近頃は変動金利の低金利が続いていることもあり、変動を選択する方が多いようですが、毎月の返済額が少し多くなったとしても安心が得られる固定金利は魅力的な商品だと思います。固定金利について詳しく調べてみました。結果的には自分も固定金利を選択しました。
固定金利とは
文字通り返済期間中の金利が固定された住宅ローンです。返済期間中に毎月の返済額が変わらないため、金利の変動を心配する必要がありません。支払額は金利が上昇しても上がることはありませんが、逆に金利が下がっても減ることはありません。
金利は市場動向(長期金利)により毎月見直しされます。借入する金利は、融資実行時の月の金利が適用されます。申し込みを行った時の金利ではありませんので、注意が必要です。
仮審査の申し込みから融資の実行まで2~3か月は必要になりますので、仮審査時の金利から融資実行時には少し上昇している可能性があります。逆に下がるとラッキーです。
固定金利の金利推移
固定金利は住宅金融支援機構が提供するフラット35が代表的です。フラット35の過去の金利推移をグラフにしました。
フラット35を21年以上35年以下の期間で借りた場合の金利の推移です。2017年くらいから1%に近い金利まで下がっています。今は固定金利でもかなりの低金利の時代であることが分かります。ほんの10年前の2008年や2009年頃、実はその頃は3%近くと今から見ると結構高い金利でした。
2017年の後半くらいから金利が上昇していますが、これまでは別途毎年の支払いが必要であった団体信用生命保険の保険料が、金利に組み込まれるようになったため金利が上昇しているように見えています。
長期金利と固定金利
固定金利は長期金利(10年物国債)に連動します。最近は長期金利が一時的にマイナスになるなどほぼ0に近い金利となっており、それに伴い住宅ローンの固定金利もかなり低くなっています。
長期金利の推移
バブルの崩壊から徐々に下がって、2016年あたりにはマイナス金利に突入しています。その頃は住宅ローンの固定金利もかなり下がりました。
金利が下がると住宅ローンを借りる側としては恩恵があるのですが、長期金利は銀行の預金金利にも影響します。親世代から、昔は預金の金利が高くて数年預けると倍になったといった今では考えられないような話を聞いたことがあると思いますが、確かに上のグラフを見るとそうだったんだと認識できます。バブル期は6%を超えるような金利でした。その頃の住宅ローン金利は、6%や7%といったかなりの高金利だったようです。
マイナス金利政策
2016年に金利がマイナス圏に突入していますが、日銀によるマイナス金利政策の影響によるもののようです。マイナス金利政策は、直接国債の金利をコントロールするものではありません。
市中の銀行は、日本銀行に預金口座を持っています。日銀当座預金と呼ばれるものです。法律で一定額以上の預金が定められている法定準備預金と、それを超える額の預金である超過準備額があり、これまではその超過準備額に0.1%の利息がついて、実は銀行の収益の一部となっていました。今普通預金に預けると、0.001%くらいの金利しかつきません。定期預金でも0.01%です。日銀当座預金の0.1%は結構高い金利です。しかも預ける金額が大きいため、そこそこの収益になっていたようです。
預けておけば高い利息がつきますので、銀行からするとリスクのある貸し出しを行うよりは、日銀当座預金に預けることを選択するインセンティブが働くことになります。
その日銀当座預金対して、黒田日銀総裁が2016年にマイナスの金利をつけることを決定しました。ただ、預金全額にマイナス金利をつけると銀行の経営に対するインパクトが大きくなりますので、超過準備額の一部(政策金利残高)にー0.1%のマイナス金利を導入しました。
そのマイナス金利分の預金残高が、事業への貸し出しに向かえば良いのですが、その資金が国債に向かうと予想されました。国債は市場で売買されており、その予想から国債価格が上昇し金利がマイナスへと突入することになりました。
その影響を受けて、住宅ローンの固定金利も大きく下がりました。
フラット35とは
固定金利の代表的なものはフラット35です。住宅金融支援機構が民間の金融機関に販売を委託する形で提供している住宅ローンです。住宅金融支援機構はかつての住宅金融公庫の業務を引き継ぐ形で2007年に発足しました。
