借りられます。今後マイナス金利が深掘りされた場合、さらに変動金利は下がるのでしょうか。

多少は下がるかもしれませんが、大きく下がることは無いような気がします。というのも住宅ローンの金利は、銀行にとっては利益となります。金利の中には、従業員の給料やオフィスの賃料、システムの維持費などの経費が含まれています。もちろん銀行の儲けも含まれます。すでにかなり低い金利になっていますので、これ以上下がると変動金利の住宅ローンは儲からない商品になってしまいます。あくまでも銀行も商売ですので、儲からなければ意味がありません。

経済がダメージを受けると、政府は金利を上げたくても上げられない状況になります。そのため、変動金利は下がりづらい状況にあったとしても、現在の低い状態が長く続く可能性は高まりそうです。

以前変動金利について書いた記事です。

www.sunomono19.com

 

固定金利はどうなる?

では固定金利はどうでしょうか。固定金利は長期金利に影響を受けます。市中で取引される10年物国債の利回りです。景気が悪くなると投資家は安全資産である国債を購入しようとしますので、長期金利は下がる傾向にあります。なので今後も景気の停滞が続くと、長期金利が上がりづらい状況となり、さらに下がるかもしれません。

ただ、現状でも長期金利はマイナス圏に突入しており、固定金利の住宅ローンもかなり下がっている状況です。なので、上記の変動金利が下がりづらい状態であるのと同様に、大きく下げることはないのではないでしょうか。

注意が必要なのが、固定金利は市場で取引された結果である長期金利をもとに決められており、長期金利が上がるような状況になると住宅ローンの固定金利も上昇することが考えられます。固定金利ですので、すでに安い金利で借りている人はそのままですが、これから家を買おうとされている場合、金利が上昇すると大変です。ただでさえマンションの価格が上昇していますし。

どういった状況で長期金利が上昇するのでしょうか。長期金利は10年物国債が取引された価格で決定しますが、国債の価格が大きく下げるようなことがあると、反対に長期金利が上昇することになります。日本政府は大きな借金を抱えています。今回の経済危機の対策として、国債を新たに発行して財政出動を行なうでしょう。もし、投資家からそんなに国債を発行するとやばいだろうと思われて、売られることも無いとは言いきれません。そうなると売りが売りを呼んで国債価格が下落、長期金利が上昇するという状況に陥ってしまいます。

現状では日本国債はほとんどを国内で消化されています。また日本は外国に借金をしているのではなく、外国に多くのお金を貸している対外債権国であり、国債を返せなくなるというリスクはかなり小さいです。それに下落するような局面があると、日銀が買い支えるでしょう。

なのでいきなり固定金利が大きく上昇するようなことはないと思いますが、これから家の購入を考えておられる方は金利の動向に注意を向けましょう。

 

デフレになると住宅ローンは損する

景気が悪くなると、またデフレに戻ってしまうことも考えられます。デフレとは物価が下がっていくことです。物の価格が下がるということは、その反対にお金の価値が上がるということです。これまで100円で変えていたジュースが95円になったとして、以前は10,000円で100本買えましたが、95円になると同じ10,000円でも105本買えるようになります。ジュース5本分お金の価値が高くなったということです。

買い物をするときは価格が下がると嬉しいですが、逆に借金をしている時はその負担が大きくなります。デフレの時はお金の価値が上がっていくわけですから、現金で持っていた方が有利になり、お金を借りている場合は不利になります。借りているお金の価値が上がるのですから。

1,000万円を借りているとします。もし1%物価が下落した場合、その分お金の価値が高まりますので、見た目は1,000万円ではありますが、その価値は1,010万円分になります。実質的な借金が増えてしまうのです。額面は同じ1,000万円ですのでなかなか分かりづらいのですが、デフレ下で借金をすると確実に損をしてしまいます。これまで日本はデフレに苦しんできましたが、その間に家計や企業は貯蓄を膨らましてきました。デフレ下では合理的な行動であったと言えます。

 

まとめ

これから住宅ローンがどうなるかは、はっきり言って分かりません。上で書いてきたことはあくまでも一般的なことです。これから経済がどうなるか、それは誰にも分かりません。金利が上昇するかもしれませんし、下がるかもしれません。

自粛により経済活動が停滞しています。特に観光や交通は大きなダメージを受けています。景気が悪化するでしょう。金利が下がる可能性が高くなってきます。ただ、すでに低い金利になっていますので、下がるといっても限定的かもしれません。なので住宅ローンの金利が下がるとしてもほんの少しと考えられます。下がるよりは、金利が低い状態が続くということのメリットの方が大きいでしょう。

ただ本当にセオリー通りになるかどうかは分かりません。この記事を書いた2020年3月は、経済対策の目的に国債の増発がされることが懸念され、依然マイナス圏ではありますが、長期金利が上昇(国債の価格が下がる)していました。

住宅ローンを借りる時に注意しなければならないのが、ローンの金利は払い込み実行時の金利が適用されるということです。つまり入居のタイミングでの金利です。例えば話題の晴海フラッグの場合。オリンピックの選手村がマンションとして分譲されます。オリンピックの時には建物は完成していますが、終了後にマンションとしての改装を行ない、入居開始が2023年3月の予定です。今から3年後です。ローン金利も2023年3月時点の金利が適用されます。果たしてその時点で金利はどうなっているのでしょうか。オリンピックが延期となりましたので、入居の時期は未定となったようです。先になればなるほど不確実性が高くなります。これから買う人はそのあたりも注意しましょう。