機構債という債券を投資家に販売し、その資金をもとに民間の金融機関が契約したフラット35の債権を買い取ります。よってローンの利息は住宅金融支援機構が受け取り、販売した民間金融機関は手数料を得ます。
フラット35は国民が住宅を購入することを支援する目的で実施されるものですので、長期固定の金利が低く抑えられています。銀行によっては独自の長期固定金利の商品を用意していないところもあり、その場合はフラット35をラインナップいる場合が多いようです。
審査は民間よりは緩いようですが、物件の耐震基準など住宅の技術基準は高めに設定されています。新築のマンションであれば、ほとんどクリアしていると思います。
また、さらに高い基準をクリアしている物件には、フラット35sという一定期間金利を引き下げる制度もあります。
団体信用生命保険について以前は別途1年毎に保険料の支払いが必要でした。今は他の民間のローンと同様に金利に組み込んだものが出てきています。
フラット35の注意点は、頭金の大小により金利が大きく変わることです。頭金を1割以上入れる場合と入れない場合で金利が変わります。1割というと結構な金額ですので、そこまで用意できない場合は民間の固定金利の住宅ローンを検討した方が安く済みます。
詳しくはこちらの記事を。
固定金利のメリット
やはり金利がずっと変わらないことでしょう。特に今は長期金利がマイナスになるといった超低金利な時代ですので、固定金利を選択するメリットが大きい時代と言えると思います。
ずっと支払額は変わらないということは、将来の資金計画が立てやすくなります。子供がいると将来的に教育費がたくさん必要になることが予想できます。大学に入る時期に合わせて必要な資金を用意するなど資金計画を立てる際、生活費のうち比較的大きな割合を占める住居費が変わるようなことがあるとその計画が狂ってしまいます。変動金利で返済額が上がってしまうと、教育費どころではなくなってしまうかもしれません。
支払額が変わらないというのは、大きなメリットだと思います。
また物価が上がるつまりインフレになった時、固定金利の住宅ローンは有利になります。インフレはお金の価値が下がることですので、ローン残高の価値が物価変動分下がることを意味します。それに物価が上昇すると不動産価格も上がりますので、所有する不動産の価格が上昇します。
毎月の返済額は変わらないのに、住んでいる家の価格が上がって、返済額の実質的な価格は下がっていきますので、インフレ時は固定金利が有利になる訳です。そのような状況の時変動金利はというと、金利が上昇している可能性が高いです。
政府や日銀が2%のインフレを政策目標に掲げていますので、実際にインフレになる可能性を考えておく必要がありそうです。
固定金利のデメリット
大きな金利上昇がなければ、変動金利に比べて総支払い額が多くなってしまいます。また当初の支払額についても、変動金利に比べて毎月の支払額が多くなります。
また金利が高い時期に借りていた場合、その後市中の金利が下がったとしても借りた時点のまま変わらないため、借り換え等を検討する必要が出てきます。借り換えする際にも保証料や事務手数料等の諸費用が必要になります。
まとめ
固定金利は庶民の味方だ!
フラット35は国民の住宅取得を促進する国の施策でありますが、35年という長期の固定金利を採用しています。住宅金融支援機構の商品に変動金利はありません。一般の人にとっては支払い額の変わらない固定金利が良いということなのでしょう。
ローン返済の支払額が増えると生活が苦しくなりそうな場合は、目先の金利の安さで変動金利を選ぶのではなく、固定金利を選ぶべきではと思います。以前の変動金利の記事で書いたように、変動金利はお金に余裕のある方の商品と言えそうです。
ただ、そもそも借入金額が少なかったり、借入期間が短い場合は固定金利のメリットが活きない場合もあると思いますので、ご自身の資産や借入の内容によって固定がいいのか変動がいいのか良く検討してみてください。
結果的には固定金利を選択しました。その理由はこちらに記事にしています。
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